「サッカースタジアム建設の基本方針」で合意を見たあと会見に臨む(画像左から)湯崎知事、松井市長、深山会頭
広島の新サッカースタジアム建設に関するトップ会談が5月30日、広島市中区の広島商工会議所で行われ、松井市長、湯崎知事、広島商工会議所の深山会頭の3者が出席した。
秋葉前広島市長の時代から遅々として進まなかったサッカースタジアム問題は2月6日、3者にサンフレッチェ広島の久保会長を加えた4者が一同に会して「中央公園広場が建設場所として最も適している」など、10項目に渡る合意事項について確認した。
場所が決まらないと何も始まらない…
その後、3者で議論を深め「サッカースタジアム建設の基本方針(案)」(A4サイズ4ページ分)にまとめたものが今回用意され、意見交換された。
2月の時点では、それまでの”成果”が3者の「合意事項」として、A3の用紙1枚にまとめられた。以下、その要旨。
・スタジアムは「建設が必要」
・3者はスタジアムの「建設の推進及びこれと連携した賑わいの創出に取り組む」
・建設場所は「中央公園広場が最も適している」
・建設資金は3者が協力して検討し「国の交付金を最大限に活用」するほか「関係企業、個人からの寄付金、使用料収入などにより資金を確保」
・規模は「3万人」
・スケジュールは平成31年度(令和元年度)に「基本計画策定、設計・施工の発注準備」、平成32年度(令和2年度)から平成25年度(令和5年度)に「基本設計、実施設計、建設工事、開業準備」
・中央公園広場周辺住民への配慮は「必要な対策を講じる」
・基本方針の策定については3者がサンフレッチェ広島の意見も聞きながら「速やかに、スタジアム建設の基本的事項をとりまとめた基本方針を策定する」
よって今回はより具体的な資金調達方法や細かいスケジュールはもちろんのこと、平和公園ほか周辺地域との連動を考慮した多機能、複合化の推進、すでに国内有数の集客施設に成長したマツダスタジアムに続く広島の顔としてのシンボル性確保へ向けた仕掛けなどをそうするか?というあたりが注目されたが、今回の「サッカースタジアム建設の基本方針(案)」に踏み込んだ内容のものは見当たらなかった。
簡単に言えば1ページが、4ページになっただけ…???
そんな中、具体的にどんなスタジアムを作り、周辺との連動をどうするか?複合、多目的の付帯機能などをどうするか?については今回、新たなに次の項目が設けられた。ただし、この話もすでに2月の時点では聞こえてきてはいたのだが…
10 事業推進体制等
基本計画策定時など事業の節目節目で建設に係る合意形成を図る場として、広島市長が広島県知事及び広島商工会議所会頭を構成員とし、サンフレッチェ広島会長をオブザーバーとする「サッカースタジアム建設推進会議」を設置するとともに、具体的な検討を進めていくため、同会議に各組織の事務方職員を構成員とし、広島県サッカー協会職員をオブザーバーとする「作業部会」を設置する。
またスタジアムの検討に当たっては、スタジアムが多くの人に愛され魅力あるものとなるよう、できるだけ多くの方々の意見を聴く必要があることから、基本計画の検討に当たってはサッカー関係者のほか、広く県民・市民の意見を聴き、こうした意見の計画への反映に努める。
2004年の球界再編問題勃発と近鉄球団消滅を受け、新球場建設促進会議が発足した際にもやはり「作業部会」方式が取られた。当時のことは以下、広島市のHPにも記してある。
www.city.hiroshima.lg.jp/toshikei/toshika/shinkyuzyo/zyokyo.html
「サッカースタジアム建設推進会議」のメンバー構成、並びに「作業部会」の顔ぶれが注目される。
また、オブザーバーとなるサンフレッチェ広島側の意向がどう汲み上げられていくかもポイントだ。
サンフレッチェ広島がオフィシャルサイトで示す、サッカースタジアム建設に関する基本的な考え方、ビジョン
www.sanfrecce.co.jp/club/conf03.html
同様に、広島県サッカー協会職員をオブザーバーとする「作業部会」がどんな形で作業を進めて行くか、も極めて重要になる。
広島県サッカー協会は長らく、スタジアム問題から距離を置かざるを得ない状況が続いていた。
2014年11月19日、官民11人でつくる「サッカースタジアム検討協議会」が1年半もの長期に渡って話し合いを重ね最終報告となる「提言書」を松井市長、湯崎知事、広島県サッカー協会の小城会長、広島商工会議所の深山会頭あてに提出した。
今となっては”余談”レベル?だが、最大のテーマで最初に決めるべき建設候補地に関しては「旧広島市民球場跡地」と「広島みなと公園」の2つが併記されていた。
2015年1月13日、提言書を受け、トップ4者が広島市役所で初会合。小城会長が「スタジアム建設をお願いする当事者なので、候補地が絞り込まれるまでメンバーから外れた方がいいと考えます」と4者会談を離脱する旨発言した。
これは表向きの理由であり、第3者が外れるように進言した、という裏話もある。
ちなみにこの時も松井市長は「すみやかに作業部会を設置して、前半で候補地を絞り込み、事業主体を決め、トップ会談。そののちスキームを決め来年、トップ会談で結論を出す」としていた。
広島県サッカー協会関係者が当事者としてサッカースタジアム建設に参加するのはそれ以来となる。協会関係者が危機感を持って行政サイドや関係者にアプローチし続けた成果と言えるだろう。
A3用紙1枚と4枚の差はそのほか…
7建設資金の確保、で「サッカースタジアムの施設使用料等を償還財源とする市債を広島市が発行する」が加えられた。これはまさに「新球場建設」イコールマツダスタジアム方式を踏襲したものだ。サンフレッチェ広島などが支払う使用料を返済に充てる。
6スタジアム建設に当たって留意する事項、も新たに加えられた。
1)スタジアムの多機能化と広場の再整備による魅力ある空間づくり
2)スタジアム建設と連携した紙屋町・八丁堀地区の賑わいの創出
3)広場機能、防災機能の維持
それに前回も明記されていた4)周辺住民への配慮も列記された。
3建設場所については前回、「中央公園広場」としたが今回は「具体的な配置場所については、今年度中に策定する基本計画において決定する」とした。一部、関係者からは現在、予定されている広島城寄り(東側)と反対の西端にあたる「川沿いに作った方がいいのでは?」という声も上がっている。
今回示された「建設場所」、画像右手側にわかりにくいが国道54号線、その右に広島城、左手側に本川と河岸
いずれにせよ、今回の3者の意見交換によって、基本方針(案)は合意事項となった。よって「作業部会」が活発に作業を進めることで2019年度内に、どんな規模のどんな機能を有したスタジアムが、どの場所にどんなレイアウトで、周辺との連携、アクセスをどう工夫して、いくらで造るのかが、はっきりする。
ただし、「誰がスタジアムを管理運用するのか」についてはこの日の意見交換内でも「基本方針」の中でもスルーされている。
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