2月19日に広島市から発表された「サッカースタジアムの実現可能性調査の実施状況について」という資料。松井市長らはこの資料を行く先々で多くの関係者に配り「広島みなと公園優位」を伝えて回っている。
広島市はきょう4月20日、午後3時にサッカースタジアムの建設候補地として「広島みなと公園優位」とするその理由について、これまでそう結論づけてきた検討資料の詳細を記者クラブに”投げ込み”するとともに、広島市のホームページで発表する。
3月29日、広島市がリリースした「サッカースタジアムの検討に係る3者会談の延期について」の文書と、それに関連する同日の松井市長の発言に対して、サンフレッチェ広島の久保允誉会長が「ふたつの候補地の検討資料を公表すべき」と反応。これに対し広島市担当者ら作業部会では「4月中旬の詳細発表」を目指し調整を進めていたものが20日にずれ込んだ。
今回の動きの発端となったのは2月19日に発表された「県・市・商工会議所の作業部会関係者による記者発表資料」。その中には旧広島市民球場跡地での概算事業費が260・3億円、広島みなと公園が180・1億円とあり、「広島みなと公園優位」の根本的な理由として整備費に多額の差が生じることが示されていた。
いつものごとく記者発表の日の朝刊に掲載された中国新聞の記事(2月19日付紙面)では「広島サッカー場」「市民球場跡地260億円」「みなと公園180億円」「整備費54億から37億円増」の見出しが躍り「記者発表資料」に沿った内容がそのまま紹介された。
資料には旧広島市民球場跡地と広島みなと公園での概算事業費が示されているがそこに至る詳細は書かれていない。
「みなと公園」でのスタジアム建設が死活問題となっている港湾関係者のひとりは、この記事を見て「悪意に満ちている」とfacebookで反応。と同時にこうした一連の動きは久保会長の3月3日独自案発表と「なぜ旧広島市民球場跡地なら260億円か、その見積もりの根拠を市民らに広く示して欲しい」(同会長)との思いに繋がっていった。
すでに久保会長は広島市などが言う260億円より100億円以上もコストを下げたスタジアムの建設プランを公表しており、その詳細については4月中に発表することも考えていた。
しかし熊本地震の発生とその影響の大きさを考慮し、5月13日に久保会長自身が再び記者会見に臨むことが4月19日に発表された。
松井市長、湯崎知事らは久保会長の独自案について、スタジアムの具体的な仕様や多目的利用の方向性に関する具体的なモノが見えないとしてその確認の必要性を再三、強調してきた。サンフレッチェ広島では「その公益性に鑑みて市民・県民・全国のサポーターの皆様広くご理解いただくことを計画して」今回の記者会見開催を決めた。
…と同時に、久保允誉はすでに4月15日付で湯崎知事、松井市長、広島商工会議所の深山会頭に宛てに直接、その「回答」を行うための機会の設定を要望している。
同日には「サッカースタジアムの収容人数基準に関する日本サッカー協会からの回答書について」という文書をサンフレッチェ広島のホームページにアップしてマスコミなどにも配布。3者会談側からの疑問などに積極的に回答する姿勢を示している。
これに対して広島市の担当者は「事務レベルでは検討中だが、まだいつになるかはわからない」と久保会長が求める4者会談の実現性について明言していない。
なお、あす4月21日には松井市長の定例会見がある。今回の追加資料発表に関する狙いや意義、問題点、あるいは4者会談実現への道筋などについて、松井市長がどこまで具体的に言及するかが注目される。
広島新サッカースタジアム取材班