画像はマツダスタジアムの大型映像装置で紹介された SEIYA SUZUKI
SEIYA SU・ZU・KI!!!
灰色のシカゴの空に向かって、その名がコールされる瞬間が来た。本拠地レグリー・フィールドでの開幕戦、相手はシカゴの真北からやって来たミルウォーキー・ブルワーズ。
2013年9月14日、マツダスタジアムでスタートしたNPBでのキャリアは、9シーズンで902試合937安打182本塁打652打点、OPS・985。初めて四番を打ったのは2017年4月11日の東京ドーム、巨人戦だった。それからちょうど5年で夢が現実になった。
カブスの一員としてのデビュー戦は六番・ライト。
試合前のセレモニーでは、アメリカ国歌の前にウクライナ国歌が斉唱された。スタンドにはウクライナ国旗を掲げるファンの姿もあった。世界は広いが繋がっている。日本とも、だ。
二回の第1打席は一死二塁で回ってきた。相手の先発は前年のサイ・ヤング賞右腕、C・バーンズ。追い込まれながらもフルカウントにして四球で塁に出た。その立ち振る舞いは、NHK中継で“傍目”から見るぶんには広島時代とあまり変わらない。
1点を追う五回の第2打席では初球の外に逃げる変化球を見て1ボール。2球目も似た軌道ですかさずレフト前に弾き返した。最初のスイングで初安打。掃う様にしてうまく運んだ。これも広島時代の得意技のひとつだ。
このあとヒットで三塁まで進み、少し笑顔を見せたあと、犠牲フライでホームを踏んだ。
六回の第3打席も外角にばかり来る球をファウルにしながら四球を選んだ。
八回の第4打席は3番手右腕、S・カズンズのスライダーに手を出さず3球三振に終わった。ただ、こんなシーンもまた、カープファンにとっては見慣れたもの。いつもどおりと言えばいつもどおり…
チームは5対4で勝利!強風の中、センターのJ・ヘイワードと守備でも無難な動きを見せた総額8500万ドル契約の27歳ルーキーは、初日でチームメイトや3万5000人を超えるファンに極めて近い存在になった。
古巣のマツダスタジアムでは、この開幕戦が始まるちょうど9時間前の日本時間7日午後6時20分に、「四番ライアン・マクブルーム」が来日1号2ランを前四番のそれに負けない飛距離で左中間スタンドコンコースに打ち込んだ。
カープファンのお楽しみが文字通り倍増、日米同時進行の2022年シーズンの開幕…
(広島スポーツ100年取材班&田辺一球)