前節の柏レイソル戦で5得点をマークして6試合ぶりの白星を手にしたサンフレッチェ広島はホームに16位のヴァンフォーレ甲府を迎え、連勝がノルマだったが終始、重苦しい展開の中1-1の引き分けにするのが精いっぱいだった。
前半21分の失点はカギを握るとされる林のキックからだった。相手にボールを奪われ繋がれてFWクリスティアーノに決められた。甲府はこれが中断期間を挟んでのリーグ戦再開後、初ゴールだった。
その12分後、甲府は退場者を出してゴール前を固める戦術を徹底してきた。時間だけが経過していき迎えた後半40分、離脱した青山の穴を埋める柴崎のゴールで同点に追いつき最悪の事態だけは回避した。
浦和レッズの無失点記録が止まり、ライバルは勝ち点1を上積みするにとどまった。それだけに余計に勝ち点3が奪えなかったことが惜しまれる。
リーグ戦前半の17試合を消化して首位に勝ち点差9の5位で折り返し。残りの17試合で仮に直接対決を制したとしても追いつくこと、追い抜くことができるのか?得失点差でも水をあけられ、3連覇へあとがない状況が続くことになる。
森保監督の試合後のコメントにも悔しさ、無念さがにじむ。
「中断前ももっと勝点を拾えたし、中断期間明けの横浜FM戦や大宮戦は勝ち点3を奪えた試合だった。しかし、サッカーは思い描いた通りの結果にはならないもの。相手は必死に3連覇を阻止しようと高いモチベーションでやってくる。それを打ち破るのはそう簡単ではないが、前を向いて戦っていきたい」
この日、放ったシュートの数は相手の4倍の16本。この数字だけ見ても攻守両面で言いようのない焦りが自陣のピッチ全体に広がっている様子がうかがえる。
そして焦りは必ずミスに繋がり、ミスは敗北に直結する。
今求められているのはどんな困難にも立ち向かうタフな精神力と平常心。そして攻撃は最大の防御なり…。2位のサガン鳥栖や3位の川崎フロンターレがそのことを身をもって表現してくれている。
後半戦最初の3連戦では鹿島、浦和、鳥栖と当たる。これ以上ないモチベーションと、ただ1チームだけが有する連覇への挑戦権を誇りに8月の熱い闘いを駆け抜けることができれば、今とは違う鮮やかな紫の風景がチームとサポーターの目の前に広がることになる。