広島市は4月20日午後、「サッカースタジアムに係る事業の実現可能性調査」を発表した。
広島市役所のホームページで閲覧できる。
www.city.hiroshima.lg.jp/www/contents/1460547263945/index.html
資料の表紙には…
サッカースタジアム実務者検証作業部会
(広島県、広島市、広島商工会議所)
…とある。
すでに2月19日に「サッカースタジアムの実現可能性調査の実施状況について」という資料が報道陣には配布された。A3版、8ページ。
今回の資料は前回の内容も含む形でA3版、35ページ。
そもそも論になるが、この資料自体は問題山積とされたままその対応がまったくとられていない、サッカースタジアム検討協議会の「提言」を元に作成されている。
サッカースタジアム検討協議会は「議事録」の不備などが広島県議会でも指摘され、協議会の委員3人が「議事録」への署名・捺印を拒否したため、同協議会自体が宙ぶらりんなまま今に至っている、というお粗末さだ。
加えて、サンフレッチェ広島の久保允誉会長が強く求めていた旧広島市民球場跡地と広島みなと公園の両者のスタジアムコスト概算について、その「詳細」を示したデータはたったの1ページしかない。これでは「詳細」になっていない。
よって、突っ込みどろ満載…。それをやり始めるとキリがないので詳細は別の機会に譲る。
そこでここでは、市民・県民目線で誰が見ても首を傾げたくなる、わかりやすい項目をひとつだけ今回は紹介する。
それは…
(7)複合開発事業収入(みなと公園)
…のページだ。
みなと公園における複合メニューとして、
1、MICE施設
2、ホテル等併設
が想定される
…とある。
「複合開発」とは、スタジアムを多目的で複合的に活用することを言う。それでいて、その”ネタ”がたったこれだけ?
5月13日には久保会長が旧広島市民球場跡地に建設するスタジアムの独自案におけるその詳細を発表するがおそらくもっともっと細かなプランが示されるだろう。
ホテル併設とMICEだけでは、市民・県民・サポーターは何の魅力も感じないのではないだろうか?
※MICEとは、企業等の会議(Meeting)、企業等の行う報奨・研修旅行(インセンティブ旅行)(Incentive Travel)、国際機関・団体、学会等が行う国際会議(Convention)、展示会・見本市、イベント(Exhibition/Event)の頭文字のことであり、多くの集客交流が見込まれるビジネスイベントなどの総称。
もっと言えば、2003年に完成した広島港新旅客ターミナルも、一時期「ホテル併設」プランが持ち上がった。だがニーズがない、として見送られた。同ターミナルビルと広島みなと公園は目と鼻の先。さらにその当時よりさらに旅客数は減っている。いったいそんなホテルを誰が利用するのだろうか?
ちなみに広島港旅客ターミナルでさえ、完成当初からすっと空きテナントを抱えたまま、何の対策も打てず今に至っている。繰り返しになるがニーズがないのである。
こうした現状をひとつずつ掘り起こせば、少し考えただけで、広島みなと公園での施設複合化には何の明確な戦略ないことがうかがえる。要は絵に描いたモチに過ぎない。
何度も言ってきたが「宇品」は「街中」ではない。2020年の東京五輪を見据え「スポーツ立国」を目指す国家戦略のもとでも、広島のようなケースでは多機能「街中スタジアム」の構築が求められている。
それなのに、今回の資料にはそうした文言はどこにも書かれていない。
広島の未来、この国の未来、こどもたちの未来を熟考したプランではない。そう考える人たちが多ければ多いほど、松井市長、湯崎知事らの説明責任は増していく。
広島新サッカースタジアム取材班
広島市がなぜ「広島みなと公園優位」かの詳細資料公表、驚くべきことにコスト詳細たった1ページ、さらにみなとの複合施設詳細はホテル併設かMICE施設だけ