広島に復帰して最初のシーズンを終えた新井貴浩内野手(38)が11月17日、大瀬良、中崎、 福井、野村祐輔、菊池、小窪、それに石原とともに大分県の湯布院でリハビリキャンプに入った。
昨年11月14日にマツダスタジアムで緊張の復帰会見に臨んだ。
「 8年振りにカープに復帰するということで、本当に身の引き締まる思いです。 自分が自由契約という道を選択した時に、まさかカープの方から「帰ってこい」と言っていただけるとは想像していなかったので、正直かなり悩みましたけれども、やはり最後は育ててもらったところで燃え尽きようと思って、またお世話になることを決断しました」
「 今回カープから声をかけていただき、7年前と同じくらい、またそれ以上自分の中では悩みました 」
「今のカープは、若い選手がたくさん出てきて、勢いがあるなという印象があります。自分も勝負なので、初心にかえって泥だらけになりながら、その若い選手と競争していきたいなと思います」
「チームのために、優勝を目指して、勝つためにやるだけです。 背番号は28番です。はっきり言って何番でも良かったので、また初心に返って泥だけになってプレーしている姿を見てほしいと思います」
…そう言葉にして1年とちょっと。
そして…
紅葉と観光客と賑わいと、澄んだ空気と、そして落ち葉を踏みしめて歩く小道。何もかもが懐かしい。初めてここに来た時のこともよく覚えている。それは一人前になった証拠だった。
「すごい人」たちがここにリハビリのためにやって来るのだと新聞などで読んで知っていた。山本浩二さん、北別府さん…。
四番を打つようになってからは体もそうだが、押し潰されそうな重圧との闘いの中、心のリハビリも必要だった。でも、阪神のユニホームを着てからはここに来ることはなくなった。
長いシーズンを締め括るルーティンが変ったことで、心と体のリズムが「イマイチ」になったかもしれない。
「景色も匂いも、そして人も変わらない…。湯布院最高です」
自分に言い聞かせるように新井貴浩は言った。自分に対する最高のご褒美、今回の湯布院リハビリキャンプは格別なものになった。
温泉につかり、みんなでお決まりのポーズをとり写真に納まった。みんなの苦労や奮闘を頭の下がる思いで見てきた。
仲間の笑顔とグラウンドを離れてのやりとりの中で、もちろん反省することも多いけれど仲間と一緒でいることがどれほど素晴らしいことかがよく分かる。
言葉にしなくても石原と一緒に湯につかっているだけで十分だ。
「来年こそは優勝。自分もそうだけどやっぱりファンのみなさんには最高の思いをして欲しい…」
湯に癒されていても頭に浮かぶのはやっぱりそんなこと…。
湯布院の空を見上げまたその思いが強くなった。
公式携帯サイト「田辺一球広島魂」、365日連載コラム「赤の魂」より一部、抜粋。
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