4月7日、広島ドラゴンフライズ新人選手5人の記者会見が広島市内で行われました。まだメンバーゼロだったチームに初めて選手が顔を揃えた瞬間でした。その中のひとり、地元広島出身の岡崎修司選手は広島大学薬学部在籍のまま、プロとしての大舞台に挑戦する道を選びました。それから半年。広島ドラゴンフライズは地元でNBL開幕戦に勝利し、地元での第2戦で岡崎選手もついにプロデビューを果たしました。
日本ハムの大谷翔平選手に負けない、いやそれ以上の「二刀流」を極めようとする岡崎選手はこの先、どんな思いで誰も挑んだことのない道を歩もうとしているのか?NBL開幕直前の練習後に岡崎選手に話を聞きました。(聞き手・ひろスポ!取材班)
-プロの道を選択して一番良かったと思うことは何でしょう。
岡崎 まだ公式戦をやっていませんので、イベントとかバスケットボール教室に参加させてもらってきた中で、子どもたちから「すごい」という声が聞こえてきたり「応援してます」と言われたり…。子どもたちの夢になっているかどうかはわかりませんが、感動とかそういうものを何か子どもたちに与えられている部分は感じますので、そういうところが直接的にはすごく良かったなと感じています。
それと、自分の中で一番良かったなと思うのは今までかかわってきた回りの人から声をかけていただいたり、実際にサポートしてもらったりしていることです。そういったことがすごく嬉しくて感謝もしているのですが、その気持ちを大切にしつつ、プロとしてやっていくんだという思いもさらに強くなりました。
-岡崎選手は子どもの時からプロになることを夢見てきた、と聞いています。実際にプロになってみて、昔のイメージと今とではプロはどう違いますか。
岡崎 やっぱり違いますね(笑)。うまく言葉では表しづらいのですが小さい時に夢見ていたプロはすごいキラキラして現実味がなかったというか、小学校の頃はやはりすごく上の世界、というイメージでした。それがステップアップしてここまで来るに従ってだんだん現実になってきた感じです。
-最初にバスケットボールに出会ったのは?
岡崎 最初は友だちに誘われて「体育館に一緒に行ってみないか?」と言われたのがきっかけでした。で、バスケットボールを始めたあとに「スラムダンク」が始まってより熱が増しました。
子どものころからバスケットボールに慣れ親しみ、そしてプロの道へ
-そんな子どものころからの夢…、いよいよプロリーグ開幕ですが改めてどんな気持ちでスタートが切れそうですか。
試合に出続けることで成長していきたい
岡崎 そうですね。もちろん期待も大きいのですが、春からここまでやってきて少しず個人としてもチームとしても力をつけてきていると感じています。実際それがどこまでリーグ戦で通用するのか?それはまだ感覚でしかないもので、経験として味わっていないものですから試合の中でどんどん…、そうこれは個人的にもですけれど、どんどん試合に出てシーズンを通して成長していけたらいいなと思います。
-アマチュアからプロの世界へ。果たしてどれだけレベルアップした舞台になるのか、それこそ経験してみないとわかりません。そんな中でその部分を洗練させていけばいいと考えますか。
岡崎 一番難しいのは精神面です。身体的なもの、技術的なもので求められるレベルはもちろん高いのですが、そこにはヘッドコーチの目指すチームの作り方というものがあって、そこにいかにアジャストしていくかが大切になってきます。
一方、メンタルの面ではやはりそれが仕事になったっていうことで自分自身もチームも結果にこだわる、そのこだわりようがアマチュアの時とはぜんぜん違ってきました。バスケットボールが好きなことには変わりはないのですが、学生時代はストレスのない中での好きなことだったわけで、それがプロで続けていくためには成長していかなければいけない、結果にもこだわっていかなければいけない、ということですごく負荷がかかってきますね。でもそれはすごく自分にとっていいことだと思っています。
文武両道の道だからこそ、感じるものとは
-この「ひろスポ!」という電子メディアのコンセプトのひとつに「文武両道」があります。かつて広島が「スポーツ王国」と呼ばれた明治から大正時代、戦前戦後のある時期に広島から世界を目指した選手、アスリートはみな「文武両道」でした。そこから言うと岡崎選手は平成のスポーツ王国広島を担っていく人材です。広島大学薬学部に合格するにあたっても当然、大きな負荷がかかったはずです。プロとそれとを比べるのがいいのか、悪いのかは置いといて、両者に似ているところはありますか。
岡崎 まあ、ストレスという面では似ていると思います。どちらも結果を求められるしそれに向けて力をつけて認められないと、在学することそして競技を続けていくことはできませんから。メンタル的な面では繋がっているのかな、と思います。
-なるほど。ところで今は当然、広島ドラゴンフライズのメンバーとして全力投球の毎日ですが、大学の方はどんな状況なのでしょうか。
岡崎 9月まで夏休みで10月から後期スタートです。今は午前中に授業に行ける日は行って、おそらく来年の春には単位が取れると思うので、そのあと実習があるのでどうしようかな、と考えているところです。実習に行かないと卒業できないので卒業が少し遅れるかもしれません。
-練習はこうして午後からですから、チームメートが休んだり、自由に過ごしている時間に大学、ということですか?
