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2017年12月26日
編集部

ナイキ仕込みのマーケティング、ブランド戦略で県内外に紫の新風を!(Ⅱ)サンフレッチェ広島の山本拓也新社長、目指すは「アスレティック・ビルバオ」

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サンフレッチェ広島サポーターの思いに応えるべく、山本拓也社長の挑戦が始まる(トップ画像は2017年11月26日のホーム最終戦、エディオンスタジアム広島より)

 

サンフレッチェ広島の山本拓也新社長会見が12月25日、広島市内であった。ひろスポ!から山本社長への最初の質問は「広島の都市規模なども考慮して、国内外に目指すべきクラブ、モデルとなるクラブはありますか?」

その答えは明快だった。

「ほかのチーム以上にサンフレッチェ広島は広島県ですと中国地方ですとかの選手を集めて広島県民、サンフレッチェ広島を愛するみなさんにお届けしたいという気持ちがすごくあります。それはかなりの特徴のひとつだと思っています。そういう面からすれば大きいですけどアスレティック・ビルバオというチームですね。バスクの選手しか入れないですとか…。で、そんな戦略を立てているにもかかわらず、あのチームは一度も2部に落ちたことがない。そういう強さを何でずっと続けられるのか。一度、ほんとに聞いてみたいと思っています」

サンフレッチェ広島の久保允誉会長が山本氏に白羽の矢を立てた理由も、このやりとりだけで頷ける。

クラブの過去と今を洞察して、未来の目標を明確に語る。ピッチの上での戦いより遥かに過酷な国内家電戦争を生き抜いてきた久保会長が経営者の目で見た場合、山本社長の持っている引き出しの種類と数の多さは魅力的だったはずだ。

会見の中で、山本社長はこう話した。

「今まで(ユニホーム)サプライヤーとして携わっていた人間がいきなり自分のチームの社長になるということで、おそらくそっちの方が驚きだと思うんですけど、やって欲しいことは、サプライヤーから選手へ、と(社長という)チームの一員から選手へ、でその思いはまったく変わりません。最後まで全力プレーしてもらい勝利を獲得してもらって、チームを応援してくれるみなさんを喜ばせて欲しいのが一番ですね」

話し出したら止まらない!?ナイキの実動部隊として、市場というピッチを駆け抜けてきた経験を今度はクラブ経営に活かす。

「これは城福新監督ともすでにお話したのですが、選手にはもっとサポーターやスポンサーのみなさんと接する機会をぜひ作っていただきたいと思ってします。サッカーに詳しい方はご存じだと思いますけど、ヨーロッパのクラブチームは日本とは比べ物にならないくらいサポーターやスポンサー、クラブを愛してくれるみなさんと接する機会を多く持っています」

「ドイツのクラブでは当たり前ですけど、試合後にグラウンドを一周してサポーターのみなさんにご挨拶してシャワーを浴びて次はスポンサーのみなさんのところに挨拶に行くんですよね。これがグローバルスタンダードだと思っています。こういったことも率先してやれるような、楽しいクラブチームを作り上げておきたいなと思っています。それによって選手にはどなたのおかげで今、サッカー選手としてやっていけてるのかをしっかり認識していただく、人間の幅を広げることで選手としての幅も広がってくるのではないかと思っており、それをぜひ期待しております」

山本社長が”名指し”したA・ビルバオは、リーガ・エスパニョーラ(2015-16シーズン)での19試合で79万4684人を動員した。

1試合平均で4万1825人。

トップのバルセロナは1試合平均7万8342人でシーズン148万8507人。A・ビルバオは4位にランキングされる。

ちなみに2015年の浦和レッズのJ1リーグ戦集客数は65万8668人である。

山本社長はナイキ時代にサンフレッチェ広島のほか、浦和レッズ、鹿島アントラーズの担当も経験した。

そうした経験からA・ビルバオのスタイルをこの広島に被せようとするのは当然の話だ。

A・ビルバオはスペイン北東部のバスク州ビルバオをホームタウンとする伝統あるクラブだ。リーガエスパニョーラを8度制し、山本社長の言うようにレアル・マドリード、バルセロナと共に2部降格がない。

