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2021年10月01日
編集部

広島サッカースタジアム足元の被爆遺構をどうすればいい?市民の目からはシャットアウト!市民団体からはまた新たに「輜重隊遺構の現存保存を求める陳情書」が…

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トップ画像は文化スポーツ部文化振興課に平田太課長(画像奥右)を訪ねた加害の歴史から広島を考える会のメンバー(手前3名)

 

 

広島中央公園に建設するサッカースタジアムの敷地内で発掘された旧日本陸軍の輸送部隊「中国軍管区輜重(しちょう)兵補充隊」施設遺構について9月30日、加害の歴史から広島を考える会のメンバー3人が広島市役所文化スポーツ部文化振興課を訪ね、平田太課長に輜重隊遺構の現存保存を求める陳情書を手渡した。

 

一方、この日、サッカースタジアム建設予定地で一般の人にも開放される形になっていた施設遺構すぐ東側の南北横断通路へのアクセスが、敷地全体を囲う高いフェンスの設置完了により遮断された。代わりにおよそ40メートル東寄りに新たな南北通路が設けられたが、今後は施設遺構を一般の人々が目にすることはできなくなった。

 

陳情書を手渡したメンバーのひとり、金井良樹さんによれば、9月7日に始めた「撤去工事中止」を求めるオンライン署名に511人分の署名が集まったため「切の良い数字の段階」でこの日の陳情書提出となったという。

 

海外からの反響も、米国、豪州、韓国、ニュージーランドなど多岐に渡り、今後もオンライン署名は続けられる。

 

対応に当たった平田太課長と意見交換する場も持たれた。金井良樹さんらは、すでに始まっている遺構撤去作業の一時停止と市民らとの協議もしくはパブリックコメントを募集することでの、民意を確認した上での作業の推進を強く要望し、今後、文書でその返答を受け取ることになった。

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平田課長(左)に陳情書を手渡す金井良樹さん

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画像奥に施設遺構があり、ここから誰でも中を通過して観ることができていたが9月末でフェンスが設置された

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新たな南北通路を示す案内

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新たな南北通路、一番奥に広島グリーンアリーナが見える

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サッカースタジアム建設関連エリアは完全にフェンスの向こうになった、画像手前が広島城側

 

発掘された施設遺構については、そのスケールの大きさや、戦争加害者としての広島の歴史を「被爆」を経てなお残すという極めて特殊な過去を蓄積する空間であることから専門家や市民団体の間で、その価値を高く評価する声が多く上がっている。原爆ドームほか至近距離に散在する被爆関連施設とセットでその存在意義を国内外に知ってもらい、世界平和への礎の、その中心に据えるという発想だ。

 

広島の新サッカースタジアム、その器自体にも多くの関係者が「平和発信機能」の充実を求め、期待している。そのまさに足元(スタジアム建設基礎工事のため遺構の一部はすでに撤去済)で起こっている遺構施設問題とのダブルスタンダードは誰の目にも明らかだ。

 

6月15日の中国新聞“遺構の存在確認”第一報以降、ここまでの流れを振り返っても、話は平行線を辿ったまま…

 

一般社団法人 日本考古学協会が平田太課長宛てに広島城跡(サッカースタジアム建設予定地)における遺跡保存に関する要望を提出して8月16日に回答を得ているが、「事業計画の見直し・現地保存を含めた遺跡の保護策を講じること。」という要望に対する市側の対応に新たな動きを示すものや“妙案”は記されていない。

広島城跡(サッカースタジアム建設予定地)における遺跡の保存に関する要望について(回答) | 一般社団法人 日本考古学協会 (archaeology.jp)

 

また、8月24日には、広島の被爆者6団体と市民団体、専門家の計11者連名による「要望書」が広島市側に手渡され、テレビニュースや新聞記事でそのことが報じられたが、その後の対応を見るとやはりこうした声もほぼスルーされたまま、この日の南北通路移設、イコール市民の目から遺構施設を遠ざける結果となった。(工事作業工程上は仕方のないことなのだろうけども…)

朝日新聞関連記事
「切り取って保存、再検討を」 サカスタ遺構で要望:朝日新聞デジタル (asahi.com)

 

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スタジアム建設のスケジュールを“死守”しつつ、なおかつスタジアム周辺空間での民間活力導入による賑わいスポット創出も着々と進め、さらに遺構施設の保存や見せ方にも最大限の配慮を…。大変な作業ではあるけれども、当時の解体論から見事に救われた原爆ドームがそうであるように、広島の“命”を大切にするためにはそれも価値のある挑戦、ということになるだろう。

 

世界平和を希求する都市の真ん中で、“残念だ”では済まされない、“広島自身”が抱え込むことになった大きな課題…

 

国内外から広島にやってくる人たちに、我々はどんなところを一番、見てもらいたいのか?

 

 

先の解体問題発覚から一転、全面保存となった旧陸軍被服支廠(広島市南区)も、やはり「加害と被害」双方の歴史が詰まっている。多くの人たちが「見てもらいたい、壊せば見てもらえない」と「リアルさ」にこだわったのその思いが、大きなうねりとなっていった。

 

広島市が施設遺構問題の解決策の中心に一貫して据えている「資料保存」は「リアル」の対極にある。被爆者の方たちの生命は永遠ではない。我々には創意と工夫で「リアル」をなるべく後世に伝えていく義務を負っている。広島に生まれ育ち、スポーツを、音楽を、平和を愛するならば…(広スタ特命取材班)

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