岡崎 そうですね。
-しかし「勉強」を言い訳にできるわけでもなく、大変だとは思いますがもうそれが当たり前のような感じなのでしょうか。
岡崎 当たり前…とは思っていませんが、勉強することがぜんぜんバスケットボールに繋がらないとは思っていないんです。
-というと?
「文武」に共通、自分で課題を見つけて取り組む
岡崎 学校の勉強はテストなどで実力を評価されます。そのためにどんな準備をするか?自分のわかっていないところだったり、自分は今何が課題で何を学べばいいか、またそういったことにどう取り組めばいいのか、自分をコントロールする術が試されることになります。そういうマネージメント的なところはバスケットボールでも一緒で、やはり自分で課題を見つけてそれにどう取り組んでいくかが問われることになります。それだけじゃないんですけど、これからの人生において今取り組んでいることがマイナスになることはないな、と日頃からそういう気持ちでやっています。
ディフェンスはチームの規律に従い確実に役割をこなすことが要求される
-そうなんですか…。そしてその人生の中でも忘れられない、NBLでの初めてのシーズンを迎えるにあたり、ルーキーとしてはまずゲームに出ることからですね。
岡崎 はい。僕のポジションはシューティングガードなんですが、その中でも特に外を回るタイプの選手がうちのチームには多くて、その中で日々、ポジション争いを続けています。春先からみんなと一緒に練習してきて、練習試合などを重ねるうちに自分の中では悔しい思いをしてきた部分があるのも確かです。
チームにはデフェンス、オフェンス両面でヘッドコーチの考えに沿った約束ごとやルールがあります。その決まりごとを理解してやる部分と、さらにその中で自分の持ち味や技術を発揮する部分。そこで自分のセールスポイントをまだうまく出せていないなという思いが夏までは強かったのですがそこから徐々に整理できて少しずつ改善できている段階です。その局面、局面で状況をとらえて素早く判断することを心掛けています。
-それでは最後に抱負をお願いします。
岡崎 悔しい思いをしてきたぶん、どこかでチャンスをつかむというか、つくることが今はすごく大事なことだと思っています。見て学ぶことも大事ですがやはり経験しないと…。シーズン中はどんどんアピールして、試合に出て、また試合に出ることで成長していきたいですね。そして初めてのシーズンを終えたあと、広島のみなさんに試合をたくさん見ていただいてバスケットボールってこんなにおもしろいんだ、と思っていただけるようになりたいですね。夏過ぎまではカープ、秋からはバスケットボールという文化がこの街にできたら最高です!
岡崎修司(おかざき・しゅうじ)ガード、フォワード。1990年8月12日生まれ(23)、広島市東区市出身、185センチ、82キロ、戸坂中学時代、戸坂ミニバスケットボールクラブでバスケに出会い戸坂中学から皆実高校へ。インタハイベスト16。一浪後、広島大学薬学部へ。現在5回生(薬学部は6年)で学業とプロバスケの両立を目指す。
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