画像は広陵の中井監督
第95回記念選抜高等学校野球大会第11日(3月31日)
準決勝
広陵(広島)1-6山梨学院(山梨)
広陵スタメン(学年と投打)
センター田上夏衣(3年)右左
サード谷本颯太(3年)右左
ファースト真鍋慧(3年)右左
ショート小林隼翔(3年)右右
レフト中尾湊(3年)右左
キャッチャー只石貫太(2年)右右
セカンド松下水音(3年)右左
ライト濱本遥大(2年)右右
ピッチャー高尾響(2年)右右
広陵の、そして中井哲之監督の20年ぶり決勝進出はならなかった。打線は初回に先制点。先頭の田上夏衣がフルカウントから二塁打、続く谷本颯太は送りバント、三番真鍋慧はストレートの四球、ここで今大会打率5割の小林隼翔主将がライト犠飛。ホームに滑り込んだ田上夏衣はクロスプレーとなって左手でベースにタッチした。
さすがは広陵、という準決勝の入り。だが、二回、ヒット、暴投、外飛タッチアップで一死三塁とされた広陵バッテリーは、やはり主将の新藤天(3年)に同点犠飛を上げられた。
戦前のスポーツ紙評価では広陵がA、山梨学院はB。
広陵打線はその評判通り?二回以降も塁を賑わせて毎回の10安打を放ちながら結果的にはスミ1に終わった。”普通”ではありえない展開…
勝敗を分けたのは八回だろう。
山梨学院先発の林謙悟(3年)はすでに4試合をほぼひとりで投げてきて中1日。七回で100球を越えていた。
二死から五番中尾が右前打、続く只石は死球で一、二塁。七回あたりから山梨学院バッテリーは暴れかける球筋の修正に苦労していた。
打席には九番から七番に上がった松下水音。ストライク、高目ボール球、ファウルのあとの4球目は明らかなボール球。5球目も高目に浮いたため見送るとストライクのコールだった。満塁になるはずだったのではないか…
林vs真鍋でも、たら、れば…の場面が2度あった。
三回の一死一、三塁では高目に手を出して空振り三振、五回の二死二塁もインハイ攻めに詰まって三邪飛…
27日の海星戦で155球完投した高尾響は三回以降、表情を変えずに投げ続けたが、しっかり振り切ってくる山梨学院打線の前に徐々に消耗していった。
七回の二死二塁では中前打されたがセンター田上夏衣の好返球に救われた。
ギアを上げた八回は内野ゴロ3つ。
迎えた九回、先頭の二番星野泰輝(3年)に対して2ボールから2-2まで戻してフルカウント。6球目真っすぐを左前打された。
送りバントを挟んで高校通算44本塁打の高橋海翔(3年)。真っすぐも変化球もファウルにされた末、トータル141球目をセンター前に打ち返された。
再び田上夏衣のバックホーム…こんどは少し逸れた。
重圧から解き放たれた山梨学院打線は、そこから三塁打、二塁打と止まらなくなった。二番手倉重聡(3年)も3安打されて計5失点で勝負あり。自分たちが得意とする攻撃を相手にやられるという悔しい22分間になった。
勝った山梨学院の吉田洸二監督は、山梨勢の春夏通じて初の決勝進出に男泣き。敗れた中井哲之監督は10安打されながらも完投した林謙悟に脱帽だった。(ひろスポ!広島スポーツ100年取材班&田辺一球)