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2023年04月01日
編集部

春の広陵、満開ならず…第95回センバツ振り返り、もう夏は始まっている…

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広陵高校
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    ダグ

  • レッドヘルメット

画像は広陵高校

 

第95回センバツは4月1日正午から、準決勝で広陵を破った山梨学院(山梨)と同じく大阪桐蔭を破った報徳学園(兵庫)の組み合わせで決勝を行います。

広陵(広島)の20年ぶりの決勝進出はなりませんでした。

素晴らしいメンバーで素晴らしい戦いを重ねた、2回戦からの記事をまとめてみました。

夏こそ頂点へ…という期待を込めて…

 

3月20日
センバツV候補、ヘビー級の撃ち合いで広陵、二松学舎大付に”KO勝ち”

第95回記念選抜高等学校野球大会第3日(3月20日)
2回戦
広陵5-0二松学舎大付

昨秋の神宮大会準優勝の広陵は6位タイとなる2年連続26度目の出場となったセンバツの初戦で、4季連続出場の二松学舎大付を5対0のスコアで押し切った。

打っては12安打、走っては2盗塁、守っては主将でショートの小林隼翔(3年)のナイスフィールディングが光り、投げては完封リレーだった。

敗れた二松学舎大付の市原勝人監督は「相手のピッチャーがすごく良くて完敗です。チャンスは作るんだけどもチャンスの場面で相手投手にギアを上げられて1本が出なかった」と振り返った。

堂々たる体躯の選手が揃う二松学舎大府にはあの鈴木誠也2世が何人いてもおかしくなさうなほどの強打者揃い、要するにヘビー級…

ポイントに挙げたのは二回、エラーと四球から築いた一死二、三塁の場面。「あそこであと1本出ていれば流れも変わってピッチャーも息を吹き返していたかも…」と悔やんだ。

逆に初回、無安打で1点を先制した広陵はこのピンチをわずか7球で乗り切った。

先発した高尾響(2年)はその後も三回の二死一、二塁、四回の二死二、三塁をクリア!相手が今大会注目の2年生スラッガー片井海斗であろうが180センチ100キロの四番、五十嵐将斗(2年)であろうが只石貫太(2年)のサインにうなづき真っ向勝負した。

広陵打線がヘビー級パンチの応酬で貴重な中押ししたのは五回。

球数が70球を越えた二松学舎大付先発の重川創思を捉え、3本の二塁打とシングル1本の集中砲火。一番田上夏衣(3年)、三番真鍋慧(3年)、四番小林隼翔、五番只石貫太が快音を響かせながらフェアゾーンに弾き返して3者連続タイムリーで3点追加。

この時、おそらく二松学舎付バッテリーは事前打ち合わせ通りに投げていたはずだ。内角への力のある球で勝負!そこを見透かしたかのように若いカウントから見事にさばきまくるのが今の広陵打線。

その中で「超高校級」の真鍋慧はつなぎに徹する逆方向への左前打。これをやられると相手ベンチも手の打ちようがないだろう。(真鍋はこの日、5打席4打数3安打1四球で打点1+1失策)

その裏、五回のマウンドでも一死二塁から片井海斗をインロー真っすぐで見逃し三振に、五十嵐将斗をインスラで三ゴロに仕留めた高尾響はさらに粘りのピッチング。

六回の無死一塁、七回の二死二塁、八回の二死一塁も抑えて、二松学舎大付はついに10残塁となった。

昨秋の公式戦をことごとく継投で制してきた広陵は八回の加点で5点リードの九回、10番の大内啓輔(2年)を投入。結果は1四球無安打投球だった。

広陵はこれで大会通算40勝。1990年から指揮を執る中井哲之監督にとっては春夏通じて35勝目。「(打つ方は)本人たちに任せていたので、甘い球は思い切り行けと。特に左バッターにインコースを攻められていたんですけど、構わず思い切っていけとそういう形でした」と“あってないような”手の内を明かしたのであった。

 

3月27日
エース高尾155球の広陵、自慢の打線速射で海星(長崎)振り切りベスト8

第95回記念選抜高等学校野球大会第8日(3月27日)
3回戦
広陵(広島)3-2海星(長崎)

