トップ画像はエディオンスタジアム広島のスタンドでクラブ担当者の説明を聞く安佐南保険センターの奥野博文センター長(中央左)
サンフレッチェ広島は6月9日、広島市安佐南区のエディオンスタジアム広島に新型コロナウイルス感染予防の専門家や広島市の職員を招き、公式戦開催時のクラブ側の準備状況について助言を受けた。
感染対策の専門家として参加したのは、広島大学病院感染症科の大毛宏喜教授と安佐南保険センターの奥野博文センター長。大毛教授は、NPBとJリーグが共同で設立した「新型コロナウイルス対策連絡会議」に専門家チーム・地域アドバイザーとして参加している。
Jリーグではすでに7月4日(土)からJ1リーグ戦の再開(当初は無観客)を決めている。サンフレッチェ広島は再開初戦(リーグ戦第2節)はヴィッセル神戸相手にアウェーで対戦する模様。(正式発表は6月15日)。第3節は7月8日(水)となり、エディオンスタジアム広島で開催される。
また、この日Jリーグでは各クラブ代表との実行委員会をオンラインで開催。7月11日、12日の土日曜に開催される第4節からは観客を入れて試合を開催する方針を一致させた。ただし、客を入れてもしばらくは5000人以下、もしくはスタジム収容人数の50パーセント以下。エディオンスタジアム広島はサッカー公式戦開催時に3万5000人を収容できる。
なお、入場がOKとなっても持ち込み飲食や飲食販売、応援方法などについてクラブごとに配慮が必要になる。
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エディオンスタジアム広島での専門家による視察はこうした点を踏まえて進められた。
選手ロッカーでは窓の開け閉め、空調、シャワー使用時の様子などが確認された。サポーターが開門まで列を作る入場ゲートでは、クラブ側が1メートル間隔に目印をつけたロープや体温チェックの状況などについて確認され、最後に実際サポーターが十分に距離を保って着席する様子を再現したスタンドの様子などが紹介された。
視察を終えた専門家二人からは…
・屋外のスタンドであれば飲食は可能で、対面販売や行列対策、ゴミの回収など感染予防に万全を尽くすことが望ましい。
・トイレなど手指消毒のための準備を万全にする。
・ロッカールームで多くの選手が一定時間、集まることは避ける。
・Jリーグでは2週間ごとのPCR検査を実施する予定で、選手から感染が広がる可能性は低いと考えられるが、念には念を入れて準備する。
…などの総括があった。
J1リーグは7月いっぱいは近隣クラブ同士での対戦を考えており、8月になれば徐々に試合開催の制約を緩和していくことになりそう。そうなればエディオンスタジアム広島スタンドでの飲食はサポーター入場可となった際には、かなり早い段階から可能になりそうだ。
一方で、入場チケットの販売方法については様々な課題をクリアする必要がある。
例えばサポーターの個人情報をどこまで集めることができるのか?JリーグIDがあればチケットはネットで購入できるが、場合によっては正確なチケット利用者の確定ができなくなるケースも想定される。”もしも”の時の対処(感染ルート確定)に支障が出るとスタンド開放は一気に難しくなる。
今後、Jリーグでは国内の感染状況や各都道府県の状況を睨みながらフレキシブルに対応していくことになる。
プロ野球開幕が6月19日に迫ってもなお、具体的な対策の乏しいNPBに対して、この日の実行委員会で「ガイドライン」や公式戦実施までの「7項目からなるプロトコル(実行手順)」と、無観客や入場制限の度合いを詰めた「8つのフェーズ(段階)」を確認したJリーグは遥かに”可視化”が進んでいる。
サンフレッチェ広島の専門家を招いての視察実施もその一環ということになる。
ひろスタ特命取材班
選手ロッカーで話を聞く大毛宏喜教授(左)と奥野博文センター長
奥野センター長(左)の話を聞くサンフレッチェ広島の仙田信吾社長(右)
入場ゲートに張られたロープ、1メートル間隔に印が入る
スタンドも視察
前後左右の距離を確保した市松模様方式