「中央公園案」を危惧する中央公園そばの住民が作った合成写真。ほぼ3者側が考えている「配置」にスタジアムがはめ込んである。まさにこんな感じだが、実際には道路からはみ出して!?しまう…(トップ画像説明)
8月24日付の中国新聞23面に「サッカー場 配置図も住民提示へ」「中央公園案 市など29日説明」の見出しで記事が出た。
広島県、広島市、広島商工会議所の3者が中央公園自由・芝生広場(以下中央公園)に、もしサッカースタジアムを整備するとなった場合に、どんな状況が生まれ、基町アパート群など中央公園に隣接したエリアへどんな影響があるかなどについて、地元集会所で8月29日に説明会を開く。
その際、中央公園にどういう風にスタジアムをレイアウトするのか?その「配置図」も示されるとある。
だが、その「配置図」が示される前に、重要なことを先にここで述べておきたい。
誰もやらないので小学生の夏休みの宿題より酷い!?工作をひろスポ!ではやってみた。
すると中央公園にサッカースタジアムを造る、ということがいかに無理があるか、が改めて浮き彫りになった。
旧広島市民球場跡地より中央公園は狭い。
前回、ひろスポ!では以下の記事を掲載した。
中央公園にサッカースタジアムを建てるつもりで独自に検討、屋根架けしかない?保育園接近スタジアム
hirospo.com/pickup/40169.html
その記事の中では、広島市など3者側が考えているスタジアム建設場所に実際に立ってみての画像をアップした。次回、報告する予定だが、スタジアムを造るならこの場所しかない。
スタジアムは長軸を南北方向に取ってレイアウトされることが決まっている。ゆえに東西に横長の中央公園を、”無理やり”南北軸スタジアムで使うことになる。(だから、サッカースタジアム検討協議会でも候補地から落とされた、東西に長軸を持ってくると西日が競技の妨げになる、今のエディオンスタジアム広島がそれに近い)
広島市など3者側が基町住民にスタジアム配置図に示す予定の場所、もちろん配置図は広島市民全体に示すべきものである。画像奥の大きな建物は広島グリーンアリーナ
この画像の真後ろは基町保育園・幼稚園と小学校。公共施設に隣接するため、屋根は不可欠と前回、指摘した。ではどれほど両者は近いのか。それを今から”実演”する。
まず中国地図出版株式会社(広島市中区東白島、電話082・228・6465)から出ている「広島市西区・中区」住宅地図の関係するページをコピー。それを貼り合わせるとこうなる。この地図は個別に詳しく紹介されていて、使い勝手抜群だ。
上記地図では右下に100メートルが示してある縮尺も入れておいた。画像下に旧広島市民球場跡地、広島グリーアリーナを挟んで画像上部が中央公園。
次にサンフレッチェ広島のHPにある、Hiroshima Peace Memorial Stadium(仮称)のスタジアム詳細図面から、サンフレッチェ広島が旧広島市民球場跡地に建設する場合に考えた配置図にあるスタジアムをそのままかなり荒っぽい輪郭ではあるが白紙に落としこんでみる。
サンフレッチェ広島HP、Hiroshima Peace Memorial Stadium(仮称)詳細
www.sanfrecce.co.jp/peace_stadium/
それがこれ。
ほとんど小学生レベルだが、画像の上下(南北軸)の長さ、同じく左右(東西軸)の長さは自慢じゃないができる限り緻密にしたつもり。画像一番下側が相生通り。旧広島市民球場跡地の相生通り沿いにはポンプなど地下施設やシャレオからの階段などがあるため、ちゃんとそこはよけてある。
また、サンフレッチェ広島案では青少年センターの今ある部分にスタジアム出入り口を設けることになっており、そこもちゃんと加えておいた。スタジアム北側(画像上側)では、地下にある武道場を配慮する必要があり、そこもきちんと”切り落とした”。
で、この文字通り”白紙”のHiroshima Peace Memorial Stadiumを中央公園にもっていくとこうなる。
そう、完全に南北軸ではみ出している。この画像の一番下は交通量の非常に多い城南通り。中央公園の城南通りに沿ったエリアにはこの地図ではわかりにくいが人工のせせらぎが造られている。地図の一番下側左端に城南通りから北西に伸びる車道が見えるがあの車道の横に走っている位置までせせらぎは東西に流れている。
また、東西軸側にはやや余裕があるように見えるがそれも実はそうではない。次回述べるが東西もいっぱいいっぱいだ。余裕などない。
これはあくまでサンフレッチェ広島の独自案を中央公園に落とし込んだものであるが、だからといって、そのスタジアムですら入らないような場所を「第3の候補地」に最初に挙げた広島商工会議所の深山会頭は、この事実をちゃんと把握されていたのだろうか?
松井市長は?
湯崎知事は?
基町地区住民は?
広島市民は?
サンフレッチェ広島は?
すでにひろスポ!では何度も伝えてきたが、マチナカスタジアムは、東京五輪後の日本のスタジアム文化をまったく別のものにする、国家戦略の柱のひとつ。
今の3者と広島市の発想にはそこが完全に欠落している。広島市文化スポーツ部の杉山部長はすでに基町住民に対する説明の中で、スタジアムにおいて”その他、スタジアム運営をより多角的に、高価値化するための付帯施設等を”「考えておりません」と明言している。
しかもその理由は、中央公園とともに比較対象となっている広島みなと公園、旧広島市民球場跡地でその類のものは検討していないから、というものだ。
広島みなと公園「優位」と松井市長、湯崎知事が叫んでいた時には「サッカースタジアム検討協議会でも出された」との理由でMICE(Meeting(会議・研修)、Incentive(招待旅行、travel, tour)、 Conference(国際会議・学術会議)またはConvention、Exhibition(展示会)または Eventの4つの頭文字を合わせた言葉)施設の検討を進め、それを資料にまとめていたではないか。
よって、広島みなと公園、旧広島市民球場跡地にはないものだから、は通用しない。
だが、ハナからその類の本当に必要な選択肢がないほど狭い場所、とそう考えて間違いない。
東西に長い中央公園を芝生広場の方までフルに活用するなら話は別だが、「そこには手をつけません」とこれまた杉山部長はすでに基町住民に説明済み、なのである。
この項、つづく。
広島新サッカースタジアム取材班