サンフレッチェ広島優勝報告会で、サポーター、市民・県民らに向け湯崎知事、松井市長はスタジアム建設の推進を約束したはずだが…(トップ画像は知事、市長の声に耳を傾けるサポーター)
広島のサッカースタジアム問題でまったく「顔」が見えなくなっている広島のツートップと言えば松井市長と湯崎知事。
サンフレッチェ広島サポーター、旧広島市民球場跡地周辺の関係者、市民・県民、それに県内サッカー関係者(サンフレッチェ広島含む)の間では、怒りの声をとっくに通り越し、呆れ果てた声が上がっている。「いったい市長はどうするつもりなのか?」と…
以下、日刊広島新聞社(発行人・編集印刷 山本茂生、電話082・227・2890)から発刊されている日刊廣島、平成30年5月11日付紙面、一面記事をそのままここに掲載する。
※記事、本文中の太字はひろスタ!特命取材班による
サッカー場問題で問われる岸田さん
経済界は注文「広島を動かせ、国を動かせ」
サンフレッチェ広島はJリーグ戦13節を終えた6日の時点で11勝1敗1分。驚異的な成績で首位を独走中である。一方でホームスタジアム建設の進捗といえば、未だに日程も決まっていない。建設地は事実上、中央公園しかない、にもかかわらずその公表も出来ない。本格的な協議が始まって既に5年。なぜこれほどまでもたつくのか。政令市広島の力量が疑われかねない状況にある。
県サッカー協会とサンフレッチェ広島が約37万筆の署名を添え広島市、広島県、商工会議所(以下三者)にスタジアム建設を要望したのは、初優勝の翌年にあたる平成25年1月(署名総数は現在42万超)。同年6月に始まったサッカースタジアム検討協議会は、26年11月に19回の会議を経て終結している。
その後、三者による協議において「平成27年度中に建設候補地を決めて運営なども含めた方向性を出す」としていた。その期限はすでに2年以上を経過している。5年も費やしてなお決まらないのだ。
サンフレッチェ広島は昨年まで、6年間で3度の優勝を果たし、今年もリーグ戦の筆頭に立ち、広島を大いに盛り上げている。また国においては内閣府が昨年「未来投資戦略2017」を策定、重要方針のひとつとしてスポーツスタジアムやアリーナの整備を掲げている。2025年までに新たな20拠点の実現を謳っており、これを関係省庁が強力に推進する体制。広島のスタジアム構想はそのひとつとなっている。
環境的には強力な追い風がありながら、なぜこれほどまでに停滞を余儀なくされるのか。120万都市の広島で、5年をかけて計画の目処すら立たない。世間の目には異様にさえ映るだろう。
幾たびも覇者となりJリーグを盛り上げ、広島の誇りとなったサンフレッチェ。その本拠地スタジアム建設となれば、県・市も経済界も、県民も市民も挙げて、ワクワクと高揚した明るい議論になって当然と思えるが、決してそうではないところに問題がありそうで、何者かがムードを必死で打ち消そうと働いているのではないか、そんな疑念すら抱かせられる。
たとえばこの2月にあったサンフレッチェの激励会。知事も広島市長も挨拶で、渦中にあるスタジアム建設に一言も触れず、その不自然さは強烈に記憶に残った。唯一人、商工会議所の深山会頭が「言わせていただいていいですか」と早期建設を促した。また国の施策や支援体制について、県も市も積極的に言及しない。なぜそうなるのか。一体誰が足を引っ張っているのか。
サンフレッチェが求めていた「中心部への建設」に対し、県・市は当初、宇品の広島みなと公園を有力候補地として進めようとした。これに対し港運業界が猛反対、サンフレッチェが採算面から拒否する格好になったわけだが、宇品への建設を望んでいた様々な勢力がったにせよ、なかったにせよ、そういったしがらみ云々で事態を遅らせることはもはや許されない段階にある。また一連の議論に、サンフレッチェが招かれていないことは極めて不可解でもある。
こういった状況に、各界からは様々な意見が聞かれるところ。市議の一人は「建設地がほぼ決まっているにもかかわらず、日程を定めようともしないのはおかしい。本来は27年度中だったが、松井市長は改めて、タイムスケジュールを示す方がいい。三期目を目指すなら尚更、頑張っている姿勢を見せるべきだ」。
また岸田代議士に対して経済人からは「国が推進している施策なのだから、岸田さんが積極的に関与して、知事や市長に強く働きかけてはどうか。総理を目指すとあれば、広島でスタジアムひとつ建てられないようでは恥ずかしい。地元を治められないで国の舵取りどころではない。全国に誇るスタジアムを早く造るべきだ」、あるいは「広島を動かせ、国を動かせ。広島を動かせずして何ぞ国を動かせよう」など辛辣すぎるほどの声も巷間聞かれる。
いかにも動きの重く見受けられる県と市だが、周囲の視線は厳しさを増している。「待ったなし」の状況、今後どう動くか。