劇的勝利を決め、ベンチに両手を挙げて戻る寺嶋良
広島ドラゴンフライズは12月12日、広島サンプラザホールでシーホース三河と対戦し、4クォーター、残り1秒7で寺嶋良が逆転スリーポイントを決め、2,026人が詰めかけたアリーナが歓喜に包まれた。
前日のGAME1。第1クォーターの入りで”冷や汗”をかきつつ結果的には快勝(広島74-三河91)となった三河の鈴木貴美一ヘッドコーチは「広島さんは個々の能力がある素晴らしいチーム、油断したらやられちゃう」と話していた。それが24時間以内に現実のものとなった。西地区首位を行く琉球ゴールデンキングスをピタリとマークするはずが今節で島根スサノオマジックに抜かれ2位から3位へ後退した。
第1クォーター、ベンチの朝山正悟(右端)に迎えられる青木保憲(中央)
第1クォーター、残り6:58で寺嶋良に替わってコートに入った青木保憲がいきなりスリーポイントを沈めていい流れが生まれた。この10分で青木保憲は出場タイム4:35の7得点。同5:25で6得点の寺嶋良を上回る数字を叩き出し、30-14と三河を圧倒した。
だが、第2クォーター10-24、第3クォーター15-28。続く20分間では計25得点に封じられた。辛うじて2点リードで第3クォーターへ入ったが、開始早々に逆転を許した。
55-66と2ケタ点差で最終クォーターへ。ここでも広島の得点は伸びず、第残り4:31で62-75と13点のビハインド、寺嶋良と辻直人のスリーポイントで68-75まで追い上げ、グレゴリー・エチェニケがねじ込み70-75となって残り1:34で三河タイムアウト…
最後の1:34攻防戦で、広島は寺嶋良を下げ、トーマス・ケネディを送り出す。ニック・メイヨのブロックショット(相手のシュートを防御)とトーマス・ケネディのディフェンスリバウドで失点を防ぎ、残り1分ジャスト!アイザイア・マーフィーからここで寺嶋良にスイッチ…
残り43秒、寺嶋良コーナーからの長距離砲で73-75、これをアシストした辻直人はさらにディフェンスリバウンド、そして残り1秒、渾身の決勝3点シュート…
その直前、頭を過ったのは同点狙いか、一発逆転か…。「勇気」を持って放った外からのシュートが広島ドラゴンフライズ、B1”新記録”のシーズン10勝目をもたらした。
寺嶋良の話
(残り1秒で)パスする選択肢はニックしかなくて、ニックがけっこう打っていいよ、という動きだったんで、彼が欲しがっていたらもっとそういうプレーするんですけど、思い切って打ちました。
(強敵三河に勝って)ある程度リードしながら最後逃げ切る試合が多かったんですけど、今回13点ビハインドから正確には1・7秒で逆転したんですけど、そういう状況で勝つことがなかったんでそれは本当に(チームの)自信につながると思います。
(8人での試合が続くという状況で)カイルコーチのペース配分っていうか、けっこう4ピリの4分か5分まで僕と辻さんが体力温存させてもらったんで、そこで最後、ああやって爆発できたのはカイルコーチの選手を使うペース配分が本当に良かったのだと思います。
8人でも絶対に勝てるとみんなが信じてこの40分間戦い続けたことが勝利につながったと思います。きのうはやっぱり仲間同士、8人でしかも三河相手でちょっと信じ切れていない部分があった。今回はそれが気持ちの部分でぜんぜん変わったと思います。
やることをやり続けたことが勝ちにつながったと思いますし、カイルコーチが自分たちがやることをある程度明確に出してくれたんで、やり続けて追いついたのは本当に良かったと思います。
13点ビハインドは、正直あの三河相手に今まで13点差逆転したことはなかったんで、勝てるとは信じてましたけど思い切ってとりあえずプレーして、そこでチーム8人が思い切ってプレーした結果、一桁になって流れもウチにきたんで、そこはほんとによかったなと思います。
(第4クォーター残り34秒の)あそこで2点じゃなく3点だったことでチームが勢いづいたと思いますし、あのコーナースリーの時もけっこうあの場面だったら(ドリブルからゴールに迫っての)レイアップでもいけるシチュエーションだったんですけど、スリーを選択したのでいい選択だったと思います。
