画像は優勝決定の瞬間、マウンドに集まる広陵の選手たちと敗れた広島商ナイン
第106回全国高校野球選手権記念広島大会第13日(7月27日)
県内90校86チームが参加した今夏の大会の優勝者を決める決勝がマツダスタジアムで行われ、広陵が3対1のスコアで粘る広島商を押し切り、2年連続25度目の甲子園行き切符を掴み取った。
広島商 010 000 000・1
広 陵 001 020 00X ・3
1899年創部の広島商と、1911年創部の広陵の100年以上続くライバル決戦は広陵に軍配が上がった。安打数は広陵6、広島商7…
勝敗を分けた最大のポイントとなったのは、2点を追いかける広島商八回の攻撃、二死満塁の場面だった。
この時、大方の予想を裏切り?先発した広陵エース、高尾響(3年)の球数は138球に達していた。しかも四球、ヒット、四球で迎えた大ピンチ。ここで11番をつけた山口大樹(3年)と交代…
マツダスタジアムの内野スタンドを埋め尽くした両校応援のボルテージも頂点に…
そして1、2球ともボール…
すかさず只石貫太主将(3年)がマウンドへ。
「自分は山口を信頼しているので、ど真ん中に投げてこい、と伝えました」(只石貫太)
絶対的存在の高尾響を救援、二死満塁でマウンドに上がった山口大樹
フルカウントから広島商の代打、中村浩嵩のバットが空を切る
バッテリーで思いをひとつにして、そしてゲーム再開、ストライク、ボール、ストライクでフルカウントになって6球目渾身のストレートに広島商の代打・中村浩嵩(3年)のバットが空を切った。
山口大樹は準決勝まで全5試合に登板して19回と2/3で34奪三振。安佐南のドクターK左腕がこの夏、広島で奪った最高の三振だっただろう。
広陵は二回に6戦目にして初めて先制点を許した。記録的にはエラー絡みだが、グラウンドコンディションは「良」とは言い難く、酷暑の中での頂点を目指す戦いは気象条件にも左右された。
五回、結果的には決勝点となる2点が入った場面もエラー絡みだった。ただ、この時は二死無走者で九番・高尾響がフルカウントから四球を選んだこと、広島商側からすれば”与えてしまったこと”が分水嶺となった。
続く広陵の一番・濱本遥大(3年)の右前打は広島商先発の宮内草太(3年)の球を完璧に捉えたものだった。二死一、三塁となって次打者田村夏芽の4球目でバッテリーエラーがあり二、三塁、そのあとボール、ファウル…のフルカウントからの7球目、セカンドゴロがタイムリーエラーとなり広陵に2点が転がり込んだ。
1年前の夏、両校決勝のスコアは次のようなものだった。
<ぶんちゃんしまなみ球場>
広島商 010 000 100・2
広 陵 102 000 000・3
この試合、三回に広陵が奪った3点目が決勝点になったが、先頭打者の四球から一死満塁になり、只石貫太に2点タイムリーが出た。そして高尾響と只石貫太のバッテリーでリードを守り切ったのである。エースの右腕がうなりをあげて、終盤になっても空振り三振を奪えるだけの馬力があった。それが最後の広島大会決勝マウンドでは見られなかった。広陵は総合力で、4季連続の大舞台に挑むことになる。
大会を締め括る県高野連・折田裕之会長のあいさつ
(決勝は)すばらしいゲームでした。ありがとうございました。
広陵高校におきましては、8月7日から始まる甲子園大会において、日頃の練習の成果を発揮され、89チームの代表として広島県の代表として深紅の優勝旗を広島県にもって帰っていただくことを祈念します。
惜しくも準優勝、広島商業高等学校、あっぱれの準優勝です。準優勝の喜びと言うよりも、負けた悔しさの方が優っているかもわかりませんが、正面から向き合って今後の人生の糧にしてもらえばと思います。
本日をもって全日程を終了します。
85試合終了いたしました。唯一無二の85試合です。広島県高校球児が、この試合を糧に今後の人生に役立てることを祈念しています。
試合後の広陵・中井哲之監督の話
選手に尽きます。きょうは褒めてうありたいです…(力を込めて)ありがとう!
-決勝の先発にはやはりエース高尾投手を送り出しました。どんな言葉をかけましたか。
責任とれよって…死ぬ気でいってくれと、でも後ろに山口、堀田といいピッチャーがいるんで、いけるところまで全力でいけというふうなことを言いました。
-初めて先制点を許す展開に。
まあ、いつものことなんですけど、高尾投手は…やってくれました。
打線の方は今大会初先発の(左サイドスローの)宮内投手に苦しんだように序盤見えました。
-はい、まったく考えていませんでした。(右オーバーハンドの)西川君を予想していましたのでそういう練習をしてました。
広島商先発の宮内草太(3年)は5回4安打3失点(自責1)だった
-そういった中、五回、高尾投手が四球を選んでの勝ち越しになりました。
チーム一丸となって、つないでつないでということを、きのうからずっと言ってたので、ほんとによくやってくれました。
-八回、二死満塁で山口投手への継投。
あのう、響と貫太はいくいくって言ってたんですけど、山口が勝手に走ってマウンドに行ったんで、しょうがないなと思って、責任を取ろうと思っていました。
-二死満塁フルカウントからの142キロストレートでした。
やってくれましたね、ほめてやりたいです。
-4季連続の甲子園です。プレッシャーもある中での戦い、甲子園ではどんな戦いを?
県内ではプレッシャーで夜も寝られない日が続いたんですが、やっと寝られます、と同時に広島県代表として、甲子園では1勝でも多くして帰ってきたいと思います。
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(2023年7月29日掲載)