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2022年08月05日
編集部

被爆77年、ロシア、ウクライナ、台湾と中国…第3次世界大戦、核使用回避へ折り鶴に託された願い、広島スポーツ100年ができること~川風の街、七色の光#63

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折り鶴
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    ダグ

  • レッドヘルメット

画像は、比治山へと続く鶴見橋東詰で生きる被爆樹木(爆心地から1700メートルで被爆)シダレヤナギの折り鶴(2022年8月2日撮影)

 

 

広島ドラゴンフライズは8月4日、スポーツ選手の祈りが込められた折り鶴約千羽を平和記念公園の中にある原爆の子の像に捧げました。

広島ドラゴンフライズでは、ホームゲーム開催時にクラブの社会貢献活動「ピースプロジェクト」の一環として、両チームから1名ずつ「おりづる賞」の表彰選手を発表するなど、折り鶴を通じて「平和があるからこそのスポーツ」「スポーツがあるからこその平和」の想いを様々な形にする試みを続けています。

そのひとつが今回で2度目となる「おりづるリレー」企画。Bリーグ所属の全54クラブにも呼び掛け、同時に東京2020パラリンピックで活躍した車いすバスケットボール選手、広島県にゆかりのある女子バスケットボール選手、広島のスポーツチーム代表として広島東洋カープとサンフレッチェ広島の協力も得て、折り鶴とともにメッセージを送る選手たちの動画も集めて、クラブ公式Twitterアカウントでの「投稿リレー」も紹介しています。

おりづる フライガールズ
広島ドラゴンフライズホームゲームに姿を見せる折り鶴

同じ8月4日、ロシアのガルージン駐日大使が、やはり平和記念公園を訪れ原爆慰霊碑に献花しました。

広島市は今回、政府と相談した上でロシアのプーチン大統領や同駐日大使、ロシアと同盟関係にあるベラルーシ関係者を8月6日の平和記念式典に招待しませんでした。「核兵器」を口にするのはロシアだけではありません。北朝鮮もそう。でも、そちらはお留守? 今こそプーチン大統領に核兵器が絶対に使えないものだということを見聞きしてもらう時なのに……

 

 

米国で大統領の次の次という立場にあるペロシ下院議長が2日夜、台湾に入り、猛反発する中国がやはりこの日(4日)、台湾周辺6カ所で軍事演習を始めました。

弾道ミサイルを複数発射して5発は日本のEEZ=exclusive economic zone(排他的経済水域=沿岸国が海洋および海底下の生物・鉱物資源の探査・開発・保存・管理などに関して主権的権利をもつ水域。その幅は沿岸から200海里、約370キロメートルを超えてはならないとされている)内に落下しました。そこに漁船か何かが作業していれば“アウト”です。

 

 

2月4日、北京オリンピックの開会式。中国の習近平国家主席、プーチン大統領、そして国連のグテーレス事務総長らが同じ場所に居合わせていました。閉会式は2月20日。

そして、日本時間の2月24日正午前後、ウクライナの首都キエフ(キーウ)では警報が鳴り響き、ウクライナ国民は巡航ミサイルなどの爆発音でベッドから飛び出しました。時差は7時間。現地時間では早朝5時ごろの出来事です。その直前にロシアのプーチン大統領は早朝テレビ演説で軍事作戦の正当性をロシア国民に告げました。攻撃はその直後に一斉に始まったのです。

ちょうどそのタイミングで、ニューヨーク国連本部では安全保障理事会の緊急会合が開かれていました。ロシアの軍事力行使を押しとどめるためです。グテーレス事務総長は冒頭、プーチン大統領に対し、「ウクライナへの攻撃を中止するよう心の底から言いたい」と訴えたのですがその直後に、軍事侵攻が始まりました。

ウクライナの大使はその場で「戦争を止めるのが安保理の役割だ」「いまプーチン大統領やラブロフ外相に電話して侵攻をやめさせろ」と声を上げましたが、もう止めることはできませんでした。この時を境にして世界は「第3次世界大戦」へと大きく舵を切った可能性があります。それは未来の「教科書」で確かめることになります。

 

 

世界がふたつのグループに分断され、日本は中国やロシアと経済的な結びつきが深いにもかかわらず対峙することになりました。日中国交正常化から50年をこの秋に迎えるというのに、です。

広島1区選出の岸田文雄首相の心のふるさと、は平和大通りの東端で四季を通じて市民に憩いの場を提供している比治山です。原爆投下の際には山影に命を助けられた市民が大勢います。そしてこの記事の冒頭にある画像のように比治山もまた祈りの場所…

8月1日、国連本部であった核拡散防止条約(NPT)再検討会議で、日本の首相として初めて岸田首相が演説しました。が、「ヒバクシャ」とは一度も言わず、日本が距離を置く「核兵器禁止条約」にも触れませんでした。

 

一方、献花を終えたガルージン駐日大使は集まったメディアに対して「特別軍事作戦」展開中のウクライナで「核兵器を使用する発言はしていない、ロシアは核兵器廃絶へのリーダー」と”アピール”して見せました。

