2009年春の竣工から7年目を迎えるマツダスタジアム周辺が熱帯化し始めた。
JR広島駅からスタジアムに線路沿いに向かうと、現在はご覧のように、昨年までの遊休地が広がっていた風景は大きく様変わりしている。(2月25日15時撮影)
ヤCの木も…
ヤシの木およそ100本が林立しているのは3月上旬オープン予定のゲストハウス型式場の駐車場敷地など。リゾート型のイメージ演出、ということなのだろうが、そもそもマツダスタジアム自体のコンセプトは「レトロ」。これはメジャーリーグのスタジアムがドーム型から屋根なしオープンスタジアムに移行した時期のその「プロトタイプ」に沿ったものである。
別々のコンセプトが隣接する新たなランドスケープの是非は今後、市民やファンが決めることになる。
とはいえ、このヤシの木の林立する空間、大型スラローム北側のエリアについては、そもそも新球場(マツダスタジアム)建設に向けての最優秀コンペ作品では「賑わい施設」や「イベントステージ」がレイアウトされることになっていたゾーンだ。
これは「365日賑わうスタジアム」、「近隣住民や市民が自由にコンコースを散策できたりする」ことが想定されていたためだが、どこで何がどうなったのか、賑わい施設としてはクローズドな結婚式場が進出することになった。
また大型スラロームの北側、JRの線路と挟まれたエリアには広島の屋内練習場が2月末までの工期で最終仕上げの段階に入っているが、ここもコンペ案では商業施設などが揃い、毎日スタジアムを見学に来る「ゲスト」を出迎えることになっていた。
完成間近の屋内練習場
スラロームから見える入り口
やはり「レトロ」テイストな演出が…
屋内練習場については「球場内に設置する」ことがコンペ提出作品の条件となっていた。「広島市はコンペの条件に合致しない作品を最優秀に選んだことになり、これはコンペの精神に反するばかりでなく違法行為」と指摘する関係者の声がある。
これらの話を総合すれば、マツダスタジアム本体も周辺整備も当初の計画から大きく外れたものになっている。
JR線路沿いのカープナインの活躍を紹介
するお馴染みの広告も一新
一方、マツダスタジアムの誕生で「空地」となったままの旧広島市民球場跡地では、ご覧のように「砂漠化」が進む。広島市の旗振りで「イベント広場」としての活用を進めようとしているが、平日の午後4時、「市民がルールを守って自由に使える」空間の人影はゼロ。
2月25日午後4時撮影、旧広島市民球場跡地には人影なし
球場跡地正面に掲げてある「一般開放」の決まり
国際平和文化都市、広島の街のど真ん中で、使用は無料であるにもかかわらず、本当にイベントスケジュールが「空き」ならば、広島市の言う「インベント広場」「緑地」中心の球場跡地整備計画には無理がある。
秋葉忠利前広島市長が「年間150万人を集客する施設を球場移転後に作る」と約束してすでに10年近くが経過…。そのうちの4年間は秋葉前市長からバトンを受けた松井市長の手腕に期待が集まったが、状況は「秋葉時代」とほとんど変わらないまま4月12日投開票の広島市長選を迎える。
東の岡山市、西の福岡市に挟まれ、両市の地下街の賑わいに比べてはるかに劣る広島市のど真ん中、第3セクターの地下街シャレオでは空きテナントの問題が開業後、ほどなく発生したが効果的な手は打てていない。(2月25日午後4時30分撮影)
砂漠化した土地に隣接する地下街シャレオでは、これまた政令指定都市のど真ん中にもかかわらず空きテナントが次々に生まれるという「地盤沈下」がますます深刻化…。
球場移転のあとの無策と、移転先の調整ミスにより狭い広島のデルタ地帯の東西で極端な「気候変動」が始まっている。
新サッカースタジアム取材班
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