「あすはカープの試合がないんで、みなさん!日本代表を応援しましょう!」
マツダスタジムのお立ち台から、前田健太がスタンドのファンに呼びかけた。
前回、登板から中14日。左わき腹に張りを訴え、一度先発を回避した分も合わせて?楽天打線を8回5安打1失点(自責0)、自身は5月29日のロッテ戦(マツダ)以来の6勝目をマークし、“悪夢の”9連敗のあとのチーム3連勝を呼び込んだ。
この試合では、再出発を誓いおよそ2カ月ぶりの先発を任された楽天・松井裕との投げ合も注目されたが、こちらは四回までで決着を見た。
前田健太は意識的に体全体を大きく使い、初回から150キロを超える真っ直ぐを見事に操り“寝ている体”を叩き起こしていた。
一方の松井裕はファームで再調整を終えてきたはずなのに体に力が入るばかりでボールの行方相変わらずバラバラ。二回には3四球で招いたピンチを何とか乗り切ったが三回には連続四球にボークも絡み、二死からロサリオに適時打されて2点を失った。
四回、打球が三塁ベースに当たる不運もあって3点目を失いながらも、一方で奪ったアウト3つは全部が空振り三振。非凡さと課題の両方が浮き彫りになり、“マエケンとの投げ合い”が本格化するまでにはまだ時間の必要なこともわかった。
広島はバックもエースをよく盛り立てた。打っても適時打2本の菊池は再々の好守で失点を防ぎ、八回に前田がふらつきかけた場面ではライト廣瀬が右中間の打球をスーパーキャッチしてみせた。
これで広島の交流戦成績は22試合で7勝15敗となり楽天と肩を並べたことで長らく指定席だった交流戦単独最下位からはひとまず脱出した。
一方の楽天はパ・リーグ最下位との“Wの悲劇”に片足を突っ込みいよいよあとのない状況になってきた。
日本時間のあす早朝、サッカーの日本代表は地球の裏側でギリシャと対戦するがこの試合も含めて残り2試合を戦い決勝トーナメントに進むことができる可能性は8・7パーセント。一方で過去のプロ野球交流戦を振り返った場合、最下位チームがリーグ優勝を遂げた例は一度もない。
セ・リーグ2位につける広島にしてみれば、交流戦最下位だけは何としても避けたいところ。
土曜日からはマツダスタジアムに日本ハムを迎えて交流戦の”締め”を行う広島だが、ここまで2戦全敗の相手を叩いて最下位脱出に全力を挙げることになる。