でも説得力ゼロです。ウクライナ国民を地獄のような日々に陥れ、無数の死を引き起こしながら「特別作戦」などと称すること自体が偽りの世界。長らく自分たちの都合、自分たちの思考で他国との関係を構築してきた人たちです。その凝り固まった発想と言動が改まることはたんぶんないでしょう。

それでも核兵器使用だけは踏み止まらせなければなりません。香港返還から「50年不変」を簡単に破り、ウイグル族弾圧など人権問題をひた隠しにしている中国もそうです。

 

似島
比治山からビルの先に望む似島

似島
似島ドイツ軍捕虜と”広島代表”が写る一枚

難しい舵取りどころかどちらに舵を切っても荒波が待ち受ける岸田首相はしかし、“広島代表”として平和を追求し続けなければなりません。6月28日、ドイでG7サミットが閉幕しました。次は広島の番です。広島のメディアや関係者らはよく「サミット効果」などという言葉を使いますが、そんな話ができるのは平時の話。有事の今、そんな悠長なことを言っている場合ではありません。

世界危機をどう回避するか?来年5月、被爆都市広島の、美しい瀬戸内海を見渡す一室で各国首脳が知恵を出し合わねばなりません。大きな窓の向こうにはかつての軍都広島の歴史とともに歩んだ似島が浮かんでいます。

似島はサッカーの島という顔も持っています。日本最初のサッカー国際親善マッチは似島に連れてこられた第一次世界大戦のドイツ軍捕虜と広島の学校関係者の間で行われました。1919年の話です。

同じサッカーで言えば、2021年6月10日、広島市安佐南区の広島広域公園陸上競技場(エディオンスタジアム広島)で、なでしこジャパンとウクライナの国際親善マッチがありました。

彼女たちもまた、平和への願いが込められた折り鶴でできたピアスやアクセサリーを関係者から贈られ、持ち帰っていますが、今、戦禍の母国でどんな暮らしをしているのでしょうか。招待すればまた全員、元気に来日できるのでしょうか?

ウクライナ
エディオンスタジアム広島にはためくウクライナ国旗

折り鶴
画僧中央は極小折り鶴、八重洲おりづる※を使用したペン(左)とピアス(右)、これらは日刊広島新聞社(広島市中区橋本町・発行人:山本茂生)からウクライナ代表に「コロナ禍で買い物などできなかったウクライナ代表チームへの広島土産」として贈られた。お礼に画像奥のサイン入りウクライナ代表ユニホームが同社に後日、送られてきた。

 

おりづる
※八重洲おりづる…国際平和文化都市、広島市で1センチ四方の紙からひとつひとつ心を込めて手折りでつくられています。縁起の良いおりづるは色々な願いを込めて古くから折られてきました。広島では平和のシンボルでもあるおりづる。みんなの願いが叶い笑顔や喜びが溢れていくことは、世界平和につながっていきます。いつでも身に付けられるおりづるとして、ピアス、イヤリング、チャーム、ペンと多彩なラインナップが揃っています。おりづるタワー、原爆資料館、広島駅ekieしま商店、宮島口ettoしかとレモン、宮島まる福物産、銀座tau、オンラインショップyaesuorizuru.theshop.jpで購入できます。

 

ひとり、ひとりが折り鶴に託した想いが「リレー」されて世界中をひとつにできれば、ミサイル攻撃や殺りくの連鎖も核兵器使用の破滅のシナリオもこの地上からなくなるはずです。

でも、果たしてそれはいつのことか?

かつて日本は核爆弾1発では戦争継続を止めることができませんでした。ドイツは核保有国ではありませんが、ロシアへの対抗措置として核搭載可能な最新鋭ステルス戦闘機調達を表明しました。日本でも言われている「核の共有」に前向きです。

難しい問題とどの国も向き合っています。誰も正解を知りません。そして、ひとたび戦争を始めたら誰が止めるのか?今のウクライナを見れば明らかで、ウクライナのゼレンスキー大統領が日本を含む多くの国に協力や理解を求めても終わりは見えてきません。

スポーツとともに被爆都市、廃墟の街から復興を遂げた広島では原爆の日の翌日、8月7日からBalcom BMW PEACE MATCHなど、サッカーを通じて広島から平和を発信するHiFA平和記念2022が開催されます。

スポーツでいつか、世界がひとつになれる日まで

被爆都市広島の願いは、8月が来るたびにその想いを強くしながら子どもたちの明るい未来へと続きます。
(広島スポーツ100年取材班)

 

※「川風の街、七色の光」は、戦前戦後を通じて広島の人々の生活に深く関わってきたスポーツのある風景を、この街の未来に繋げていくために”そのまま切り取って”残しておく、ひろスポ!連載コーナーです。(田辺一球)

 

関連記事(2022年8月5日掲載)
平和記念式典へのロシア不招待は何が問題か 被爆地・広島が人類史的役割を放棄した瞬間:朝日新聞GLOBE+ (asahi.com)

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