創部10年で甲子園の大舞台に立った市立呉(広島)が第89回選抜高校野球大会、開会式直後の1回戦に登場、至学館(愛知)との死闘の末、延長12回6-5のスコアで競り勝って4万4000人の大観衆の前で歴史的な1勝を刻んだ。
以下、ひろスポ!速報から記事引用
・市立呉のセンバツ、初回に先制される
センバツ開会式直後の初出場同士の対戦。市立呉、初回の攻撃3者凡退。その裏、市立呉の先発、池田は先頭の定塚に内野安打許し、その後、二盗、送りバントで一死三塁とされ三番・鎌倉の投ゴロの間に先制点許す。
・市立呉、二回に絶妙スクイズで追いつく
二回、1点を追いかける市立呉は、先頭の新田が見事なセンター前ヒット。送りバントで一死二塁。青木がフルカウントから四球で出塁。至学館バッテリーは盛んに牽制球を投じ、よく鍛えられた動きを見せる。
しかしその上を行く市立呉は次打者・西岡の初球で新田が三盗。一死一、三塁としてボールカウント2-1、さらに至学館・先発の池田が一塁牽制球を投じたあとの4球目スクイズ、難しいコースの球だったがこれが決まって1対1同点、試合は振り出しに。
・市立呉、五回の攻防戦、押し切り2-1勝ち越し
市立呉の先発・池田は二回、三回を3人で抑え、四回もわずか6球でスリーアウト。
その裏の呉市立の攻撃。この回も互いの”頭脳”が激突。
一死から六番・青木がしぶとく右前打。これがチーム2本目のヒット。次打者・西岡の2球目でエンドラン、これはファウル。ストライク、ボールで並行カウントとなってまたエンドラン。これが右前に弾んで一死一、三塁。
打席に八番の上垣内。ボールカウント1-1から至学館バッテリーはウエスト。市立呉ベンチ動かず。次の球はストライクでここも並行カウント。5球目また相手はウエスト、ここで一塁走者の西岡は二盗。次の球、わずかにボールで四球。動かなかった市立呉サイドに流れが傾く。
一死満塁となって九番・池田の浅いライトフライで青木がタッチアップ、勝ち越しに成功。ライトからのバックホームが逸れ、て二塁から三塁を狙った西岡、しかし新美がホームベースカバーに入っていて、すかさずサードへ、タッチアウト。
・市立呉、五回に相手の巧さの前に逆転許す
五回、2-1と勝ち越した市立呉だがその直後に再逆転許す。
先頭の新美にワンストライクから中前打された池田は、走者を気にかけたせいか、続く岩井にストレートの四球を与えた。これが痛かった。
次打者・三浦への初球、エンドランがかかっていて、投ゴロで一死二、三塁。まとにストライクを取りに行き過ぎたか?
続く木村は初球セーフティスクイズを仕掛けてきた。ここは空振り。2球目で一ゴロ。三塁から新美が突っ込んできたが、バックホームして、間一髪アウト。
二死一、三塁となって打席に九番・藤原大介。初球ストライクのあと、至学館ベンチは三塁走者に清水を送る。ベンチワーク…。
直後の1球で一塁走者の木村スタート、キャッチャー柏尾は三塁走者横目に二塁へ投げない。これで二死二、三塁。次の1球、やや詰まった打球がサード上垣内の飛び込むグラブの先を抜け、これが2点タイムリーとなり五回を終えて、市立呉2-3、1点のビハインド。
・市立呉九回に4-4同点に追いつく、主戦池田の意地の一打
市立呉は七回、先頭の新田が四球で出塁。しかし次打者・柏尾の時、左腕・川口の牽制球に刺され、その後も柏尾、西岡のヒットで二死一、三塁と攻めたが上垣内投ゴロ。
市立呉は八回も、二死から奥田の死球を足がかりに、近藤、新田が連続ショート内野安打で満塁のチャンスを築く。
至学館はファーストを守っていた新美をマウンドに戻す。次打者・柏尾の打球はみたびショートへ。三遊間難しいバウンド、ショート木村の素晴らしい守備で柏尾一塁へのヘッドスライディグもアウト。
2点を追いかける九回の市立呉。先頭の青木が叩きつけて、新美投手の足元を抜くセンター前ヒット。続く西岡は捕邪飛。
八番・上垣内はボールカウント3-1から強振。この日、両軍を通じて一番の鋭い打球。左翼線タイムリーツーベース。
1点差となり至学館はまた左腕の川口にスイッチ。ここで打席には主戦の池田。左対左のスライダーを追い込まれても完璧にとらえて右中間に同点適時二塁打。
試合は4対4のまま延長戦へ突入。
・市立呉、延長12回死闘の末、劇的勝利で甲子園に響く校歌
互いに譲らぬ延長戦。
延長十一回、疲れの見える呉市立の先発・池田は一死から四球を出すが、力を振り絞って三番、四番をねじ伏せる。
延長十二回の市立呉の攻撃、一死から近藤が会心の中前打。新田もヒットで続いて無死一、二塁、至学館の新美も2度、川口の救援を仰ぎ3度目のマウンドで疲労の色が滲む。
打席に柏尾。ここで新美、痛恨の二塁牽制悪送球。無死二、三塁。さらに至学館捕手の三塁への牽制球が三塁走者の近藤に当たり、近藤が勝ち越しのホームイン。さらに柏尾のスクイズで加点して6対4、2点のリードで池田、その裏のマウンドへ。
池田の球数はすでに147球。先頭の新美に左翼フェンス直撃二塁打許す。あわやホームラン。そこから1点を返されなお二死二塁。
打席に九番・藤原大介。池田の160球目、痛烈な打球がサードへ。捕球態勢の上垣内と二塁走者が交錯、これが「インターフェア」守備妨害となってゲームセット、市立呉が6-5のスコアで歴史的勝利をつかみとった。
試合後の市立呉・中村監督
勝てると思ってなかったんですけど、勝てそうな雰囲気になってこりゃ、やらにゃあいけんなという感じになりました。九回に2点差を追いついたので、その頃から雰囲気はうちにあるかな、という気持ちにはなってました。
(九回2点ビハインドで)最後だから集中してやっていこうで、しか言ってないんですけど…(延長で)いろんなことをやられるチームなのでヒットが出なくても得点するようなチームですからそういう意味で警戒していたんですけど、何とか池田が踏ん張ってくれたというか良かったです。(継投策は)あとの方が大変ですから、ピッチャーが。ですから基本的には池田でいくという気持ちをもってますから。
(八回、延長十二回とふたつのスクイズ成功について)うちはああいう野球しかできないのでチャンスがあればああいう形で得点を取っていく、コツコツやっていくタイプのチームですので、思い通りやったと思います。
最初に監督を受けた時に甲子園に行ってほしいと言われたんですけど、無茶な話だなと思いながら受けてましたので、まさかこんなことになるとは夢にも思ってなかったんですけど、甲子園の歌を聴いたら涙が出ましたね。
みんながまじめで、私の指導にしっかりついてきてくれたことだと思います。
試合後の池田投手
最後は気持ちで投げました。勝って嬉しかった。3点以内に抑えればゲームを作れると思っていましたがそれより多く取られてしまった。味方がそれより多く取ってくれたので感謝しかありません。一塁ランナーの動きが気になり集中を乱されました。次に向けてきっちりと修正したいです。