ドクター席からゲームを見守る寛田チームドクター(トップ画像手前)
開幕6連勝の好スタートを切った広島ドラゴンフライズはB2優勝とB1昇格に向け、今後も「取りこぼし」のできない戦いが続く。
2017-18シーズンは開幕から6戦目、第3節ゲーム2の熊本ヴォルターズ戦に敗れてからそのあとの10試合で3勝7敗と失速して、早々と優勝争いから後退した。
メンバーを大幅に入れ替え、尺野将太新ヘッドコーチのもとで戦う2018-19シーズンをより有意義なものとするためにはどんなことが大事になってくるのか?
チームドクターの立場からシーズンごとの戦いを見つめてきた寛田司氏に開幕6連勝のあと、話を聞いた。
―広島ドラゴンフライズがいい形でスタートを切りました。
寛田 去年の経験を踏まえて、落ち着いて戦えているように思います。B1の経験者が加入したことで、しっかり地に足のついた戦いが最初からできていますよね。6月にヘッドコーチが決まって8月には福山、9月には東広島でキャンプ、そのあとプレマッチでは課題もありましたが、その過程で少しづつ積み上げてきたものが力になっていると感じています。
尺野ヘッドコーチと朝山キャプテン。ふたりの連携がよくとれていて、ふたりがかりで選手にチームとしての姿勢や戦い方を選手に浸透させています。分かりやすく言えば、予習と復習がしっかりできているなという印象です。去年は様々な要因もあって戦術理解ができないまま本番に突入して、修正も効きませんでした。
今のチームは取りこぼしがありません。個人個人がチームプレーに徹している、とはこういう状況を言うのでしょう。当たり前のことを当たり前のようにやる。長丁場ですからそれが大事です。坂本ジェイ、山田ら経験豊富な選手の力がうまく噛み合っていることも大きいですね。
―フィジカル面ではどうでしょうか?
寛田 例えば坂本ジェイはフィジカル面での課題ともしっかり向き合いながら、きちんとトレーニングやケアを行うことで安心して見ていられる、そんなプレーを続けています。当然、ケガ人は出てきますが、そこをカバーしていけるようなチームワークも必要です。
メディカルと一体的になった取り組みを取り入れているのもこのチームの特徴のひとつです。故障者のケアはもちろんですが、ケガしていてもコートに立てるような状態にもっていくのも我々の仕事です。
―開幕6連勝とはいえ、B2には強力なライバルがいます。優勝とB1昇格は簡単ではないと思います。
寛田 おっしゃるとおりです。例えば島根スサノオマジックはベネズエラ代表のセンターなど外国籍選手を4人補強しました。熊本ヴォルターズもそうです。2016-17シーズンと2017-18シーズンのB2得点王、チェハーレス・タプスコット選手らを補強しています。また中地区・信州ブレイブウォリアーズのヘッドコーチは勝久マイケル氏に替わりました。昨年5月、松江市総合体育館で我々がB1昇格を懸け対戦した時の島根スサノオマジックのヘッドコーチです。
その信州ブレイブウォリアーズは開幕から無傷の7連勝です。一方、島根スサノオマジックは3勝3敗で西地区3位、熊本ヴォルターズは4勝2敗で広島ドラゴンフライズの背後につけて2位となっています。
―確かに選手も尺野ヘッドコーチも「取りこぼさない」戦いが大切ですと…
寛田 そうですね。B2東地区1位の茨城ロボッツも5勝1敗。ひとつ、取りこぼしました。広島ドラゴンフライズはここまではうまくいっています。でも、次節の福島ファイヤーボンズ戦のあと、熊本ヴォルターズと1試合(10月24日)、続いて島根スサノオマジックとの2連戦(10月27日28日)が控えています。まずは10月の戦いをいかに実り多きものにできるか、注目していきたいと思います。
寛田司(かんだ・つかさ)飛翔会グループCEO 医療法人社団飛翔会 理事長
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