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2019年10月22日
編集部

広島新サッカースタジアム建設へ「意見を聴く会」から考える(2)成功のカギはストレスレスの回遊性確保、城南通りと国道54号で分断…は絶対NG、歩道橋程度じゃ話にならず!

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サッカースタジアム
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国道54号線を左手に広島城とその堀を見ながら北上した際に、行き着く広島総合県立体育館前の交差点がこのトップ画像。右手が中央公園側、ここに歩道橋ではなく人工地盤が不可欠、との声が上がるのもストレスレスの回遊性のためであり、それは今後を見据えれば当然…

下の画像は基町高校南詰あたりから見た南側の国道54号線、右側が中央公園側、左が広島城側、見事に分断されている…

サッカースタジアム

 

広島市は10月21日、中央公園に新サッカースタジアムを建設するための基本計画をまとめるための手段のひとつとなる「第1回サッカースタジアムについての意見を聴く会」を開催した。

「意見を聴く会」なので各委員がそれぞれの立場からの意見を話す形式となった。

ひろスポ!ではこの件について詳しく報じていく。

ひろスポ!ではこの連載に先立ち、「広島のサッカースタジアムに関する広島商工会議所 深山会頭の提言は提言たり得るのか?」を4度、連載した。その「後編」で次のように記した。

 

提言書は、サッカースタジアムの建設地である中央公園広場とその周辺を新たな賑わいの拠点とするためのもので全21ページ。そのうち16ページは他都市の実例が掲載されている。要するに「提言」文自体はたった5ページしかない。

その5ページの中にもしかし重要な指摘がなされている箇所がある。以下の部分だ。

ここにある「アクセス性・回遊性の向上」は国策としてスポーツ庁が推進する「スタジアム・アリーナ改革」においても最大のポイントとなる。その地域の人々が何度でも気軽に通うことのできる空間でないと意味がないからだ。

この提言書では次の4点を掲げている。

・基町小学校前交差点周辺へのアストラムライン駅新設によるアクセス向上

・基町小学校前交差点周辺から広島城に通じる「歩行者橋」設置

・原爆ドーム、旧広島市民球場跡地、商業・宿泊施設、バスターミナル、水辺エリア、広島県立総合体育館、ひろしま美術館、広島城、県営基町住宅跡地など周辺エリアを楽しく回遊できる形での強化

・朝夕の慢性的な渋滞の解消・緩和及び交通円滑化促進を目的とした国道54号線の車線拡幅(広島城西側、基町高校前交差点から広島県立総合体育館前交差点)

 

ここにある「回遊」性については、今回の意見を聴く会で複数の委員が声高に重要性に言及した。

その中でも特に印象的だったのが経済・観光分野の専門家として委員になった(公財)広島観光コンベンションビューロー 専務理事の北吉孝氏の話だった。その内容を以下、なるべく趣旨に反することのないよう列挙する。

※はひろスポ!補足

サッカースタジアム
中央が北吉委員

広島観光コンベンションビューローオフィシャルサイト
www.hiroshimacvb.jp/

・私どもの団体は広島における観光振興、国際会議などMICEに関する振興事業に携わっている。今回、その観点からの意見を求められていると考え、スタジアムそのものというより、その2点から説明したい。

・まず観光振興。一切、制約条件なしでの話になります。何よりも回遊性の向上です。スタジアム予定地の中央公園は、基町高層アパート、広島城、旧広島市民球場跡地、グリーンアリーナ等に囲まれ、さらに南で平和記念公園等に囲まれている。これらの地域、施設の魅力を総合的に考えることが必要。

・そのために各地域がストレスなく、来訪者が回遊できる工夫が必要。その具体策としてひとつ考えられるのは、国道54号線と城南通りで中央公園はその周辺と完璧に分断されているのですが、確か昭和56年に広島市が作られた都市計画では城南通りに人工地盤を構築して自由に南北に行き来できる、という絵もあったやに思います。そこまでは無理としても必ずデッキ(人工地盤)で城南通りと54号線で現在、分離されている南側や東側を結んでいただく。その際、ストレスなく中央公園、広島城、グリーンアリーナを回遊できる仕掛けをぜひお願いしたい。

※城南通りは当初の都市計画では現在のように通りによって南北を分断しない地下式道路として計画されたが練りに練った地下鉄構想さえ福岡市に持っていかれた広島の安直な交通行政によってこれまた絵に描いたモチとなった。すでに広島市では「大混雑」を心配する基町住民に対して中央公園から広島グリーンアリーナに向けてと、広島城側に向けて「歩道橋」整備案があることを示し予算も見積もっててきたが、その程度の付け焼刃的な発想ではとても対応しきれない。

サッカースタジアム
広島市が基町地区住民の「スタジアム建設と言うが今のアクセスルートではとても無理」との声を受けて説明会で提示した資料がコレ。スタジアム建設予定地の南端とその東側(画像では「サッカースタジアム」とあるその下部画像中央と画像右下、ともにピンクのライン)に歩道橋が示され「歩道橋を整備し歩行者動線を確保します」となっている。

