広島新サッカースタジアム建設へ「意見を聴く会」から考える（３）スタジアムとその周辺空間に何を求めるか?アンケートで判明！「臨場感」と「入退場スムーズ」は切なる願い…

2019年10月24日: 編集部

画像はエディオンスタジアム広島で、サンフレッチェ広島のＪ１リーグ戦観戦のあとシャトルバスまで続く列

広島市は１０月２１日、中央公園広場に建設する新サッカースタジアムの基本計画をまとめるための手段のひとつとなる「第１回サッカースタジアムについての意見を聴く会」を開催した。

当日、１５人の委員のうち１４人が集まりそれぞれの立場で意見や提案を述べた。

委員は次の顔ぶれ。（敬称略）

学識経験者
桂田隆行　（株）日本政策投資銀行地域企画部課長
原田宗彦　早稲田大学スポーツ科学学術院教授
藤口光紀　広島経済大学経営学部スポーツ経営学科教授

経済・観光分野
北吉孝行　（公財）広島観光コンベンションビューロー専務理事
下村純一　広島市中央商店街振興組合連合会理事長
辻孝和　　（一社）日本旅行業協会中四国支部事務局長
福村剛　　紙屋町・基町にぎわいづくり協議会代表幹事

スポーツ分野
佐藤仁司　（公財）日本プロサッカーリーグクラブ経営本部クラブライセンス事務局スタジアム推進役
野坂文雄　（公財）広島市スポーツ協会会長
森崎和幸　サンフレッチェ広島選手ＯＢ
森崎浩司　サンフレッチェ広島選手ＯＢ

福祉分野
高橋博　　（公財）広島市老人クラブ連合会副会長
向井助三　（公財）広島市身体障害者福祉団体連合会会長

女性団体
山田豊子　広島市地域女性団体連絡協議会副会長

若者代表
田中優菜　広島市立大学芸術学部デザイン工芸学科学生

広島市ではこの日、メディアと各委員に向けて同時に「新しいスタジアム・公園に関するアンケートの回答について（速報版）も発表した。

アンケートはインターネットのみで受け付けられ、１０月１日から１４日の１４日間で9,517件の回答があった。

性別は男性67・３％、女性32・７％、男性が約２倍。

年代は20代以下24％、30代20・９％、40代26・６％、50代20・８％、60代以上７・８％。50代までは注目度がさほど変わらず、60代以上はガックリ興味が下がる…いやたぶんWEBがネック…

居住地は広島市内44・７％、広島市を除く県内29・８％、広島県外25・５％。広島市民の注目度の高さ、かつ県外から広島へ熱視線を注ぐ人たちの存在が際立つ、と言ってもいいのではないか？

次に「主な質問への回答」。アンケートでは問いに対して複数の選択肢を用意。複数回答可能で今回、回答数の多いトップ５が記された。

・スタジアムに臨む機能（ハード面）
客席とグラウンドの近さ、臨場感、8,216件、86・３％
ピッチがみやすい、73・４％
トイレ数、広さ、70・５％
客席ゆったり、67・７％
WIFI、44・９％

以上、当然ながら現在のエディオンスタジアム広島は全部ＮＧだ。

・スタジアムに臨む機能（ソフト面）
入退場がスムーズ、8,052件、84・６％
売店・屋台充実、71・１％
売店など購入スムーズ、ストレスなし、57・８％
観戦前後やハーフタイムのプログラム45・８％

ここで入退場に回答者が敏感に反応していることがわかる。ひろスタ！特命取材班の独自の調査でも「エディオンスタジアム広島のような大混雑はもうなしにして欲しい」と市民やサポーターは異口同音に、しかももう何十年も訴えている。

・スタジアムスタンド下、コンコースで試合日以外の日に利用したい施設・機能
カフェ、6,834件、71・８％
レストラン、62・８％
ショップ、58・８％
スポーツミュージアム、56・８％
子供の遊具などの遊び場、54・９％

・中央公園にあれば利用したい施設
カフェ、6,375件、70・８％
レストラン、59・９％
子供の遊具などの遊び場54・２％
スポーツミュージアム45・３％
フットサル42・８％

・中央公園で開催されれば行きたいイベント
パブリックビューイング、5,731件、60・２％
フードフェスタ、49・４％
ビアガーデン、40・７％
フリマ・マルシェ、33％
スポーツ教室など、21・７％

イベントについてはこれまで散々、旧広島市民球場跡地でフード・ビール関係の催しを開催し、また広島城周辺や広島グリーンアリーナで食の祭典を開催してきた実績があるので、回答者のイメージももうできているものと考えられる。

アンケートではそのほか、中央公園までの交通手段、公共交通機関利用の条件、余暇の過ごし方、広島市内や県内で行ったことのある観光スポット、出かけた際に飲食、土産に支出する額なども問うている。

そして最後には、自由に意見を述べるようになっている。どんな「声」が集まっているか、これはぜひ広島市のＨＰなどでオープンにして欲しい。

さて、ここで、ひとつ気になることを記しておく。

今回のWEBアンケートの回答数は9,517件。

しかしその前にも広島市では、市が基本計画策定に向け委託したPwC・昭和設計・福山コンサルタント共同企業体が中心となって９月２日から９月１６日までWEBアンケートを行いその応募総数は１万５２０８件だった。

市の担当者の説明では９月の方はサッカー好き、サポーターに向けてのもの、１０月はサッカーに興味のない人も含めて広島県内外の人たちが対象、とのことだった。

当然、後者の方が対象者は圧倒的に多い。

よって結論づけるなら「サッカーに興味のない人たちにとって、この話はまだ興味薄？」、一方で「サッカー、スポーツ好きは前のめりなくらい大いに注目してます！」、みたいな状況ではないか？

このプロジェクトはサッカー、スポーツを中心に、国内外の人々の生活が豊かになることを目指す。スポーツ産業に2020年のちにも新風を吹き込もうという国家戦略とも完全に重なっていて「ベネフィット」（製品やサービスを利用することで消費者が得られる有形、無形の価値）が将来に渡ってそこを訪れたすべての人々に提供されることになる。

よって本来、１０月のアンケートに回答すべき人々の対象は極めて幅広い。

が、当然WEBに馴染みのない人たちもいる。今後はやはり「私はあまり興味ない」「関係ない」と思っている人々の興味・関心をいかに喚起していくかが大事になってくる。（ひろスタ！特命取材班）

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