森保監督が目指すのは応援してくれる人たちの笑顔…
森保ジャパン、ピンチ…
森保一監督の「広島経由」の10日間が終わった。
2019年11月10日、成田発、デリー経由でビシュケクに入ってから、11月19日にパナソニックスタジアム吹田でタイムアップのホイッスルを聴くまでの10日間…
14日、FIFAワールドカップカタール2022アジア2次予選ではキルギス代表に2-0勝利。
17日、待望の広島でU-22コロンビア代表と対戦、0-2で完敗。
そして19日はベネズエラ代表に1-4負け。「森保ジャパン、吹田の屈辱」などなど、厳しい声が飛び交う結末になった。日本代表は2020新ユニホームを11月6日に発表。コンセプトは「日本晴れ(ニッポンバレ)。でも、森保ジャパンは土砂降り!?
メディアは好んで記事にこんな情報を織り込む。
「前半だけの4失点は国際Aマッチでは1954年5月のインドネシア戦以来、65年ぶり」
65年ぶり、それくらい派手にやられてそこからまた反発すればいい。来年の東京五輪では1968年メキシコシティ五輪以来、52年ぶりのメダルを目指す。しかも狙うは「金」…
A代表とU-22日本代表。今回の10日間では森保監督の古巣、サンフレッチェ広島から招集された3選手のうちふたりがピッチへ。森保監督が広島で育てた浅野拓磨も試された。
サンフレッチェ広島のホームスタジアム、エディオンスタジアム広島でU-22日本代表のゴールマウスを守ったのは大迫敬介。2失点だから勉強代は高くついた。それを今後にどう活かすか?
試合後の大迫の話
結果として負けてしまったのは悔しいですし、これだけ観に来てくれたお客さんに勝つところを見せたかったです。内容ももっと、戦う姿勢を見せたかったと思います。(最初の失点は)相手がフリーだったので、駆け引きしながら我慢しながら対応できたまでは良かったのですが(手に当てて止めきれずゴールになり)あれを止めてこそだと思います。(2点目は)逆サイドに振られてどフリーだったので自分が対応しようかなと。そっから切り替えされた時にうまく味方と連携できませんでした。前半はチェックしてうまく対応できたので、後半は自分たちの流れが来るんじゃないかとみんなで話していました。そこで早い時間帯に失点したので、もっと集中したい。
(コロンビアは)個人技の巧い選手もいましたし、人数をかけて崩しに来ていました。そこで突破されるシーンが多くなり、最後、クロスで決定的なシーンまで作られたってのはまだまだ僕たちの課題です。
(森保監督が試合後、A代表のファーストチョイスになれるように、と話していたと振られて)そうですね、そういう意味でもきょうのゲームみたいに決定的なところで決められているようじゃまだまだだと思いますし、目指すところはそんなところじゃないので、きょうのゲームを自分の糧にしないといけないと思いますし、オリンピックまで時間がないのですがこういう相手とやれたのは間違いなく自分にとってこれからの力になると思うし自分の成長につなげていきたいですね。
広島での勝利を強く意識していた森保監督にとっても手痛い一敗。試合後、選手には、「我々が持っている目標(金メダル)が私だけのものなのか、チームで共有しているのか」という言葉を投げかけた。そのことを会見でメディアに明かした森保監督の声は少し擦れていた。
試合中は、横内昭展コーチに指示を任せ、ベンチ横でメモを取っていたはず。どこかのタイミングでよほどエキサイトしたのではないか?
いや、きっとそうだ。兼任監督としての言い知れぬ重責に立ち向かう指揮官はタフで、時に激しさを露わにする。
キルギスで出番のなかった佐々木と浅野は先発で吹田のピッチに立った。
フル出場の佐々木は前半22分の左CKで見事、頭で合わせたがGKの右足に当たってゴールはならず。
逆に大量失点する中で1点目は自らマークについていたサロモン・ロンドンに頭で決められた。相手はイッキのハットトリック。2点目も3点目、その目の前で奪われた。
佐々木の話
1トップと2列目、ボランチのところがつかみ切れていなかった。自分が防がないといけない失点もあった。単純なミスも多く、反省すべき点が多い。自分がアピールするより、チームが勝つのが一番のアピール。しかし前半、それができなかった。周囲とのコミュニケーションや距離感など、課題が多い。
そして、浅野。スーパーサブではなく、先発起用は森保体制で初。結果は防戦一方の前半で目立つ場面は少なく、後半20分、左サイドで佐々木からのパスを受け、そこから左足でシュート…しかし惜しくも枠の右に飛び、そこで交代を告げられた。
浅野の話
守備から入った時のチームとしてのイメージが合っていない気がする。「前から行こう」「2トップが限定して、後ろもそれについてくる」と全員で意識していたが、意識だけではうまくいかない、というのが前半だった。相手のポジショニング、技術が高く、フィジカルも強い選手が多かった。それならチームとしてどうしよう、というのができていなかったと前半は感じた。
1失点、2失点、そこで少しでも修正して、それ以上の失点を防ぐことで次に繋げる。そういう切り替えができるようにしないといけない。監督もハーフタイムに「4失点は取り返せないが、これからどう立て直していくか」と言っていた。そうした考え方、修正力を磨いていかないといけない。
ひとりひとりのトレーニングで補えることも考えるとして、それよりチーム力。一対一で勝てないならどうするか。一対一でクロスを上げられて「勝てよ」というのは簡単だけど、ボールを持っている相手に行かないことには…
試合前、共有していたことが序盤で圧倒されたため、逆に裏目に出た。それにこだわり過ぎて修正できなかった。選手同士コミュニケーションをとるとはいえ、全員のイメージを一気にひっくり返すのは難しい。柔軟な対応力、臨機応変さ、修正力が必要と感じた。
(文責・森保ジャパン取材班)