「75年草木も生えぬ」広島の８月６日とシャペコエンセの悲劇、サンフレッチェ広島新外国人FWレアンドロペレイラ選手の祈り…川風の街、七色の光#40

2019年08月06日: 編集部

画像は会見するレアンドロペレイラ選手

８月６日、広島は人類史上初の都市上空への原爆投下から７４年の原爆の日を迎えました。

来年は７５年目。

「７５年は草木も生えぬ」

「マンハッタン計画」（原爆製造計画）に関わったハロルド・ジェイコブソン博士の談話として１９４５年年８月８日付けのワシントンポスト紙に掲載されたコメントです。

それから７４年後の８月５日、サンフレッチェ広島への加入会見に臨んだレアンドロペレイラ選手は「８月６日について知っていますか？」との記者からの質問に「いろいろな人から話を聞いてインターネットで調べています」と答えました。

そして、これまでブラジル、ベルギーなどでこれまでに８クラブを渡り歩き、今季新たな活躍の場に選んだ松本山雅ＦＣでの経験も踏まえて「行く先々ではその街の歴史を知ることが楽しみになっている」と付け加えました。

会見では２０１４年と２０１８年、来日前に所属したシャペコエンセについても質問がありました。

シャペコエンセの悲劇。

２０１６年１１月２８日、ラミア航空2933便が墜落て、シャペコエンセの監督、スタッフ、選手らが事故に巻き込まれました。

「亡くなったスタッフやコーチもそう、全員知っている人たちだった。朝、妻に起こされてニュースで知った。家族のような仲間たちが亡くなった。信じられなかった」とレアンドロペレイラ選手。

でも２０１８年、再びシャペコエンセの一員としてカンピオナート・ブラジレイロ・セリエA（ブラジル１部リーグ）を戦った時、辛い思い出の中に希望の灯りがともりました。

「存続すら危ぶまれたチームがすごく強いチームになっていた。そのことを誇りに思う。自分の人生において忘れることのない大きな出来事です」

レアンドロペレイラ選手自身もリーグ戦３４試合で１１得点をマーク。チームは２０クラブ中１４位と踏ん張りました。

松本山雅ＦＣからの期限付き移籍で広島にやってきたレアンドロペレイラ選手は「優勝するためにやってきた」と胸を張って答えていました。

広島の歴史に触れることで、もしかしたら絶望からの復興都市と「自分の人生において忘れることのない大きな出来事」を重ね合わせるかもしれません。

スポーツでもっと幸せな広島へ―

そして、もしも将来、レアンドロペレイラ選手が子供たちを指導するような立場になった時には、「君たちは広島を知っているかい？」と、奇跡の復興を遂げた街の歴史とそれにまつわるサッカーの物語を伝えてくれるかもしれません。

※「川風の街、七色の光」はひろスポ!がスポーツと平和について”描写”する広島の街の風景です。明治の終わりから大正、昭和初期にかけて広島スポーツが「最強」だった時代があります。「ライバルの存在」と「文武両道」の精神が「最強伝説」を作り上げました。以来、１００年以上の年月が経過しても、その精神は広島の至るところに引き継がれています。東京オリンピック・パラリンピックの開催が来年に迫ってきました。その１００年先の子どもたちの明るい未来に向けて、国内有数のスポーツ都市広島は着実にその歩みを進めていきます。（田辺一球）

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