広陵スタメン(学年と投打)
センター田上夏衣(3年)右左
サード谷本颯太(3年)右左
ファースト真鍋慧(3年)右左
ショート小林隼翔(3年)右右
キャッチャー只石貫太(2年)右右
ライト田村夏芽(2年)右左
レフト中尾湊(3年)右左
ピッチャー高尾日響(2年)右右
セカンド松下水音(3年)右左

広島と長崎の選抜校が、コロナ規制緩和が実現した甲子園で激突した。

今の世界情勢を想えば意義深いこと、だ。

広陵は初戦で二松学舎大付とのヘビー級の撃ち合いを制した勢いで接戦をモノにした。

試合後、中井哲之監督は155球完投した高尾響の”奮投”を称え、3年生が五回までで毎回走者を背負いながら99球の右腕エースを支えたと褒めた。

4度目のセンバツ優勝を目指す広陵を率いる中井監督は自身、1991年と2003年に春を見事に制している。

それでもさらにその頂を目指す。

試合前には接戦になる、3点までに抑えて4点取って…」と予想していた。得失点とも1点ずつ少なかったがさすがの読みだ。

大正、昭和、平成、令和の時代を生きてきた100年を超える広陵野球の歴史の中でも平成2年(1990年)監督就任で春夏合計36勝目となったの指揮官の実績は特筆モノに値する。
百戦錬磨とはこのことだろう。
初戦の二松学舎大付戦では相手バッテリーの内角攻めを弾き返したが、この日は真っすぐの球速が120キロ台後半の左腕投手、吉田翔(3年)の前に芯で捉えることができない打席を重ねた。

二回、セカンド松下水音の送球ミス絡みで2点を先制され、よけいに空気が重くなりかけた…、が、外野からそう見えていたとしても広陵ベンチが浮足立つことはなかった。先制されても残り8イニングあれば必ずひっくり返すことができる。中井監督も選手たちもそう思っていたはず。逆に海星の加藤慶二監督は「敗因は3点目が取れなかったことです」と試合後に嘆いた。

ただ、それは広陵の2年生バッテリーとバックを固める面々が3点目を絶対に許さない形に持って行った、ということでもある。

打順2巡目の後半となった五回から広陵打線はイッキに捉えてみせた。

吉田の球数が50球を超えたところで一死から中尾湊がセンターフェン直三塁打。高尾自らの犠飛で1点差とした。ともにボール1からの2球目を仕留めた。

六回には先頭の田上夏衣が右中間三塁打。続く谷本颯太は初球で犠牲フライ。ここでもまた4球で同点にした。まさに速攻。相手ベンチに対策を練る暇を与えない。
七回は中尾と九番・松下水音のシングルなどで一死一、二塁として2安打の田上。強いゴロがセカンドの股間を抜け勝ち越し点が入った。このあと海星は二番手にスイッチしたが試合はそのまま進んで九回へ。

高尾の球数はすでに137球。先頭打者の深い位置へのショートゴロを主将の小林隼翔が大遠投してファインプレーにすり替えた。ファースト真鍋もミットをいっぱいに伸ばしてアシストした。こういうチームはやはり強い。

センバツ、ベスト8には作新学院(6年ぶり11度目)、山梨学院(2年連続6度目)、次に広陵が対戦する専大松戸(2年ぶり2度目)、選抜連覇に挑む大阪桐蔭(4年連続14度目)、東海大菅生(2年ぶり5度目)、報徳学園(6年ぶり22度目)、仙台育英(2年ぶり15度目)が残った。

広陵は昨年11月、初優勝を目指した明治神宮大会決勝で大阪桐蔭に5点差を逆転され準優勝、リベンジを果たすなら決勝の舞台へ。負けられない戦いを勝ち切るかどうか、注目!である。

 

3月29に
広陵打線、専大松戸の151キロ右腕・平野を積極打法で二回一気に攻略して9対2快勝、4度目春頂点まであとふたつ

第95回記念選抜高等学校野球大会第10日(3月29日)
準々決勝
広陵(広島)9-2専大松戸(千葉)

広陵スタメン(学年と投打)
センター田上夏衣(3年)右左
サード谷本颯太(3年)右左
ファースト真鍋慧(3年)右左
ショート小林隼翔(3年)右右
キャッチャー只石貫太(2年)右右
レフト中尾湊(3年)右左
ライト濱本遥大(2年)右右
ピッチャー倉重聡(3年)左左
セカンド松下水音(3年)右左

