第100回記念大会の広島の夏を制した広陵ナイン(トップ画像)
(第100回全国高校野球選手権広島大会第10日、7月28日)
尾道市のしまなみ球場で決勝戦があり、広陵が延長十回、広島新庄に5対4でサヨナラ勝ちした。
広陵は2年連続23度目の優勝。広島新庄は昨夏の決勝で5-9のスコアで敗れた最大のライバル校を追い詰めながら最後の最後で涙をのんだ。
前日(7月27日)、広島商との古豪、名門対決を3-1の僅差で制した広陵(創部1911年・明治44年)は、1928年(昭和3年)創部の歴史ある広島新庄とも好ゲームを展開、第100回記念大会のエンディングで母校の校歌を歌い、甲子園でのさらなる飛躍を誓った。
シード校の広島新庄は決勝まで5試合全てに二桁安打を放ち、二桁得点も4度。対する広陵の先発は石原勇輝(2年)。その立ち上がり、一死一、二塁のピンチで自ら投ゴロを一塁悪送球。これがタイムリーエラーとなって1点を先制されると、さらに適時打され、いきなり2点を追いかける展開になった。
二回にも1点を追加されて0対3。迎えた三回、後攻めの広陵の攻撃は一死二塁か一番・高田桐利(3年)が4連続ファウルで粘ったあとライト線に適時二塁打した。これが広陵の初ヒット。
続く二番・吉岡広貴(3年)も詰まりながら左前に落としてチャンス拡大。ここで三番・金澤礼大(2年)の叩きつけた打球がセカンドのグラブを弾きセンター前へ。試合は3対3の振り出しに戻った。
四回の広陵はセンター藤井孝大(2年)にミスが出て、広島新庄が再び1点のリード。反撃の機会をうかがう広陵は六回からエース右腕の森悠祐(3年)を投入して打線の奮起を待った。
しかし広島新庄先発の桑田孝志郎(2年)も四回以降は立ち直り、そして八回も簡単にツーアウト…
広島新庄、優勝まであとアウト4つ…
…となって広陵は五番・福光竜平(3年)、初球打ち、ライト前ヒット。
六番・松本知樹木(3年)は、ボールワンからセンター前ヒット。これで二死一、二塁。
ここで七番・藤井孝大。低目の球をいい角度で弾き返し、センター前同点タイムリー。これでまた、どちらに転んでもおかしくない状況になった。
この回の広陵の3連打はいずれもファーストストライクを打ったもので、積極的に振っていくことで同点の扉をこじ開けたかっこう。
広陵の積極打法は、延長十回の土壇場でも繰り返された。
この回、広陵の攻撃は簡単にツーアウト。130球を超えてもなお桑田孝志郎のボールには威力があった。
六番・松本知樹(3年)もレフトフライ…しかしこの当たりが相手のミスを誘ってサヨナラのチャンスとなり打席には八回、同点適時打の藤井孝大。初球変化球ストライクのあとの2球目を強振!打球は詰まりながらも突っ込んできたセンターのグラブの先に落ちて熱戦に終止符が打たれた。
広島新庄の迫田守昭監督は八回、ライトの守りを青木龍世(3年)から田中智也(3年)にスイッチした。すると九回の守りでは先頭・森悠佑のヒット性の当たりがライト前に飛び、この打球に飛び込んだ田中智也がファインプレーを演じるという印象深い場面があった。この打球が抜けていれば九回で決着がついていただろう。
一方で広島新庄は、もうひとりの主戦投手、竹辺聖悟(3年)を投入しないで広陵打線と対峙するという選択もした。
連覇を狙う広陵の中井哲之監督は1点ビハインドでも森悠祐をつぎ込み、広島新庄の反撃を断つことに成功した。5回を投げた森悠佑が許した走者は、四球と内野エラーの二人だけだった。
サヨナラ打を放った藤井孝大外野手