画像は広島城と堀、その奥にサッカースタジアム建設場所に隣接する基町高層アパート、堀がスタジアムと広島城の2つの集客スポットをこのままでは分断する
ひろスポ!では、広島の新サッカースタジアム建設に向けてその建設場所を中央公園広場と決めるに至った際のキーマンである広島商工会議所の深山英樹会頭について緊急連載した。
特報!広島新サッカースタジアムに関する広島商工会議所 深山会頭の提言は提言たり得るのか?(前編)(2019年10月15日掲載)
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バラバラにされた広大跡地や広島空港跡地の二の舞は勘弁…平和の軸性はどうなる?広島新サッカースタジアムに関する広島商工会議所 深山会頭の提言は提言たり得るのか?(中編)(2019年10月17日掲載)
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場所決めだけで5年も空転!広島新サッカースタジアムに関する広島商工会議所 深山会頭の提言は提言たり得るのか?(特別編)(2019年10月19日掲載)
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深山会頭が松井市長、湯崎知事らに”託した”提言書の内容が希薄、かつ総花的であることはすでに指摘した。しかし深山会頭が提言書を提出するに当たりコメントした以下の内容は大変重要であり、それらを実現していくためには文字通り広島の英知を結集する必要がありそうだ。
「サッカースタジアムの建設を起爆剤として、都心の賑わい作り、環境作り、魅力作りをどうしていくか」
「サッカーの試合の日だけではなくて年間通じて周辺に多数の人出があるというふうなことで親子連れ、家族連れでにぎわうことにしたいと思っています」
提言書は、サッカースタジアムの建設地である中央公園広場とその周辺を新たな賑わいの拠点とするためのもので全21ページ。そのうち16ページは他都市の実例が掲載されている。要するに「提言」文自体はたった5ページしかない。
その5ページの中にもしかし重要な指摘がなされている箇所がある。以下の部分だ。
ここにある「アクセス性・回遊性の向上」は国策としてスポーツ庁が推進する「スタジアム・アリーナ改革」においても最大のポイントとなる。その地域の人々が何度でも気軽に通うことのできる空間でないと意味がないからだ。
この提言書では次の4点を掲げている。
・基町小学校前交差点周辺へのアストラムライン駅新設によるアクセス向上
・基町小学校前交差点周辺から広島城に通じる「歩行者橋」設置
・原爆ドーム、旧広島市民球場跡地、商業・宿泊施設、バスターミナル、水辺エリア、広島県立総合体育館、ひろしま美術館、広島城、県営基町住宅跡地など周辺エリアを楽しく回遊できる形での強化
・朝夕の慢性的な渋滞の解消・緩和及び交通円滑化促進を目的とした国道54号線の車線拡幅(広島城西側、基町高校前交差点から広島県立総合体育館前交差点)
アストラムラインは広島城の堀の南西角(かつての広島城の外堀・中堀)を地下部分で南北に斜めにショートカットして広島中央公園と並行する南北軸で運行されている。地下駅を作り、地下から中央公園と広島城内への動線を設ける。巨費を要するが、バリアフリー、国策としてのスタジアムを考えれば当然の措置だろう。国の支援も期待できる。
国道54号線の拡幅はスタジアムがあろうとなかろうと、すでに必要な策となっている。なぜ、基町高校交差点から南へ向けて片側2車線で作ってしまったのか?その先の広島県立総合体育館前交差点では右折車、左折車とも大量に発生する。最初から片側4車線であってしかるべきものだったのに…
驚くべきことに、これまで広島市側は基町住民への説明会で「スタジアムができても車両は中央公園エリアにはいっさい誘導しない」と言い続けてきた。しかしスタジアムの実際の運営を考えればそれは当然ながら無理な話であり、スタジアム周辺道路には片側2車線以上が必要となる。
それは試合のたびに1時間以上、車もバスも動かないマツダスタジアムでの失敗例を見れば明らかだ。マツダスタジアムを作ったのは広島市。放っておけば何度でも同じ失敗が繰り返される。
よってこの深山会頭の残した提言の中には、広島のサッカースタジアムとその魅力ある空間の成功の是非を左右する重要な「提言」が示されていることになる。(ひろスタ!特命取材班)