トップ画像は2019年5月30日のトップ会談で中央公園へのスタジアム建設に関する基本方針をまとめた際の囲み会見の模様、なぜか(画像左から)湯崎知事、松井市長、深山会頭とも笑顔がない…
広島の新サッカースタジアム建設に向けかじ取りを続けている広島商工会議所の深山英樹会頭は10月15日、松井一実市長と湯崎英彦知事を訪ね、「活力と魅力ある都心空間づくりに関する提言」を手渡した。
市役所を訪れたあと深山会頭は次のように話した。
「サッカースタジアムの建設を起爆剤として、都心の賑わい作り、環境作り、魅力作りをどうしていくか」「サッカーの試合の日だけではなくて年間通じて周辺に多数の人出があるというふうなことで親子連れ、家族連れでにぎわうことにしたいと思っています」
提言書は、サッカースタジアムの建設地である中央公園広場とその周辺を新たな賑わいの拠点とするためのもので全21ページ。そのうち16ページは他都市の実例が掲載されている。要するに「提言」文自体はたった5ページしかない。
深山会頭は、”無風だった”中央公園広場をスタジアム建設地に変えたキーマンだ。
ただし、そのキーマンは10月末で広島商工会議所会頭を退任することがすでに発表されている。後任には広島銀行の池田晃治会長が内定している。
深山会頭については、新サッカースタジアム問題で、広島中央公園への候補地絞り込みを軸に建設の道筋をつけてきた、とされている。しかしまだ、”現物”がどんなものであるかは見えていない。
新球場、イコールマツダスタジアムの建設の際には当時の広島商工会議所 宇田誠会頭が寄付金集めに奔走し、建設から完成までを見届けた。野球で言うなら先発・完投したも同然。しかし、深山会頭の場合はキックオフ前にピッチからその姿を消すことになる。
繰り返しになるが、新サッカースタジアム建設のキーマンなのに、だ。
ただし、深山会頭に全部の責任を背負ってもらうというような類の話ではない。深山会頭はスタジアム建設場所を中央公園とする”結論ありき”のシナリオに従って、見事に問題を軟着陸させた。
その責任があるのでやはり、「第3の候補地」とさた場所にスタジアムなり多機能複合施設を設置したらどうなるか?を本来なら見届けるべきなのではないか?という話だ。
そういう意味も多分にあっての、今回の「活力と魅力ある都心空間づくりに関する提言」の提出となったのだろうが、その内容がちょっと総花的過ぎないか?
提言では、カフェやレストランや雨の日も利用できる子供向けの遊び場、人気のアニメやマンガのキャラクターと触れ合うことのできるミュージアムの誘致などが示されている。また、東側に隣接し、その集客力アップが課題となっている広島城のエリアに「広島の食」を堪能できる施設や茶道や和太鼓といった日本文化を体験できる施設などの整備も推している。
だが、その程度のモノなら先ごろ締め切られた一般市民・県民・サポーターを対象としたWEBアンケートでも、おそらく山のように届いているはずだ。
いったい、なぜ中央公園広場にサッカースタジアムなのか?当然マツダスタジアムのように「3世代」が楽しめて何度でも気軽に訪れる空間になるのだが、そのコンセプトは何か?そこを貫く「平和の軸線」をどう考えるのか?インバウドへの強力なアピールの場にするにはどうするのか?
そういうことを語るには5ページは少な過ぎる。他都市の例などはネットで調べればいくらでも確認できる。
以下、提言の趣旨のページを掲示しておくが、そこに書かれているのは今まで散々、新聞で報じられてきたありきたりな内容だけ。
日本の、いや世界のどこにもない、世界の人々の、地元の、広島の人々の笑顔の花が咲き誇るための仕掛けを考えるなら、まずはこのビッグプロジェクトのテーマをきっちりと定める必要がある。同時に途中でいなくなったりしないプロデューサーがいないと、どこにでもあるようなモザイク模様の陳腐な空間と化してしまわないか?
平気な顔?で広大跡地や、広島空港跡地をバラバラにバラすその広島市や県の感覚に任せておくと、また痛恨の極みとならないか?(ひろスタ!特命取材班)