第1回中央公園を考える有識者委員会であいさつする広島市の中村 都市整備局長
どうして「中央公園サッカースタジアム意見を聴く会」と「中央公園を考える有識者委員会が我々の委員会」が同時並行で進んでいるのか?
それを報じるメディアはない。
そもそも同時スタートさせた広島市がその説明をしていない。
だからひろスポ!で…
「なぜ、中央公園を考える有識者委員会が我々の委員会と並行して進んでいるのか!?」の連載が始まった。今回がその6回目。
中央公園サッカースタジアム意見を聴く会の第1回は10月21日にあった。第2回(最終回)は12月20日。
中央公園を考える有識者委員会の第1回は8月29日だった。第2回は11月20日。
そして双方の会の責任者は広島市の中村純 都市整備局長。
中央公園サッカースタジアム意見を聴く会の開催目的は広島市によると…
サッカースタジアム建設については、令和元年5月に「サッカースタジアム建設の基本方針」を策定し、この基本方針を基に、令和元年度中に基本計画を策定することとしています。この基本計画の策定は、県民・市民をはじめ幅広く意見を聴きながら進めていくこととしており、この取組の一環として、有識者等からの意見を幅広く聴くため、「サッカースタジアムについて意見を聴く会」を開催します。
…となっている。スタジアム基本計画策定がそのゴール。
中央公園を考える有識者委員会の開催目的は…
中央公園について、平成24年11月に「中央公園の今後の活用に係る検討状況(中間報告)」を公表し、「にぎわいの空間」、「くつろぎの空間」、「文化を醸し出す空間」という3つの空間特性や、これらの空間特性に応じたゾーニングをお示ししています。
また、旧市民球場跡地については、その活用方策の検討に当たり、市民の各界各層から成る旧広島市民球場跡地委員会を開催し、その結果を踏まえて、平成25年3月に「旧市民球場跡地の活用方策」を、平成27年1月にその具体的なイメージを示した「旧市民球場跡地の空間づくりのイメージ」を策定・公表しています。
こうした中、この度、サッカースタジアムの建設場所が中央公園広場に決定したことから、これまでの公表資料を踏まえつつ、改めて、旧市民球場跡地を含む中央公園の今後の活用について、有識者からの意見を幅広く聴くため、下記のとおり「中央公園の今後の活用に係る有識者会議」を開催しています。
…となっている。
広島市や県の湯崎知事による”パワープレー”の末、広島市民球場跡地建設案から中央公園案に変更されたサッカースタジアムの存在が、中央公園全体に与えるインパクトは大きく、同時に秋葉市長時代には年間150万人を集めると公約した旧広島市民球場跡地をいかにソフトランディングさせるか、この2点を軸に、すでに公表から7年近く経過してピンボケした市のプランに修正を加えることがその狙いだ。
ここにある、、「にぎわいの空間」、「くつろぎの空間」、「文化を醸し出す空間」。
当然、中央公園を考える有識者委員会はこの3本柱を軸に話は展開する。
だが、第1回開催分を聴講した限り、その”守備範囲”はとてつもなく広く、そう簡単に具体的な話には行き着きそうもない印象だった。
そもそも広島市の示す原案が大まか過ぎる。
”守備範囲”という意味では明らかにそれより狭い中央公園サッカースタジアム意見を聴く会の方は委員が15人…それなのにこちらは委員が6人しかいない。
中央公園を考える有識者委員会メンバー(敬称略)
今川朱美 広島工業大学工学部環境土木工学科准教授
佐藤俊雄 広島市立大学特任教授
谷村武士 広島商工会議所専務理事
福村剛 紙屋町・基町にぎわいづくり協議会代表幹事
船場誠吾 (一社)日本旅行業協会中四国支部長
渡邉一成 福山市立大学都市経営学部
中央公園を考える有識者委員会メンバーのうち大学関係が3名。
座長の渡邉一成氏は2014年、福山市立大に着任した。それまでは一般財団法人計量計画研究所の都市地域計画研究室所属。都内の高校に通い、筑波大学 環境科学研究科卒。福山市立大学のオフィシャルサイトでは「従来の枠組みにとらわれない,柔軟な発想で将来の都市構造・都市交通体系・都市経営を一緒に考えましょう」と呼びかけている。
だが、県外や福山から俯瞰する、広島市の時間軸(縦軸)や平和の軸線を基本とした広がり(横軸)に対する深みはどれほどなのか…
第1回のやりとりを聞いた限りでは渡邉座長のハンドリングも相当、大変そうではあった。おそらく各委員も、簡単にはいかないことを実感しているはずだ。(口には決して出さないにしても…)
佐藤俊雄 特任教授も山口県宇部市内の高校に通い、名古屋工業大学大学院建築学専攻 工学部建築学専攻卒。
今川朱美 准教授も京都府出身。
県外だからいい、とか悪いということはまったくないが、偏りがあるかないかと言えばある。
中央公園は言うまでもなく特別な空間だ。
そこに長らく住み、暮らした人の思いが一番大切であり、街創りの専門的な知識やスキルはその土台の上にもってくるべきもの、だろう。
さて、前出の「にぎわいの空間」、「くつろぎの空間」、「文化を醸し出す空間」。
サッカースタジアム建設予定地の中央公園広場は「にぎわいの空間」の中にあり「くつろぎの空間」が若干かぶるような位置づけになっている。
「にぎわい空間」は旧広島市民球場跡地を南端に、北へ広島グリーンアリーナを経由して基町高層アパートの手前まで伸びている。
基町地区の住民がどんなに反対しようと、その住民の目の前までは最初から「にぎわい空間」。
さらに「空間」というからには最大のネックとなっている城南通りをストレスなく人や自転車や車椅子や電動シニアカーが行き来できる本格的なぺデストリアンデッキ(広場と横断歩道橋の両機能を併せ持ち、建物と接続して建設された、歩行者の通行専用の高架建築物)が欠かせない。
それらを中央公園を考える有識者委員会がスタジアム建設に向け早急に提案するなら話は別だが、そうはなりそうもない。
一方、中央公園サッカースタジアム意見を聴く会のメンバーは、サッカースタジアム中心の発想から、周辺とのアクセスについて城南通りへの対処や、広島城との間を分断する国道54号線について盛んに声を上げていた。
ゆえに、サッカースタジアムと周辺環境とのアクセス、融合性の確保に課しては、双方のスペシャリストたちの声をまとめる中村純 都市整備局長の”腕しだい”ということになる。
なお、中央公園サッカースタジアム意見を聴く会のメンバーには、「にぎわいの空間」、「くつろぎの空間」、「文化を醸し出す空間」のコンセプトや、中央公園を考える有識者委員会のメンバーに配布された中央公園に関する詳しい資料は配布されていない。
ひろスタ!特命取材班