2020年天皇杯で全国ベスト6となり一躍その名を全国に広めた福山シティFCが、記念すべき新たな一歩を踏み出した。
中国サッカーリーグに今季から参戦する福山シティFCは4月3日、福山市水呑町の福山通運ローズスタジアムでホーム開幕戦に臨み、1-1で引き分けた。
スタンドには2,731人が詰めかけ、地元から2024年のJリーグ(J3)昇格を目指すイレブンの背中を後押しした。
対戦相手の三菱自動車水島は1990年代から同リーグを戦い、昨季は4年ぶり7度目の優勝を成し遂げた強豪。それでも前半22分、MF塚田裕介の左足で蹴ったフリーキックがそのまま相手ゴールネットを揺らして先制。しかし後半23分にPKを決められて開幕連勝とはならなかった。
福山シティFCの成績と予定
3月27日 中国リーグ第1節 〇1-0バレイン下関
4月3日 同第2節 △1-1三菱自動車水島
……
4月10日 天皇杯第102回選手権大会県代表決定1回戦
対戦相手は広島文化学園大学(会場は同大学)
5月1日 中国リーグ第3節 対戦相手はSRC広島(島根県鹿足郡・真田グラウンド)
この日は、福山地区で3年ぶりとなるリーグ戦開催を祝して入場無料。クラブ側では3,000人集客を目指して告知活動を展開してきたが、こちらもあと一歩及ばず、だった。
福山シティFCは2017年に創設され着実に地力をつけてきた。コロナ禍の影響で中国リーグ昇格が1年遅れたが、その分、昨季は広島県1部Bブロックリーグ戦と決勝大会で9戦全勝、92得点、無失点の完全優勝でステップアップした。
「すべては活力ある福山の未来創生のために」のミッションを掲げる同クラブでは、福山市の歴史や地域の特徴を徹底的に調べてフットボールスタイルを構築する、という基本姿勢を貫き、この日はその一端を披露する場でもあった。
コロナ禍はクラブ運営の“推進力”として欠かせないスポンサー契約にも影を落とした。それでも県立府中高校出身で株式会社SHIFの創業者としても知られる丹下大氏の下に何度も足を運んで“口説き落とす”などの“パワープレー”で逆境を跳ね返し、「2030年J1での優勝争い」を目指す。
なお同クラブのホームタウンは、広島県福山市を中心とした備後エリアで、尾道市・三原市・府中市・世羅町・神石高原町・岡山県の井原市と笠岡市。(広島スポーツ100年取材班&田辺一球)