第2回中央公園サッカースタジアム意見を聴く会で、「我々ここにいる委員はスタジアム(だけ)を作ればいいなんて思っていないんですよ」と話す藤口光紀委員(画像右端)と話を聞く市側の担当者(画像左)
Yahoo!ニュース、2019年12月22日午前10時30分配信のこの記事…
新国立は「時代遅れ」になる? カギとなる「街と一体化」は欧州最新スタジアムでも
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配信元は株式会社 REAL SPORTS
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筆者はスポーツファシリティ研究所代表の上林 功 氏となっている。
上林氏は、建築家の仙田満に師事。環境デザイン研究所で主にスポーツ施設の設計・監理を担当したとある。主な担当作品のひとつがマツダスタジアム。マツダスタジアムの特徴は知り尽くしている方だろう。
上記タイトルにあるとおり、新国立はきっと時代遅れになる。しかもそう遠くないタイミングで、だ。
答えは簡単。
2020以降、日本のスポーツ市場を「15兆円」に引き上げるという国家戦略の根幹を成す、「スタジアム・アリーナ改革」の肝の部分である「スポーツを核とした街づくり」や「周辺エリアのマネージメント」がおろそかに(おそらく)されているからだ。
上林氏が指摘しているとおり、実は高くつき過ぎるからと一度はコンペで採用されながら却下されたサバ。ハディド女史(故人)による最優秀作品は「動線」を強く意識したものとなっていた。
すでに初代の国立競技場がマチナカにレイアウトされており、スケールアップした新国立はマチと一体化、いや融合しなければ「アリーナ改革」の定義に反することになるはずで、そこが未来的過ぎ?のあのデザインに繋がった。
そして代替案際採用の末、いざ新国立が完成してみると、予算を削ってややコンパクト化したものの、周辺のマチとの関係はキツキツ…それでいて既存の周辺環境と新国立は融合どころか別モノになっている。
新国立は文字通り国立で、文部科学省の中期目標管理法人である独立行政法人日本スポーツ振興センターが管理。運営する。国は自ら「スタジアム・アリーナ改革」の趣旨に背くような超巨大施設を東京のマチナカに据えてしまったことになる。
なぜ、この話になったのか?
広島市が国とおんなじことを”やらかそう”としているのではないか?という懸念が一気に広まったからだ。
ひろスポ!がなぜ次の記事を12月20日にアップしたのか?その理由はまさに、中央公園に建設予定の広島のサッカースタジアムが、このまま行くと、新国立のように周辺環境と”融合しない「時代遅れ」となるのでは心配したからだ。
中央公園サッカースタジアム意見を聴く会で、広島市の曖昧さに有識者から強い疑問の声上がる!なぜ、中央公園を考える有識者委員会が我々の委員会と並行して進んでいるのか!?(1)
hirospo.com/pickup/62038.html
ひろスタ!特命取材班では、これまで、旧広島市民球場跡地問題、サッカースタジアム問題に関わる協議会など○○会なるものをすべて取材してきた。
その中で、「中央公園サッカースタジアム意見を聴く会」に名を連ねる3名の学識経験者、4名の経済・観光のスペシャリスト、4名のスポーツ界からのスペシャリストは”最強”である。
広島に活動の拠点がある、ないに関わらずピンポイントで貴重な意見、提言がなされている。
その最強メンバーが最も重重要視したのが、スタジアムへの動線や広島城ほか周辺施設との回遊性、スタジアムを取り巻く環境の形成などだ。
ところが、上記の記事にあるとおり、この最強メンバーには、広島市が「中央公園サッカースタジアム意見を聴く会」と同時進行させている「中央公園の今後の活用に係る有識者会議」のことはまったく知らされていなかった。
「意見を聴く会」で市側3人の真ん中に座る中村純 都市整備局長は「中央公園の…有識者会議」でも3人のオブザーバーの中のひとりとなっている。
また、両会にまたがって参加している方が1名、また重複する所属先がひとつある。
前者は「紙屋町・基町にぎわいづくり協議会」代表幹事の福村剛氏。
後者は「(一社)日本旅行業協会中四国支部」。
よってそれ以外の「意見を聴く会」のメンバーが「?」となるのは当然で、同じことを「中央公園の…有識者会議」のメンバーも感じているかもしれない。
なぜ、ふたつ同時進行なのか?
その疑問に「意見を聴く会」の最強メンバーが気づかぬハズもない。
「意見を聴く会」は2回開催で終わり、一方の「中央公園の…有識者会議」は継続中…
なるほど「意見を聴く会」だから「聴く」ことに重点?
よって第2回の会議を終えたスペシャリストたちが厳しい表情で会場を後にしたのは言うまでもない。
冒頭の画像につけた画像説明にあるとおり、委員のみなさんは「スタジアム(だけ)を作ればいいなんて思っていない」。ところが広島市の考えはその真逆!
冒頭で紹介した上林氏は新国立の今後は「周辺との連携」にかかっていると訴えている。広島市の今の姿勢はまさにその命綱をぶった切ろうとしているのと一緒!
中村純 都市整備局長が最後にあいさつしたその内容が真剣に「意見を聴く会」と向き合ってきたスペシャリストたちの怒りの炎に油を注いだことは、みなまで聞かなくても容易に推察できる。
次回、紹介する。
ひろスタ!特命取材班