(4クォーター)僕らとしても諦めムードがなかったといえばウソになるかもしれないのですけど、それでも何かきっかけあれば、チームに勢いがつくと思っていました。そこで辻さんのスリーだったり、他の選手のルーズボールだったりナイスディフェンスがきっかけになって勝利につながったので、(質問にあった)確かに相手のスキがあったかも、というのと、うちの好プレーが続いたのがこの勝利につながったと思います。
2000人を超える方が来られた中でプレーできて、ふつうなら13点差でもう帰っちゃうと思うんですよ、僕だったら帰りますし…そこで最後までいてくれて、それがほんとに力になりましたし、楽しんでいただけて嬉しかったです。きょうは幸せです。
カイル・ミリングヘッドコーチの話
ディフェンスが全体的にとても良かった。フィジカル的によく戦えた。そこからリズムを作ることができた。きのうもチームに言ったのですが、8人しかいない状況でひとり、ひとりがベストなプレーで役割を果たす必要があり、きょうはそこが見えた。青木選手、船生選手、いいシュートを決め、アイザイア・マーフィー選手もそうだが、いい活躍いい働きをした。
(第4クォーターは)ピックアンドロールはオールスイッチでいこう(相手のスクリーンに対して、すべてのマークマンを交換)と指示した。それで相手のリズムを崩そうとして、結果的にはそういう流れになった。
(寺嶋良残り1分での投入に関しては)まずビッグマンのラインナップでディフェンスしたかったので少し休んでもらい、その時間帯でしっかり守ったあと戻す予定だった。寺嶋選手は恐れを知らないシュートを打ってくれるオフェンシブな選手。日本代表も経験して大きなスケールのプレーヤーだ。
(中2日、広島サンプラザホールでの三遠ネオフェニックス戦に向けて)ビッグゲームを終え、まずは選手たちの体力的精神的なリカバリーが必要。きょうの勝ちをきょうはしっかりお祝いしてまた切り替えてやっていく。
(試合後、コートでファンに勝利の報告をして)みなさんのハッピーな笑顔を見て自分もハッピーな気持ちにさせられ、ほんとうに勝ってよかったと思う。グレートナイト!みなさんのエナジーやシュートが決まったあとの歓声、どよめきが我々の力になる。きょうは家に戻って祝杯、でひと息つきたいですね。
B1第10節GAME2
広島ドラゴンフライズ 76–75シーホース三河
1Q:30-14
2Q:10-24
3Q:15-28
4Q:21-9
おりづる賞:グレゴリー・エチェニケ
マンオブザマッチ:寺嶋良
入場者:2,026人
<スターター>
広島:寺嶋良、辻直人、アイザイア・マーフィー、グレゴリー・エチェニケ、ニック・メイヨ
三河:カイル・コリンズワース、角野亮伍、西田優大、シェーファーアヴィ幸樹、ダバンテ・ガードナー
【主なスタッツ】
広島ドラゴンフライズ
◆得点
グレゴリー・エチェニケ 18得点
寺嶋良 17得点
ニック・メイヨ 13得点
◆リバウンド
ニック・メイヨ 10リバウンド
グレゴリー・エチェニケ 8リバウンド
辻直人 4リバウンド
◆アシスト
アイザイア・マーフィー 5アシスト
寺嶋良 4アシスト
辻直人 3アシスト
ニック・メイヨ 3アシスト
シーホース三河
◆得点
ジェロード・ユトフ 17得点
ダバンテ・ガードナー 15得点
角野亮伍 13得点
◆リバウンド
ジェロード・ユトフ 14リバウンド
ダバンテ・ガードナー 7リバウンド
カイル・コリンズワーズ 4リバウンド
シェーファーアヴィ幸樹 4リバウンド
◆アシスト
カイル・コリンズワース 7アシスト
長野誠史 4アシスト
ジェロード・ユトフ 3アシスト
残り1秒7逆転ドキュメント…
第1クォーター、広島ドラゴンフライズ上々のスタートも…
シーホース三河に押し込まれ、GAME1に続いて敗戦濃厚に…
そして第4クォーター、残り1分43秒で、シーホース三河タイムアウト
タイム明け、寺島良(画像右端)がベンチに下がりトーマス・ケネディがコートへ、画像左端が最後の勝負に出るカイル・ミリングヘッドコーチ
そして残り1秒
スリーポイントを沈め、駆け出す寺島良(画像奥中央)と歓喜するファン
ブースター総立ち
残り1分7秒をしのぎ、勝利に沸く、中央が寺島良、その右奥は朝山正悟