オバマ大統領が広島を訪れた5月27日の旧広島市民球場跡地。このおよそ3時間後、阿倍首相を乗せた自衛隊のヘリが跡地に着陸した。
広島県知事・広島市長会談が6月1日午前11時から広島市中区の広島県庁であった。
出席者は湯崎知事、松井市長のツートップと、広島県からは地域政策局長、広島市からは企画総務局長。およそ45分の話し合いのあと、集まった報道陣との質疑応答もあった。
意見交換項目は…
1、オバマ大統領の広島訪問に係る今後の取り組みについて
2、伊勢志摩サミット・広島外相会合を契機とした広島県と三重県高校生の交流について
3、土砂災害に強いまちづくりに向けた連携について
4、広島港湾計画の改定について
5、福祉医療費公費負担事業について
6、地域密着型特別養護老人ホームの整備に伴う県補助金の交付について
7、その他
重要項目が並ぶ中、大きなインパクトを残した米国オバマ大統領の広島訪問について松井市長は「未来永劫、広島から発信していくためにも、いろいろな方がいろいろなアイデアをお持ちだと思うので、オバマさんの来広にうまく合わせてやっていきたい」と語った。
「その他」の項目かどうかは別として、知事と市長が揃ってエディオンスタジアム広島にサンフレッチェ広島の応援に行った話も出て、「今度は調子のいいカープの応援に!」と意気投合…、だった。
さて、そのサンフレッチェ広島の応援に知事と市長が出向いた日、5月13日にはサンフレッチェ広島・久保允誉会長の、旧広島市民球場跡地への建設を目指す「Hiroshima Peace Memorial Stadium」(仮)プランの詳細発表会見もあった。
その席上、久保会長は松井市長、湯崎知事らに要請し続けている「4者会談」の開催について次のように話しており、このコメントはサンフレッチェ広島のホームページに動画でアップされている。
「すべていろんな形で作業部会からの質問を今回、(こうした形で)出させていただきましたので、いよいよ4者会談のテーブルに乗れる準備ができたと思っています」
「トップがこういう風な方向でやっていこうと決めて、そして現実的にどうなのかと作業部会に降ろしていくのが本筋だと」
「こういう大きな事業は100年に一回あるかどうかですから作業部会よりトップが広島のためにこうするんだ、ということがいると私は思っています」
そして久保会長は「5月の終わり、あるいは6月頭ぐらいに4者のトップ会談ができればと…」と会見の中ではっきり言っている。当然、クラブ側から作業部会へあてた要望書の中にもそのことは盛り込まれているはずだ。
それにもかかわらず、せっかく知事・市長会談を行いながら、まったく触れないのは極めて不自然…。
このツートップ会談での意見交換項目は、広島県と広島市の事務レベルで話し合われている項目の中から、進展のあるもの、注目度の高いものがピックアップされる。
それを県と市でどう役割分担していくかをトップ同士で意見交換するのが肝の部分。よってサッカースタジアム問題は1)進展がないか、2)注目度が低いか、3)役割分担の必要がないか、のどれかに…、いや、それは違うだろう。
…とすれば、意図的にサッカースタジアム問題は外された、ということになる。
一部メディアから「利権とカネの匂い」と指摘されているサッカースタジアム問題いついて、県・市のトップが久保会長の要請も含めて完全スルー。…もちろんそれは表向きの話で、実際には作業部会の「作業」いや「工作」もどきともとれる動きが広島みなと公園とその周辺で続いている。
広島新サッカースタジアム取材班