2回戦で二松学舎大付(東京)相手に5対0、3回戦で海星(長崎)相手に3対2のスコアで準々決勝に進んだ広陵が、専大松戸相手に13安打を放ち、形の上では9対2と圧倒した。

同じく準々決勝の大阪桐蔭(大阪)-東海大菅生(東京)は6対1で大阪桐蔭。

広陵と大阪桐蔭。昨秋の神宮球場での決勝では大阪桐蔭に軍配…両者激突への最終関門は2日後31日の準決勝…

試合は二回、専大松戸打線の3連打で幕を開けた。

広陵先発は背番号10の倉重。海星戦155球完投の高尾響は、準決勝登板を見据えてベンチスタートとなった。

昨秋の中国大会全4試合に先発してチームを優勝に導いた左腕が満を持して甲子園先発デビューを果たしたかっこう。

注目の立ち上がり、初回は10球でスリーアウト。二回も先頭を中飛に取ったが右打席の五番・太田遥斗(3年)に死球を与えると次打者は左打席の広川陽大(3年)には真っすぐも変化球もファウルにされてたまらず内角に投じた10球目を左前打された。そこからさらに連打されて先制点献上…

だが、ここは181センチの長身から投げ下ろす球を捉えた専大松戸打線を褒めるべきだろう。ただ、なおも一死満塁のピンチで後続を断った広陵バッテリー、もうひと押しできなかった専大松戸打線…

専大松戸は絶対的エースの平野大地(3年)が先発して、151キロ右腕vs重量打線。

二回の広陵は先頭の四番・小林が高目の初球を引っ張って左前打した。甲高い打球音は反撃開始の合図になった。

五番・只石は初球でバントの構え、2球目でヒッティング。一ゴロになったが一塁カバーの二塁手への送球が本塁側に逸れた。力が入るとだいたいそうなる。(記録はヒット)

続いては左打席の中尾。ここも初球を見た(ボール球)あと2球目はバント。捕球体勢に入った平野は一瞬、三塁を見てから一塁に投げたが中尾の足に負けまいと焦って悪送球。記録は犠打エラーで同点になった。

表の攻撃では球数40で1点が入ったが、裏の攻撃ではわずか5球で試合が振り出しに戻ったことになる。

このハイテンポな攻撃こそ広陵の広陵たる所以。その傾向は二松学舎大付戦でも見てとれたし、海星戦でも五回に8球で同点に追いつき、六回には4球で勝ち越している。

さらに海星戦でベンチスタートだった七番・濱本も高目の球を引っ張ってこれが2点適時打に…。そのあと一番に戻ると田上が歩いて一死満塁。ここで谷本も1ストライクから快音。引っ張った打球が二塁手の横を抜けて5対1となり、専大松戸は二番手・渡辺翼にスイッチした。

一死一、三塁で左腕vs真鍋…ボールカウント2-2からの真っ直ぐを弾き返した打球は左中間フェンスダイレクト。初回の第1打席ではライトに打ち返し二塁でアウトになったが今度は正真正銘の二塁打になった。この回10分ちょっとの攻撃で締めて6点…

続く三回の攻撃では、相手が左腕であっても2度、二盗を仕掛けてともにアウトとなった広陵は四回も一死から四球を選んだ田上が走って3度目のトライで盗塁成功。二死から真鍋が初球、甘く入って来たカーブを振り切って、ここも中越え二塁打で追加点。

八回、球数100が見えてきた倉重は四番・吉田慶剛に粘られて左越えソロを許したが、十分な援護点をもらってどんどんゾーンで勝負していたからそれも止む無し。七回、広陵がここでも二盗を絡めて小林の適時打で1点を奪い、再びリード7点とした。

広陵・中井哲之監督は七回、二死無走者でマウンドに送った2番手の岡山勇斗(3年)に八、九回も託すと、代打起用や守備交代でベンチ入りメンバー18人中17人までを使い切り、ベスト4以降の戦いに備えた。

