チームメートと雨の中、練習を続ける広陵・中村奨成捕手(トップ画像、中央)
広島の各放送局は10月14日、クライマックスシリーズ・ファイナルステージを翌日に控えたカープナインや広島の様子を夕方ニュースなどで一斉に伝えた。
そんな中、10月14日に広島球団がドラフト1位で指名することを表明した広陵の中村奨成捕手の近況についても複数局がニュースで取り上げた。
「1位と聞いて嬉しかったです!」という中村捕手。ただ、9日後に迫ったドラフト会議に向け「どうなるのかな?」と普通の高校3年生と同じように進路について不安な思いも打ち明ける。
それでも甲子園を目指してともに切磋琢磨し、夏の決勝の舞台にも立ったチームメートらと練習を重ね、充実した高校生活を送ることで「やってやろうという気持ち」はますます強くなっている、という。
運命のドラフトは単独指名なのか?あるいは抽選で広島が引き当てることになるのか?
熱烈なカープファンの中村捕手と広島球団、相思相愛の仲を野球の神様が後押ししてくれそうな気配が漂う(ように感じる)。
もし中村捕手が広島に入団することになれば「ふたりがいれば今後15年、捕手の心配はいらない」(広島・松田元オーナー)という状況が生まれる。
「ふたり」というの中村捕手、そしてルーキーイヤーの今季、目覚ましい活躍で二軍のリーグ優勝に貢献し、一軍デビューも果たした坂倉将吾捕手を指す。
坂倉捕手の打力もまた高卒新人離れしており、ひろスポ!では2月のキャンプ以降、その「赤い神スイング」に注目してきた。先ごろ開催されたファーム二軍選手権でソフトバンク・森福から決勝3ランを放ち、その名はさらに広まった。
そしてこの夏、甲子園の大舞台で「清原越え」の1大会6本塁打を記録した中村捕手。しかも打球の方向は、右、右、左、左、中、中…
さて、広陵高校野球場は両翼91・5メートル。
中村捕手はロングティーでライトポール後方、およそ100メートルの屋内練習場に”ぶち当てる”練習も重ねてきた。
中村捕手はライト後方の屋内練習場を”目標”に右打ちも鍛えた
「木製バットへの対応」を危惧する声もあるが、おそらくそれは杞憂に終わるだろう。
その成長をずっと見続けてきた広陵・中井哲之監督は中村捕手の打撃の最大の魅力は「しなり」が使えることにあると説明する。
「しなり」とは、簡単に言えばバットをムチのように使える感覚を指す。広島球団が「内角のさばきと肩の強さ」を評価しているように、スラッガーとしての資質を中村捕手は備えている。右方向に長打が出るのも内角球をさばけるのも「しなり」の成せるワザということになる。
中村奨成捕手のスイング、「しなり」を効かせながらフィニッシュ!
体重75キロほどで、ウエートトレなど体幹を強化するような練習メニューはまだほとんど行っていないという中村捕手が、プロの世界で鍛えられたらどうなるか?
10月26日、ドラフト会議の2日後には日本シリーズも始まる。広島の、実りの秋はここからが本番、ということになりそうだ。