・スタジアムの利便性確保について。交通動線としJRて新白島駅と紙屋町界隈を結ぶ二次交通の充実は必ずやる必要があります。

※二次交通…拠点となる空港、鉄道の駅から観光地、集客エリアまでの交通のこと。車以外の公共交通機関など地域の観光地は交通の便が悪くなっているところが多い、そこをきっちり抑えないとリピーターは期待できない。

・2つめは基町高層アパートの活性化です。現在、このアパートの商業施設は寸断化しています。この件では中国、韓国の方も大勢いらっしゃいますアパート住民の方々との話し合いが必要でしょうが、例えばスタジアムに訪れる3万人のみならず、試合のない日でも基町アパート商業施設を訪れる方々に中国料理、韓国料理などを提供できる市場(フードストリート)にリニューアルすることも選択肢になるのでは?

サッカースタジアム
シャッター通りとなっている商店街だが、元気に営業中の店舗もある

・3つめ、河岸緑地の有効活用です。平和記念公園、旧広島市民球場跡地、河岸緑地経由の中央公園。その動線確保の観点からも、ここを賑わいの空間として活用することが必要不可欠と考えます。

・このゾーンを一体的なスペースとして例えば低層レストランやショップなどが川に向かって立ち並ぶ場所にする。河岸緑地については徳島マルシェと言いまして、河岸にパラソルを立て市場を作り上げている成功事例がありますので広島においても農産物、広島湾の膿の幸を販売できる魅力ある空間にしていければと思います。

徳島マルシェのオフィシャルサイト
tokushima-marche.jp/

・あとはトイレ。できるだけ多く整備する。

・イベント開催時期に花火が上げられる仕掛けも。

・最後にMICE振興の観点から。ひとつ目はスタジアムのピッチを活用した屋外コンサート。そして客席を利用した表彰式、式典、野外パーティーが可能であるようだと大変嬉しいです。

・会議室は観客席下のスペースにぜひ整備していただきたい。その際、私どもが管理する会議の大きさからするとそこですべての会議をやるのは無理な規模なので、せめて3、4室、200人程度が会議できるものがれば、紙屋町ゾーンで行う会議のサブ会場に使えます。

・MICEに関する最後、3つめはレストラン。試合がない日になりますが、今、コンベンションを開く際にユニークベニューとしてそこで会議をし、パーティをするという仕掛けがあります。(紙屋町・基町エリアの)ひろしま美術館はユニークベニューができます。スタジアムでユニークベニューができる施設・内容にしていただければありがたいです。

※ユニークベニュー…歴史的建造物、文化施設や公的空間等で会議・レセプション等を開催することで特別感や地域特性を演出できる、参加者にとってはインパクトが強いものとなりその都市に対する理解度も深まる。

以上、北吉孝氏の話は極めて具体的であると同時に、基町高層アパートの現状にも考慮し、何より広島が一番苦手とする?回遊性とその回遊性に付加価値をつけるためのイメージがはっきり、クッキリ…

さらに広島が世界に誇るためのスタジアムの複合機能の中でも重要と思われるユニークベニューに関しても強くプッシュしたものとなっている。

手前味噌になるが、ひろスタ!特命取材班が実際にWEBアンケートの自由記述に記入したその内容ともかなりかぶっている。

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特報!サンフレッチェ広島新拠点にもなる複合サッカースタジアムWEBアンケート、驚愕の初日1万件突破!そこでひろスポ!も考えた、広島サッカーや利用者のファーストのこんなスタジアムが欲しいんじゃ(2019年9月4日掲載)
hirospo.com/carp/58790.html

広島市の担当者はこれまで、基町アパート住民への説明会で「スタジアム来場者はアパートエリアとは完全に隔離する」と明言してきた。それは住民サイドが子供の安全や生活の平穏を脅かされることを最も心配し声を上げてきたからだ。

しかし、今回の提案の中にもあったように、本来ならスタジアムへの来訪者を基町ソーンにも誘導するのが行政の役目である。なぜならば広島市や県はサッカースタジアムの中央公園建設を基町住民に受け入れてもらう”交換条件”として基町地区の活性化の目に見える形での活性化を約束しているからだ。

今回の「第1回サッカースタジアムについての意見を聴く会」で14人の委員が各自10分前後の意見を述べたその内容だけでも、これまで広島市が基町地区住民に説明してきた内容とは大幅に異なるものが多数ある。

住民側が言う「騒音」の元凶となるコンサートなどはその典型だが、しかしコンサートなしに「365日賑わう」仕掛けをするのは不可能かつ非現実的だ。何よりコンサートは施設運営側の安定収入になる。

よって広島市は先に行われたWEBアンケートの中身と「意見を聴く会」で出された案については基町住民側の理解を得ながら、極端に言えば180度の転換も含めてサッカースタジアムの基本計画をまとめる必要がある。

おそらく今回の15人の委員には「基町高層アパート側にはサポーターはいっさい行かせないことになっています」などとは説明されてはいないだろう。こうした矛盾をきっちり詰めることも大切であり、当然ながら基町高層アパートエリアも新スタジアムとともに未来へ向かって歩んでいくことになる。(ひろスタ!特命取材班)

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