セ・リーグ最優勝防御率のタイトルを獲得した14勝左腕のクリス・ジョンソン投手が広島との契約を更新した。
新年俸は125万ドル(およそ1億5000万円)プラス出来高払い。
オリックスに移籍したバリントン(すでにオリックス自由契約の方針が判明)の穴を埋めるべく来日したジョンソンはデビュー戦でいきなり準完全試合の離れ業…。
その後もコンスタントに白星を挙げ、さらに8月の月間防御率は0・77、最終的には防御率1・85をマーク、9月は5戦4勝と勝負どころでもフル回転してチームのクライマックスシリーズ進出争いを盛り上げた。
特に本拠地のマツダスタジアムでは10勝をマーク。何度もお立ち台に上がりカープファンの心をガッチリとつかんだ。
広島は今季、69勝71敗3分けの4位。3年連続のクライマックスシリーズ出場を「あと1勝」が届かず逃したが、目標はそこにあらず。緒方監督の1年目にしてキャンプ当初から「優勝」を目標に掲げていた。
優勝したヤクルトは76勝65敗2分け。広島はあと7勝上積みする必要があった。
ところで広島の69勝のうちそのおよそ6割は、ジョンソン(14勝)、稼ぎ頭で沢村賞と最多勝のタイトルを手にした前田健太(15勝)、そして黒田(11勝)がもたらしている。
仮にこの3人が来季もそのまま”続投”したとしても、まだ優勝までは最低でも36勝(今季のヤクルトを想定)必要になる。
その黒田はシーズン終了後、来季のことについてほとんど語ることなく渡米した。ただ「日米通算200勝」まではあと7勝と迫っており来季もマツダスタジアムのマウンドに立つ公算が高いし、ファンもそう思っている。
残るはプレミア12に参戦中の前田健太…。
ポスティング制度を使って渡米する可能性が高いと見られる前田に対しておそらく様々な記事が今後、ネット上を賑わすことになるだろう。
そして仮にエース右腕が抜けるような事態となれば、来季の広島は「まずは勝率5割」を目標に据えることが現実的な目標となる。
だがそれは、実に25シーズン優勝なし、という国内プロ野球を見渡しても極めて特異な状況に完全にはまりこむことを意味しており、「お荷物球団」として消滅の危機にもあった弱小球団・広島がセ・リーグに参入して初優勝までに要した年月にさえ並んでしまう。
広島は前田健太が海を渡ることになった瞬間、危機的状況を迎えることになる。