広陵は大会第11日(31日)に山梨学院と対戦する。

試合後の中井監督の話
広陵生徒、関係者みんなのおかげなんで野球で頑張る幸せを感じています。(平野投手は)すごい早い球を持っていらしゃいますし変化球もすごくいいんで、低目の目付だけはしっかりしていって、積極的に足も使いながら思い切っていくということで臨みました。
こちらに来てずいぶん練習して工夫もしていましたのでやっと真鍋らしいヒットが出たと思います。
(盗塁トライは)とにかく攻めていこうということで、バントもスクイズも全部していくからということで、言い聞かして臨みました。

 

3月31日
毎回10安打の広陵、山梨学院打線に九回5点を許して決勝に届かず…

第95回記念選抜高等学校野球大会第11日(3月31日)
準決勝
広陵(広島)1-6山梨学院(山梨)

広陵スタメン(学年と投打)
センター田上夏衣(3年)右左
サード谷本颯太(3年)右左
ファースト真鍋慧(3年)右左
ショート小林隼翔(3年)右右
レフト中尾湊(3年)右左
キャッチャー只石貫太(2年)右右
セカンド松下水音(3年)右左
ライト濱本遥大(2年)右右
ピッチャー高尾響(2年)右右

広陵の、そして中井哲之監督の20年ぶり決勝進出はならなかった。打線は初回に先制点。先頭の田上夏衣がフルカウントから二塁打、続く谷本颯太は送りバント、三番真鍋慧はストレートの四球、ここで今大会打率5割の小林隼翔主将がライト犠飛。ホームに滑り込んだ田上夏衣はクロスプレーとなって左手でベースにタッチした。

さすがは広陵、という準決勝の入り。だが、二回、ヒット、暴投、外飛タッチアップで一死三塁とされた広陵バッテリーは、やはり主将の新藤天(3年)に同点犠飛を上げられた。

戦前のスポーツ紙評価では広陵がA、山梨学院はB。

広陵打線はその評判通り?二回以降も塁を賑わせて毎回の10安打を放ちながら結果的にはスミ1に終わった。”普通”ではありえない展開…

勝敗を分けたのは八回だろう。

山梨学院先発の林謙悟(3年)はすでに4試合をほぼひとりで投げてきて中1日。七回で100球を越えていた。

二死から五番中尾が右前打、続く只石は死球で一、二塁。七回あたりから山梨学院バッテリーは暴れかける球筋の修正に苦労していた。

打席には九番から七番に上がった松下水音。ストライク、高目ボール球、ファウルのあとの4球目は明らかなボール球。5球目も高目に浮いたため見送るとストライクのコールだった。満塁になるはずだったのではないか…

林vs真鍋でも、たら、れば…の場面が2度あった。

三回の一死一、三塁では高目に手を出して空振り三振、五回の二死二塁もインハイ攻めに詰まって三邪飛…

27日の海星戦で155球完投した高尾響は三回以降、表情を変えずに投げ続けたが、しっかり振り切ってくる山梨学院打線の前に徐々に消耗していった。

七回の二死二塁では中前打されたがセンター田上夏衣の好返球に救われた。

ギアを上げた八回は内野ゴロ3つ。

迎えた九回、先頭の二番星野泰輝(3年)に対して2ボールから2-2まで戻してフルカウント。6球目真っすぐを左前打された。

送りバントを挟んで高校通算44本塁打の高橋海翔(3年)。真っすぐも変化球もファウルにされた末、トータル141球目をセンター前に打ち返された。

再び田上夏衣のバックホーム…こんどは少し逸れた。

重圧から解き放たれた山梨学院打線は、そこから三塁打、二塁打と止まらなくなった。二番手倉重聡(3年)も3安打されて計5失点で勝負あり。自分たちが得意とする攻撃を相手にやられるという悔しい22分間になった。

勝った山梨学院の吉田洸二監督は、山梨勢の春夏通じて初の決勝進出に男泣き。敗れた中井哲之監督は10安打されながらも完投した林謙悟に脱帽だった。

 

追記:決勝は2点を追う五回に5連打と2ランなどで7点を取った山梨学学院が7対3で報徳学園に勝って山梨県勢初V。山梨学院のエース林は連投にも関わらず9回6安打完投。ひとりで全6試合をほぼ投げ切り(投球回51と3分の1)、4完投だった。

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