トップ画像中央右が株式会社SHIFTの丹下社長、その隣が福山シティフットボールクラブの岡本代表、画像右奥に見えるのは鞆の浦観光スポットの弁天島・弁天堂、岡本代表の左奥には観光船・平成いろは丸も見える、新たな船出…
福山シティFCの運営母体である福山シティフットボールクラブは11月24日、広島県福山市鞆町の福禅寺 対潮楼で会見を開き、中期経営計画案とトップパートナー契約を発表した。
会見には地元経済誌、中国新聞、NHKなどが集まり、同クラブの岡本佳大代表が福山シティ FC 公式 youtube チャンネルで生配信しながらマイクに向かった。
新型コロナウイルス感染拡大の逆風の中でのクラブ展開をより確固たるものとするため、中期経営計画では1年前に発表したロードマップに修正を加えた。
2023年にはJFL参入を果たし、年間運営費4億5000万円規模とする。さらに、1試合平均の集客力3000人を目指す。実績は2019シーズンが「平均6人」で2020シーズンが「平均300人」。
2024年には目標とするJリーグの舞台へ。初年度に必要な運営費を約7億円とした。
こうした階段を一気に駆け上がるためには当然”資金”が必要になる。今季を迎えるにあたり、コロナ禍による経営危機をクラウドファンディングで乗り越えた話はメディアによって広く伝えられた。
岡本代表は中期経験の中で「3、4年かけてスポンサー収入割合を今の76パーセントから50パーセントまで下げ、スポンサー収入以外のキャッシュポイントを構築していくこと」をクラブの経営方針に掲げた。
一方でクラブの屋台骨を支えるトップパートナーの重要性も強調し、それと並行して進めてきたファンクラブとアカデミーなど下部組織の展開についても具体化を急ぐとした。
中でもこの日、メディアの前で調印式が行われた株式会社SHIFTとのトップパートナー契約は強烈なインパクトがあった。
契約期間やスポンサー料は未発表だが、クラブのJリーグ昇格を見据えた複数年となっている模様。
ソフトウェアの品質保証の専門企業である同社は2005年9月、代表取締役社長の丹下 大氏によって設立され、2014年11月に東証マザーズ上場、2019年10月に東証1部市場変更。現在の時価総額は4000億円規模で、まだJ1から数えるとJ6相当(広島県社会人リーグ1部)の福山シティFCとはバランスが取れない?
が、さに非ず。
岡本代表らクラブトップ陣が2度アプローチをかけ断られ、それでも港区麻布台にオフィスを構える丹下社長の下を訪ねてついにはこの日のスポンサー契約にこぎ着けた。
丹下社長の下にはJリーグのクラブからも”支援要請”があったという。天皇杯であと2度勝てば念願のJリーグ勢と対戦することになる福山シティFCだが、ピッチ外では早くも一本取ったことになる。
丹下社長の話
「私のところにはいろいろなお誘いがありますし40社ぐらい投資しています。正直言うと応援するにしてもキリがないので基本的にお断わりしています。お断わりしても会いたいというのでよほどの熱意だなと。で、しゃべってみて本気なんだなと…。実は自分も府中高校でサッカーをやっていました。僕の同級生は若井(研治)君(元サンフレッチェ広島所属)で今は福山平成大学で監督をやっています」
「Jリーグですからかなり目標が高くて、若さでそれに向かっていく。自分も経営をやっているので分かるのですがお金がない中でいい人材を集めるのは難しいのですが、そういう意味でも今、Jリーグ選手に引けを取らない選手を熱意だけで集めているのはすごいことだなと思います。実は僕のところにもメルカリさんがオーナーの鹿島アントラーズなどからいろいろな情報が入るのですけれど、選手の給与や運営の仕方なども聞いています。Bリーグの話も聞いていて、自分としてはその運営方法で思うところがすごくあって、せっかく新しいクラブを作るのであれば今までのやり方ではない、でもしっかりと基板を築いてやればいいし、それができるのが岡本さんたちだなと感じました」
よくよく聞いてみると丹下社長は福山市街地から北へ車で20分の神辺西中学時代には野球少年で、府中高校では「午前中はサッカー、午後からは天皇杯テレビ観戦で360日サッカー漬け」だったという。1992年の広島ビッグアーチ(現エディオンスタジアム広島)こけら落しとなったAFCアジアカップも観戦した「カズやラモス、マラドーナ」世代のIT起業家で、その眠っていた?ハートを福山シティFCの強烈シュートが射抜いたことになる。
ひろスポ!広島スポーツ100年取材班
笑顔で丹下社長(右)と握手する岡本代表(左)
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