画像は広島商の荒谷忠勝監督
第143回秋季中国地区高校野球大会第5日(決勝戦)
秋季中国地区高校野球大会の決勝が11月4日、島根県立浜山公園野球場であり広島商(広島1位)が米子松蔭(鳥取2位)に6対3で勝って31年ぶり7度目の優勝を飾った。同校は11月20日に開幕する明治神宮野球大会に中国地区代表として初出場する。また来春のセンバツに同校が出場することはほぼ確実となった。
決勝
米子松蔭 003 000 000・3
広島商 200 040 00X・6
初優勝を目指す米子松蔭との決勝は序盤、接戦になったが、広島商ベンチはそれも織り込み済みだったかもしれない。今大会でリードを許したのは初めてでも、焦るような様子はなかった。
準決勝の岡山学芸館戦に続く先発となった徳永哲人(2年)は前日3日同様制球が定まらず、三回に四球絡みで3点を失うと二番手・片岡亮祐(2年)の救援を仰いだ。
一方、米子松蔭の先発は決勝までをひとりで投げ切ってきた1年生右腕の新里希夢。背番号4をつけた”小さな大エース”はしかし前日、島根3位の矢上打線相手に103球完封を演じており、スタミナ切れや自慢の制球力のブレが予想された。
初回に四番・名越貴徳(1年)が放った先制2ランは、後半勝負を目論む?広島商ベンチにとっては最初のアドバンテージになった。
一塁に四球出塁の一番・西村銀士(2ね)を置いて、米子松蔭バッテリーが低目、低目を突いてくるところを狙いすまして豪快にすくい上げた。打球は珍しく左中間へと強く吹く風にも乗って楽々と左翼フェンスを越えた。
そして四回までで65球を投じた新里希夢を五回、一番から始まる広島商打線が一気に攻略…
西村銀士がファウルで粘って7球目をセンター返し。二番・小田健登(2年)のプッシュバントがセカンド内野安打となって一、二塁とすると、三番・三田桂慎(1年)がすかさず送ってチャンスを広げ、名越貴特のフルスイングはセンター前へポトリと落ちて同点打になった。
なおも一死一、三塁で五番・藤田涼平(2年)は死球で満塁…
ここで米子松蔭ベンチはスタンドもざわつく”勝負手”を打ってきた。
なんと、バッテリーをスイッチ。背番号4がマスクをかぶり、広島・五日市中出身の背番号6、惣郷峻吏(2年)がマウンドへ…
結果は六番・菅太一(2年)の時、タイムリー暴投で広島商、勝ち越しに成功。さらに七番・柳井晶翔(2年)の中前打で2者を向か入れ4得点のビッグイニングになった。
柳井晶翔は前日の岡山学芸館戦でも初回と九回に貴重な一打を放っており、この日のバットを内側から出して押し込む打撃も見事だった。
逆転に成功した直後に大宗和響(2年)をマウンドに送るという理想的な展開になったことで試合の流れは広島商ベンチに大きく傾いた。前日も同じく五回からの出番となったエース右腕は5回を投げ切り2安打1四球にまとめた。変化球多投でボール先行だった前日の投球スタイルから一変、ゆったりと体を大きく使って伸びのある真っすぐ主体でカウントを整え、変化球の制球も冴えた。
一方で試合後に広島商・荒谷忠勝監督が反省の弁を口にしたように六、七、八回の攻撃では課題も残された。
六回は先頭が四球出塁したあと一死から5・4・3の併殺打に終わった。七回はやはり先頭が四球で出たあと名越貴徳の送りバントは1・6・3の併殺に取られた。八回は敵失でもらった無死二塁で送りバントを試みたら今度は三塁でアウトにされた。
バッテリーをスイッチした相手の策にはめられた格好で、広島1位校から無失点イニングを6度作った米子松蔭としては”収穫一敗”となった。(ひろスポ!広島スポーツ100年取材班&田辺一球)
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