中央公園芝生広場に近いゾーンにある中層の県営アパート群は老朽化のため取り壊し作業が続けられている。人口減少、高齢化、施設の老朽化など多元的な問題を抱え、その改善や今後の方針について声を上げ続けてきた基町地区住民にとってスタジアム問題は「新たな課題」もしくは「無用の負担増」とする考えが支配的、なのだという。(トップ画像関連説明)
広島のサッカースタジアム問題は「微妙な段階」(関係者)にあるとされる。そこでは様々な水面下の動きがある。
それを「公開」できる範囲で綴っていく。連載となる予定。
サッカースタジアム問題は昨年8月と9月、2度あった松井市長、湯崎知事、広島商工会議所の深山会頭の3者と、サンフレッチェ広島久保会長の4者の話し合いの末、次のように決まったという。
・3者は広島みなと公園を優位といい、久保会長は旧広島市民球場跡地での独自プランを出し、互いに譲らないので、深山会長が第3の候補地として中央公園案を提示
・4者でその方針を確認
・広島みなと公園、旧広島市民球場跡地についてはすでにスタジアム建設の調査を終えており、中央公園を比較対象とするため、3者で調査を進める
・久保会長はサンフレッチェ広島の方でスタジアム建設に向けた検討を進める
分かりやすくいうと、こういうことになる。
ただし、2度の4者会議は、当初、久保会長が強く要望したにもかかわらず非公開だった。なぜ非公開か、についてひろスポ!も深山会頭に尋ねてみたが、納得のいく返答はなかった。
けっきょく「公開できる状況にないから」ということらしいが、一番大事な話し合いを非公開としたことで、これまでも、そしてこれからも言いようのない不安が常について回る。
そもそも上記の通りの話し合いが行われた保証はどこにもない。それは深山会頭のみが4者会談終了後に行った会見でのやりとり、に過ぎず事実かどうか確認しようがない。
もちろん議事録もない。
もっと言えば、深山会長の説明とはぜんぜん違う4者の話し合いの内容、というのも聞こえてきている。
国を挙げての大騒動となっている「加計ありき」と同じ匂いがする。いや、サッカースタジアム問題を仮に一枚の大パネルに時系列でまとめていくとするならば、「加計ありき」どころではない大事になるのではないだろうか?
だが、現在のスタジアム問題についてそこまで掘り下げようという動きはない。
その一方で、その根本的な部分は置いといて!?、基町地区の住民の声ばかり聴いてどうなる!という思いを強くしている人たちも増えている。
もう、このへんで手を打たないとスタジアムはもう永久にできない。そういう危機感がサッカー協会を始めとする関係者の間に広がっている。
4月にあった広島市議会の都市活性化対策特別委員会でも、「住民の反対が続いてもスタジアム建設は可能か」の問いに対して、スタジアム調査担当課長は「…制約はあるが建設することはできる」と発言して”強行突破”の布石を打ってもいる。
一方、基町住民にもいろいろな思いがある。
そのバランスを取るのは広島市の役目である。
文化スポーツ部の杉山部長は1月にあった基町地区住民との話し合いの冒頭で「まずもってお忙しい中このような場を設けていただきありがとうございます。10月に説明させていただききょうで2回目ですが、私ども広島市としては基町地区の街づくりが一番の主眼でございます。街づくりについてみなさんと一緒にご議論したいと思っております」と明言している。
基町高層アパート群など、日本でも稀有な生活空間を戦後復興事業の総仕上げとしてまさに創造してきたのは県や国とともに汗をかいてきた広島市自身である。
ゆえに広島市関係部局は今回の案件に関して、単に文化スポーツの側面からではなく総力を挙げてとりくむべきであり、それを広島市も自覚していることになる。
また、一方で基町地区の住民からは「中央公園には堀川もあり相当の税金を使った構造物がある、税金を無駄にするんですか?市の、特に中区の人のことも考えて!中区、広島市の人のことも考えてますか?」という声も複数上がっている。
要するに「中央公園案」を基町地区住民の問題に矮小化せず、広島市民全体の問題としてとらえるべき、との訴えである。
ならば広島市はHPなり、広報誌なりで、市民の声を募集した方がいいだろう。
普通に考えれば中区、東区、西区などの近隣エリアの市民がサッカースタジアム中央公園案にどんな意見を持っているか、は当然気になるところである。
もちろんひろスポ!では当の昔に市民、県民、県外の人たちの声は紹介してきたところである。
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北九州市がスタジアム建設にあたり、こと細かに住民側への説明会を繰り返し、HPでも細かく報告して理解度を深めるために最大限の努力をしたことも、すでにひろスポ!で取り上げた。
しかし、広島市は基町地区の住民にそう指摘されても、一向に動く様子はない?のである。
広島新サッカースタジアム取材班
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