トップ画像は岩国基地ゲート
米軍基地の存在が、2期連続大赤字に苦しむ広島東洋カープに年明け早々、さらに“二重苦”を与えそうな状況となりつつある。
新型コロナウイルス「オミクロン」が年末から年始にかけて世界各国・地域で猛威を振るう中、日本でも1月4日、新たな感染者数が2021年10月6日以来の「1,000人超え」となった。
NPBでは2021年11月29日の臨時12球団代表者会議で2月キャンプでの「観客制限解除」の方針を確認し、12月13日の代表者会議でも「観客を認める方針」を申し合わせた。
だが広島東洋カープなど9球団がキャンプを予定する沖縄県では感染者が急増。玉城デニー知事は1月5日、新型コロナウイルスの感染急拡大を受け、「まん延防止等重点措置」の適用を政府に要請することを明らかにした。沖縄では4日、新型コロナウイルス感染者が225人確認された。200人超えは2021年9月16日以来。
沖縄県では年越しを前に米軍基地内で新型コロナウイルスの大規模なクラスターが発生。また、基地内に勤務する日本人従業員が「オミクロン株」に感染していることも確認された。
いくら日本政府が対策を強化し、それぞれの自治体が住民へのサービスを懸命に進めても、米軍基地内で新型コロナウイルスがまん延してしまえば、感染拡大は避けられない。
それは広島県と県境で接する山口県の米軍岩国基地もいっしょ。
国内でオミクロン株市中感染の最初の発表は2021年12月22日(大阪府)だが、24日には岩国基地勤務の男性が山口県初のオミクロン株市中感染者として発表された。
そして1月4日には山口県の感染者数は岩国市の62人など79人に急増した。広島県も109人で2021年9月15日以来の「100人超え」となった。
さらに米軍岩国基地は5日、新たに基地関係者182人が新型コロナウイルスに感染したと発表した。
岩国アーケード街
2022年1月3日の広島市中心部、本通り
本通りPCRセンターには順番待ちの列(1月3日撮影)
広島県の湯崎英彦知事は4日、岩国基地内での感染者に関する情報提供や、感染防止対策の徹底を求める緊急要請の文書を、米軍岩国基地司令官と在日米国大使館臨時代理大使に郵送したが、効果は知れているだろう。
岩国市と広島市の繋がりは深く完全に通勤、通学圏内だ。…なのでJR山陽線は朝夕、高い乗車率になっている。ついでに言えば、近県からの来訪者が広島市の中心部に集まる正月三が日も、街中は人でいっぱい…
2021年3月の株主総会で売り上げ高、前年比83億4,489万円減の85億5,735万円という衝撃的な数字が明らかにされた広島東洋カープ。2021年シーズンは、2020シーズンの入場者数53万7,857人を大幅に上回る97万6,306人の入場者があったが、それでもコロナ前の2019年シーズンの222万3,619人と比べれば半分にも届いていない。
2月のキャンプ、オープン戦という流れの中でファンの熱が急上昇し、グッズも売れて、そして開幕を迎える。12球団ともにそうやって経営努力を重ねてきた。
だからこそNPBも早々に「観客を認める」としたかったのだろうが、米国の1日当たりの感染者は3日に100万人を超えた。感染拡大に歯止めがかからない海外の状況を見れば、2年連続無観客キャンプが現実味を帯びてきたことは誰の目にも明らかだ。
以下加筆
一方、5日に仕事始めを迎えたNPBでは斉藤惇コミッショナーが年始の挨拶で、2月のキャンプでは様々な事情を睨みながらも「できるだけお客さんを無制限で入っていただいて、粛々と開催させていただけたらと思っています」と発言した。
(広島スポーツ100年取材班&田辺一球)
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