湯崎知事の会見を伝える昼のNHKニュースは「第3の案も含め改めて候補地検討 進める考え示す」のスーパーをかけた
広島のサッカースタジアム問題で湯崎知事が8月23日会見し、広島みなと公園の「優位は変わらない」との姿勢を貫いた。
ただ「優位は変わらない」としながらも、それはいったん置いておいてほかの候補地も含めて検討する、固執していたら前に進まない、これまでの検討を白紙にして同列にするという意味ではない、との見解も示した。こんな内容では、県民には何のことか分からないだろう。
「その他の候補地がどこになるのかということについては、やはり検討協議会で9カ所から2か所に絞っていったという経緯がありますのでそういった経緯を改めて確認そすることも含めて市や商工会議所と相談しながら検討できればと思っています」
今回のこの湯崎知事の発言を”フォロー”するなら…
・これまで湯崎知事自身が「広島みなと公園優位」の最大にして唯一の拠り所としてきたサッカースタジアム検討協議会での議論の過程と結果を尊重する。
・”だから”「広島みなと公園優位」は不変だが、それを言っていると「広島みなと公園では使わない」としたサンフレッチェ広島の久保会長との接点がないので、ここはひとまず「いったん置いておいて」「これまでの検討を白紙にして同列にするという意味ではない」が、取り沙汰されている「第3の候補地」についても検討する。
…と言う感じか?
その前提となるのは「経緯を改めて確認する」という”作業”だが、それはサッカースタジアム検討協議会の三浦浩之会長との話し合いを指していると考えてまず間違いない。
しかしすでにサッカースタジアム検討協議会の委員が指摘しているとおり、サッカースタジアム検討協議会スタート時点で誰を会長に据えるかを決めたのは広島市だ。
ゆえに、もうこの先は見えている。
三浦会長と話をした結果…との「大義名分」が大手を振ることになる3者会談側が用意するシナリオはこうだ。
・サッカースタジアム検討協議会では9カ所から3ヵ所に絞り、最後に旧広島市民球場跡地と広島みなと公園2カ所併記の結論を出したが、3番手は「中央公園芝生広場」だった。
・旧広島市民球場跡地は松井市長がよろしくない、と言うので、それじゃ久保会長の旧広島市民球場跡地案にも近い形になる中央公園芝生広場で行きましょう!
以上のシナリオには一番肝心なところが欠落している。6月の時点で事実上「広島みなと公園案が消滅」した直後から、3者側はただの一度も久保会長の旧広島市民球場跡地プランについて「検討」していない。本末転倒、である。
久保会長側にはいなかる状況になろうとも歩み寄ろうとせず、広島商工会議所の深山会頭が先頭を切る形で「中央公園芝生広場」への軟着陸を目指していることは傍目からも見え見えのようで、市民・県民もその摩訶不思議な議論の進め方の矛盾には気づいている。
「旧広島市民球場跡地にはなぜ建てないのか?、いつ旧広島市民球場跡地はなくなったのか?」
ひろスポ!にはこうした声が多数寄せられている。
8月10日の4者会談、あるいはその前段階ですでに3者側の「シナリオ」の内容が久保会長サイドに何等かの形で伝わっている可能性すらある。
こうなってくると広島のサッカースタジアム建設場所を巡る議論は「やらせ」や「偽装」のレベルを飛び越してさらに深い闇の中さまようことになる。
だからこそ、「サイゾー」や「週刊文春」誌面でも取り上げられる事態となっているのではあるが、湯崎知事にしてみればこの手の報道はいっさい関知せぬところ、となっているのだろう。
そして3者会談で用意されたシナリオに沿って粛々とことを進めていく。仮に建設候補地が中央公園芝生広場に決まれば、昨年7月に3者で「広島みなと公園優位」と決めた瞬間からそのプランが破たんに向かって突き進んだように、また「中央公園芝生広場案」も幾多の課題に突き当たり、場合によっては再度「不可」となる。
しかし来年秋に県知事選を迎える湯崎知事が、サッカースタジアム建設のつち音が響くころまで知事の椅子に座っているかどうかは甚だ疑問…。要は広島みなと公園案消滅の波風を避け、一応の決着だけをつければそれでよし、という広島市民・県民・サポーターの思いとは別次元の残念な結論へ行きつくのである。
広島新サッカースタジアム取材班