400人近いサポーターが見守る中、浅野選手もみんなと一緒にランニング
浅野拓磨選手にとって、最後の練習日がやってきました。曇り空、近くの山でヒグラシが鳴いています。少し涼しい風が吹く抜けます。
5月。U-23日本代表に復帰して、6月7日のキリン杯でフル代表デビューし、6月18日のホームで3カ月ぶりにスタメンに復帰し浦和を撃破…。「ハリルジャパンで風になる」ための第1歩を踏み出したあとは、海外からオファーが届くようになり、7月1日に五輪代表会見に臨み、そして7月4日にアーセナル移籍会見…
本当にあっという間でした。
いつものようにみんなとミーティングして、グラウンドでアップして、時には笑い、練習に集中するその繰り返しが、この空間ではもうあとわずか。
「あしたに向けての準備をみんなしてますし、変なことを感じながらプレーはしなかったと思います」練習後にはそう話した浅野選手でしたが、見ている方の気持ちが入り過ぎたのかやはりカメラのレンズ越しには少し違って感じられました。
隣りのグループには佐藤寿人選手や新加入のアンデルソン・ロペス選手も揃ってアップしています。自分と入れ替わりで新たにサンフレッチェ広島にやってきたFW…。
それをみつめる森保監督…
「寂しい」という言葉もこの日、口にした浅野選手。ピッチ上ではジャガーの愛称と同様、闘争心溢れえうハートの持ち主ですが、やはりその中の柔らかなところでは言い知れぬ感情がうずいていたかも…、しれません。
11対11ではこの日もビブス組に入り、精いっぱいにプレーしました。でもわずか10分で終了。
そして全員が集まって、森保監督の言葉に耳を傾けます。
大きな輪が解け、ビブス組の練習は終了。でも浅野選手は一番最後までピッチに残っていました。五輪代表候補合宿にも一緒に参加した宮原選手や丸谷選手が終わりの方まで付き合ってくれました。
そして…
着替えを終え帰路につく浅野選手は、もちきれないほどのプレゼントを手にしていました。
実は浅野選手の名誉のためにこれは言わないでおこうと思ったのですが…
浅野選手は報道陣からの最初の問いかけに「ずっと寂しいです」と話し、苦笑いでした。
でも、海を渡ればそんなことを言ってる場合ではないことも本人は重々承知しています。ロンドン在住のサッカージャーナリストの方から「2、3年の下積みも覚悟して…」とのメールがひろスポ!に届いたのも、つい最近のことです。
広島にいても、どこにいてもその環境が自分にとってベストになるように…
アーセナルで簡単にはやらせてもらえないことは分かっている
監督から「常に全力で、100パーセントで頑張ろう」ということを言われ、僕はそういう気持ちでやれてることですごく成長できていたと思う
サポーターの声に勇気づけられ、もっともっと頑張らなくてはならない、と心の底から思えたので、そういう広島での環境が自分のサッカーを支えてくれてすごく幸せだった…
いろいろなことを語り、経験を重ねて、そしていよいよサンフレッチェ広島のユニホームに袖を通してのラストデー、キックオフまであと20数時間…。
でもきっと大丈夫、心配しないでも大丈夫
スポーツでもっと幸せな広島へ…
そこには国境や時差や物理的な距離などとは無関係の、浅野選手のプレーによって生まれてきた心の繋がりが無数に重なり合っています。
みんなの声をこれまでどおり、その背中に感じながら、どこまで走り続けられるか
川風の街での思い出とともに、紫色から赤色へ、そして虹色の尾を引くスーパーゴールが国際放送などによってまた、みんなを喜ばせてくれることでしょう。
川風の街、七色の光…は…
食に中国地方の里と海の恵みを…「カープ坊やのマドレーヌ」「えごま味噌とのどぐろ味噌」のユメアスフーズ株式会社の協賛でお送りしました。
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