2月1日から始まった広島の宮崎・日南キャンプ。そこには、もう黒田博樹の姿はない。
25年ぶり優勝した昨季、広島の先発ローテは最多勝投手となった野村祐輔、沢村賞を受賞したジョンソン、そして黒田の3本柱が引っ張った。
チーム最多投球回数はジョンソンで26試合、180回3分の1を投げ15勝7敗だった。
野村は25試合、152回3分の2を投げ16勝3敗。
さらに黒田が24試合、151回3分の2を投げ10勝8敗だった。
この3人で計75試合、レギュラーシーズン先発陣の52パーセントをまかない、合計で23の貯金をした。貯金はチーム全体で37。その62パーセントは3本柱によるものだ。
投球回で言うと、この3人に続くのが昨季のドラ1右腕、岡田明丈で先発15試合、89回3分の1を投げ4勝3敗。そして、それに続くのが福井。13試合で76回3分の2を投げ5勝4敗だった。
今キャンプでは大瀬良大地が「ポスト黒田」一番手と目されているが、昨季は先発1試合のみ。21回と3分の2を投げたに過ぎない。
ただし大瀬良は2014年に26先発、151回を投げ10勝8敗で新人王になっている。福井もちょっと前の話になるが2011年、同じくルーキーイヤーにはドラ1右腕にふさわしく27先発、146回3分の1を投げ8勝10敗をマークしている。
福井は2月8日、29歳の誕生日を迎えた。毎年、飛躍を誓ってこの日南で汗を流すが今季に懸ける思いは特別だろう。
練習終了後、治療やスケジュールの関係もあって、「出待ち」のファンにゆっくりサインする選手が少ない中、この日も寒風の吹く日南・天福球場前で福井は最後のひとりまでサインをしていた。
ファンのために戦う、その思いは新井貴浩とともにチームに”戻ってきた”黒田の背中に教えてもらった。
今度は福井が、3万大観衆で埋まるマツダスタジアムのファンの声援に応える番、である。