また、契約するプロ選手はバスク州を中心にその周辺州など一定のエリアに限定されている。日本でよく言う「おらが町の選手」が集う。スペインには50の県があり17の州に属する。17州の中でバスク州の面積は下から数えて3番目。しかもビルバオ(人口約35万因)はビスケー湾からおよそ20キロの国土の北端に位置する。

こうした地理的背景と歴史的背景が重なり生まれた”純血主義”は、人気と実力の双方を手に入れるに至った、という訳だ。

繰り返しになるが、山本社長にはサンフレッチェ広島を日本のビルバオにしたいという明確なビジョンがあるようだ。

それはサンフレッチェ広島のJ1今季ホームゲーム最終戦で、スタンドに掲げられたサポーターの訴えを真正面から受け止めることにもなる。(この記事トップ画像参照)

 

サンフレッチェ広島が今季のホームゲーム17試合の中で最多入場者数を記録したのもその最終戦だった。その数2万2333人。この数字に17を乗じるとおよそ38万人。これでやっと”J1らくなる。

前出の浦和レッズは、今季J1リーグ戦の1試合平均でJリーグ最多の3万2542人を集め、Jで唯一の3万超えを果たした。それに通続くのは城福監督の古巣、FC東京で2万6490人。

3位は横浜F・マリノスで2万4766人、
4位はガンバ大阪で2万2277。
ガンバ大阪の平均値がサンフレッチェ広島のMAXという状況だ。

今季、J1で1試合平均2万越えは計8クラブだった。ガンバ大阪ユースに続くのは…
川崎フロンターレで2万2112人、
J2降格となったアルビレックス新潟が2万2034人、
7位はセレッソ大阪は2万970人、
最終節で連覇を逃した鹿島アントラーズが8位で2万467人。

サンフレッチェ広島の今季平均は1万4,042人。

その”格差”が埋まられないままクラブは今年で25周年を迎え、そして山本社長を迎えることになった。

今季の集客数と順位の関係を見ていくと集客数の多い順に…

浦和レッズ…7位
FC東京…13位
横浜F・マリノス…5位
ガンバ大阪…10位
川崎フロンターレ…1位
アルビレックス新潟…17位
セレッソ大阪…3位
鹿島アントラーズ…2位

セレッソ大阪はルヴァン杯で優勝し、天皇杯も決勝まで進んで横浜F・マリノスと対戦することが決まっている。

こうして見てみるとA・ビルバオ方式に倣っているのは、浦和レッズ、横浜F・マリノス、川崎フロンターレ、セレッソ大阪、鹿島アントラーズということになる。

なお、サンフレッチェ広島の経営を語る上では外せない「スタジアム問題」で見ても、川崎フロンターレの本拠地、等々力陸上競技場は2015年春、第1期整備としてメーンスタンドが改築され、今後も改良が続く。

ガンバ大阪は2015年10月に市立吹田サッカースタジアムが完成している。

そして浦和レッズ、セレッソ大阪(ラグビー兼用)、鹿島アントラーズもサッカー専用スタジアムを有している。

山本社長は言う。

「顧客戦略部を新設しました。(クラブ経営・運営のカギは)売り上げですね。入場者収入、スポンサー収入、グッズ収入の3つの大きな収入源。その中でもシーズンチケットなど会場に足を運んでいただく入場者収入には、まだまだ手がついていない、これからできそうなことが非常にあるのでないかと考えます」

「お客さんを呼び込むためのマーケティング、試合前後のイベントなどをやることによって、今までテレビで見てたけども試合に行こうかなと考えていただける方に、ひとりでも多くスタジアムに足を運んでいただきたいですね」

※この項続く

等々力陸上競技場コンコース
第1期の改修工事が終わった等々力陸上競技場

等々力陸上競技場外観
等々力陸上競技場外観

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