「チームのコンセプトを構築しながら高みを目指すこと」(森保監督)に挑戦中のサンフレッチェ広島がディフェンスとオフェンスの両面で難しい局面を迎えている。
2-0で快勝したアルビレックス新潟戦から中2日。アウェーでの横浜F・マリノス戦に0-1で完敗して前節7位に上げた順位も9位に逆戻り。首位をいく宿敵・浦和レッズは新潟に2-0で勝って4連勝をマーク。浦和の勝ち点は53、同37の広島との勝ち点差は16に開き残り9試合で広島のJ1・3連覇の夢は霧散した。
チームの課題は大きく分けて二つ。浦和の今季の失点はリーグ最少の20点でその原動力になっているのが広島から引き抜かれたGK西川であることは言うまでもない。
一方、西川に代わって再び広島のユニホームに袖を通したGK林は、この日も微妙なケースに遭遇する。後半42分、相手のワントップ伊藤とボールを奪い合いこれがPKになって決勝点が入った。
林に西川と同じパフォーマンスを求めるのではなく、林らしさを前面に押し出し、攻守に渡っての連携を深めていくはずが、それが思うような“進化”の道を辿れていない。いや、時間を要するケースもあるので“真価”が問われるのはこれからか?
一方の攻撃面は今まさに「構築しながら」の段階にある。佐藤寿人ベンチスタート、皆川ワントップのスタメン出場の形に移行してこの日が5試合目。皆川はスタメン2戦目となる8月30日の徳島ヴォルティス戦でPKを決めた以外はまだノーゴールだ。
しかも日本代表戦出場以降の3試合はシュートの数も2本、1本、そしてこの日はゼロ。代表戦以降は相手のマークがさらに厳しさを増し、その動きは完全に封じ込まれつつある。
もちろん皆川だけの問題ではなく、2列目以降との連携がここでも当然、課題になっている。
元旦の天皇杯決勝戦。0-2敗戦で悔しい思いをした横浜F・マリノスにまた負けて、これで森保監督自身、指揮を執ってからリーグ戦も6戦1分5敗。ACL出場枠の3位圏内までも勝ち点9差ともうあとがない中、残り9試合で「チームのコンセプト」の方向性を固めることができるかどうかが注目される。
文責・ひろスポ!サンフレッチェ広島取材班