日本プロ野球機構が11月20日、プロ野球ベストナインを発表した。両リーグ合わせて12名が初受賞となる中、広島の丸もプロ7年目で初のベストナインに選出された。
また、セ・リーグのセカンドは菊池がヤクルトの山田と”激戦”を演じたが、こうなってくると東京が本拠地の山田が有利…。丸とともに今季チームを引っ張り日米野球でもセカンドのレギュラーを務めた菊池は及ばず、山田が同じく初受賞となった。
ベストナインは投票資格を持つ全国の新聞、通信、放送各社に所属する記者(プロ野球取材5年以上)の投票で決まる。
今季、初めて全144試合にフル出場した丸は昨年の打率2割7分3厘を打率3割1分までイッキに引き上げた。しかもセ・リーグ最多の100四球。出塁率は4割1分9厘2毛5糸に達し、セ・リーグ最高出塁率をマークしたヤクルト・バレンティンの同4割1分9厘2毛8糸に”髪の毛0・3本分”だけ足りなかったが、出塁数では途中帰国のバレンティンを問題にしなかった。
丸は2012年秋に広島の打撃コーチに就任した新井宏昌コーチに”イチロー打法”を伝授された。
「 丸の場合は特に左肘の使い方が硬いので内寄りの球に反応し過ぎる傾向があります。基本的にはヘッドを残して打ちにいけば、足を生かしてヒットにすることだってできる訳ですから…」
新井打撃コーチの訓えはシンプルだった。オリックス時代、二人三脚で200本安打を達成したイチローの場合は「ストライクゾーンを縦(PC間の縦軸)に長く使えた」(同コーチ)が、丸の場合は内外角の打ち方を、それぞれティー打撃で徹底的にやった。
「先ずは外の球をしっかり打てるようにやっていきました。それまで(2012年シーズンまで)は外の球が打てなかったので…。それと新井さんには、相手ピッチャーの一番速い球にタイミング負けしないように、という風に言われているんです」
外の速い球をいかに確実にとらえるか?そのためにダウンスイングだったバット軌道もレベルに変えた。同時に構えた時のグリップの位置をずいぶん下げた。「僕の中ではアッパー、アッパーだと思って振っていたのですが、それでレベルスイングなんだと分かったんです、そりゃ最初は戸惑いましたけど、ずっと続けていきました」
内外角の球を仕留める割り合いが増えることで球の見極めにも磨きかかかった。また安打数が増えるとそれに比例して長打の数も増えた。
安打数は新井打撃コーチに出会う前の最終年が70安打、”イチロー打法”の1年目が138安打、そして今季は166安打。
だが、丸のプレースタイルの本質の部分は実は守備にある。
「僕が一番好きなのは守ること。一歩目を大切にして守りでチームの勝利に貢献したい」
2年連続でゴールデングラブ賞を獲得し見事、有言実行した丸のプレースタイルはやはり全国の投票権を持つ記者らの目にも”合格点”と映ったのだろう。
奇しくも前日には広島がドラフト1位指名した野間峻祥外野手が仮契約を済ませた。その存在はベストナインの「センター丸」をも脅かす可能性があるという。高いレベルでのポジション争いは、やがて日本一の外野陣を形成していくことに繋がるかもしれない。
日米野球参戦中の丸の受賞コメント「受賞出来て嬉しい気持ちでいっぱいです!まさか自分が受賞できるとは思っていなかったので、驚いています。今後も選ばれるように精一杯頑張っていきたいと思います」