第93回選抜高校野球第4日、第3試合(3月23日)
広島新庄が大会ナンバーワン打率(・407)を誇る上田西(長野)と見ごたえのある投手戦を演じた。
広島新庄はカットボールを操る花田が初回から飛ばした。初回、先頭の笹原に右前打され送りバントで一死二塁とされたが真っすぐで押して後続を断つと序盤3回で5つの空振り三振を奪った。
しかし上田西の左腕投手、山口も外角球のコントロールが絶妙。広島新庄は初回、先頭の大可が四球と盗塁で無死二塁としたがやはり後続なし。二回と三回にも得点圏に走者を送りながら攻めきれなかった。
四回、初めて互いに3者凡退に終わったあとの五回。花田は一死からフェンス直撃の左越え二塁打を許したがここも踏ん張った。その裏の広島新庄は一死から中国大会出場なしの八番・福本が三塁線を抜くヒット。しかし北田の強い当たりはピッチャーライナーゲッツー…
5回58球の花田は六回、先頭の笹原に真っすぐを左前打だれると、次打者、梅香の送りバントを内野安打にされて無死一、二塁…。三番・柳沢にはフルカウントから真っすぐを投げ込み4・5・3併殺に取って二死三塁。続く四番・杉浦は右飛。
七回は9球でアウト3つを奪い、ここまで80球。真っすぐのスピードは3、4キロ落ちてきたが中盤から投げ始めたカットボールが冴えた。
八回、広島新庄は思わぬ形でピンチを迎える。先頭の山口は投ゴロ…のはずが代打のあとファーストに入った伊永がファーストベースに入らず内野安打。送りバントで一死二塁となったところで宇多村監督はマウンドに秋山を送り込んだ。
右打席の笹原はここまで3の2。ボールカウント3-1からフルカウント、最後は主審のコールがワンテンポ遅れる見逃し三振。左打席の梅香は112キロのスライダーで空振り三振。大舞台で見事な投手リレー。広島新庄の底力が発揮された場面になった。
先制点が欲しい広島新庄はその裏、一死から福本が再び三塁線を抜いて出塁。代走・嶋田で勝負に出たが、左腕・山口に対して北田のボールカウントは1-2となり4球目で三振ゲッツー…。ピッチドアウトしてきた上田西バッテリーが一枚上手だった。
九回、上田西は113球の山口をマウンドへ。先頭は大可。ボールカウント2-2からのスライダーをヘッドを残してショート左をライナーで抜くヒット。ところが繁光の送りバントで大可のスタートが遅れて二塁で封殺され、背尾の初球バントも小飛球ゲッツーになった。
延長十回、広島新庄の二番手、秋山は左腕を振り続け低目に真っすぐとチェンジアップを集めて三振、三振、投ゴロとさすがの投球内容。
その裏の広島新庄はファーストに入った四番・花田から。左中間へのヒット性の打球は好守にあって左飛。その後も山口の前に出塁できない。
延長十二回、広島新庄は二死から三番・瀬尾が中前打。そして続く花田のここまで苦しめられてきたスロをとらえた打球がライト頭上を越えてサヨナラゲーム。ひとりで160球越えの山口に対して花田-秋山のダブルエースで繋いだ広島新庄に軍配が上がったが、ともに無失策の戦いは見事だった。
広島新庄の新チームから続く連勝は46に伸びた。中3日で次なる対戦相手はこの日の第2試合で大阪桐蔭を8対6で押し切った智弁学園(奈良)。再び好ゲームが期待される。
広島新庄 7安打1四球9三振1盗塁
上田西 8安打1四球12三振1盗塁
広島新庄
花田 7回3分の1、84球、6安打6三振無四球無失点
秋山 4回3分の2、73球、2安打6三振1四球無失点
上田西
山口 11回3分の2、162球、7安打9三振1四球1失点