画像は試合後に選手たちに「バントサインを見落とすようなら蹴つり上げるよ」と話す迫田穆成監督
第105回全国高校野球選手権記念広島大会第2日(7月11日)
1回戦10試合が県内5球場であった。
<鶴岡一人記念球場>
尾道11-1呉三津田(五回コールド)
庄原格致7-4熊野
昨夏の広島大会準優勝の尾道は10安打10打点でコールド発進。熊野ではただひとりの三年生で開会式選手宣誓の大役も務めた村山元規主将がチームを引っ張ったが、初戦敗退となった。
<エブリイ福山市民球場>
大門5x-4明王台
福山葦陽3-1尾道東
大門は九回、一死満塁で五番・山本夏輝(2年)がサヨナラ犠飛。福山葦陽は5安打で8安打の尾道東に競り勝った。
<バルコムBMW野球場>
賀茂4x-3基町
国泰寺5-3舟入
賀茂は九回、二死一、二塁から四番。中村勝(1年)の内野安打でサヨナラ勝ち。国泰寺と舟入は3対3のスコアで夏の広島大会では初の実施となるタイブレーク(延長十回以降、無死一、二塁の継続打順)に突入。先攻めの国泰寺が延長十回に2点を勝ち越した。舟入は昨夏の大会で30年ぶりの16強入りを果たしたが、あと一歩及ばなかった。
<みよし運動公園野球>
庄原実13-3千代田(五回コールド)
国際学院13-4加計・加計芸北・向原(八回コールド)
庄原実は初回に6点を奪うとその後も毎回得点で千代田を圧倒。先発した金田憲伸(3年)は3回自責3で打っては大会1号ホームラン。国際学院も初回に5点を奪い主導権を握った。
<やまみ三原市民球場>
尾道商7-0美鈴が丘(七回コールド)
竹原13ー6祇園北
尾道商は13安打でコールド発進。
尾道商13安打、美鈴が丘5安打で得点できず…
竹原と祇園北は激戦になった。ともに昨夏の大会ではベスト16。春の県大会もともに初戦敗退…
祇園北は初回、一死一、三塁のチャンスで四番・飯田謙心(2年)の打球は二遊間へ。センターに抜けるかという打球にショート中川柚貴(2年)が飛びついて二塁で封殺にしたことで試合の流れが竹原に傾いた。
初回無失点で乗り切った竹原はその裏、祇園北先発の岩増悠翔(3年)の制球難に乗じて、足も絡めながら得点を重ね、二番手の中村友亮(3年)も打って一挙5点。
竹原は二回と三回にも1点ずつを加えて7対0とコールドゲームも見据える勢い。しかし「どんな試合になっても最後まで粘りましょう!」とゲーム前の円陣で申し合わせた祇園北ベンチはタフだった。
大量失点にも関わらず、次々に具体的な指示が控え選手からプレーするチームメートに飛んだ。
そして四回の祇園北。二死二塁から七番・河内祥吾(2年)のレフト線の打球が捕球態勢に入りながらのレフト落球でヒットになった。待望の1点を返した祇園北打線はそのあと連続二塁打で竹原のエース原田迅(2年)はファーストを守っていた村上煇(2年)と途中交代せざるを得なくなった。
祇園北ベンチからまた声が飛んだ。「この回3点オーケー!」
祇園北は円陣を組み「諦めない」思いをまさに実践した
祇園北は五回にも敵失に乗じて2点を返しなお一死二、三塁。流れを手放しかけた竹原はここでもディフェンス力で危機を脱した。七番・河内祥吾の投ゴロでうまく村上煇が三塁ランナーを追い込んでタッチアウト。さらに四回の打席でレフト線二塁打を許したエースナンバーの中村翔も三ゴロに抑えた。
7対5のまま迎えた六回の竹原の攻撃では珍しいことが起こった。
二番からの攻撃は1点を加えてなお無死一塁。打席には四番の寺戸暖(2年)。初球ボールのあと竹原ベンチから大きな怒声が飛んだ。声の主はベンチ奥の方に座る迫田穆成監督だった。7月4日で84歳になったばかり。お祝いのケーキを選手から贈られた時の笑顔とはまさに別人…
2球目で寺戸暖は送りバント。この回は1点止まりだったが七回、祇園北がまた8対6、2点差に詰め寄ってくると竹原ベンチに火が点いた?
七回の攻撃で2点を加えて10対6、八回は一死満塁から押し出しでリードを5点に広げて最後は前の回に2点三塁打を放ったばかりの中川柚貴の中越え二塁打でコールド決着…
コールド勝ちを決めた中川柚貴のスイング
中川柚貴の好守に始まり豪打に終わった一戦になった。
竹原は2回戦で昨夏同じくベスト16の如水館と当たる。迫田穆成監督にとっては竹原監督就任以来、初となる古巣との対戦…また84歳の怒声が響くのか…(ひろスポ!取材班&田辺一球)