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2014年10月30日
編集部

サンフレッチェのホーム、広島でスタジアム新設への協議会が基本コンセプトすら深く論議できないまま大詰めへ

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第18回スタジアム検討協議会の会長は厳しい表情
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広島にふさわしいスタジアムはどうあるべきか、とりまとめの段階で”紛糾”する協議会の先頭に立つ三浦会長(手前)と山根副会長

 

第18回サッカースタジアム検討協議会が10月29日、広島市役所で開催されました。10月中に結論を出す、とあって会場には大勢の市民、サポーター、報道陣が集まりました。

ここで、これまでの経緯を「ひろスポ!」の過去の記事で振り返ってみましょう。

 

6月12日の記事
タイトル「J1で2連覇のサンフレッチェ広島、スタジアム構想は”ゴール”ならず!?第12回サッカースタジアム検討協議会」
hirospo.com/pickup/3850.html

以下、記事の要旨です。

2013年5月31日付の広島市役所報道資料には以下のような説明がなされています。

サッカースタジアム検討協議会について

広島県サッカー協会 広島県 広島市 広島商工会議所

1 目 的 広島におけるサッカースタジアムについて、その規模、建設場所、管理運営方法、事業スキーム、事業収支、類似施設との棲み分けなどといった整備に係る諸課題について議論し、解決策(あるべき姿)を取りまとめ、行政や経済界へ提案する。

2 委 員(11名)

鵜野 徳文(公益財団法人広島県サッカー協会 特任理事)

加藤 厚海(広島大学大学院社会科学研究科 准教授)

加藤 義明(公益財団法人広島県体育協会 会長)

川平 伴勅(一般財団法人ひろぎん経済研究所 理事長)

小谷野 薫(株式会社サンフレッチェ広島 代表取締役社長)

高木 彬子(株式会社アンデルセン・パン生活文化研究所 相談役)

塚井 誠人(広島大学大学院工学研究院 准教授)

永田  靖(広島経済大学経済学部 教授)

野村 尊敬(公益財団法人広島県サッカー協会 名誉会長)

三浦 浩之(広島修道大学人間環境学部 教授)

山根 恒弘(公益財団法人広島市スポーツ協会 会長)

3 開催日時等

第1回・平成25年6月6日(木)10時~ 広島市役所本庁舎14階第3会議室 ※会議は公開で行われます

4 今後のスケジュール

月1回程度の頻度で協議会を開催し、平成25年度末ごろに中間取りまとめ、平成26年秋を目途に最終取りまとめを行ってもらう。

広島市役所報道資料からの転載はここまでです。

広島市では市民、サポーター、市議会、県サッカー協会などが強く要望するサッカースタジアム「建設」を早期に実現するため、広島県サッカー協会、 広島県、 広島市、 広島商工会議所の4者で昨年5月末にサッカースタジアム検討協議会を設置しました。

それから1年以上が経過してきょう6月12日に広島県庁で第12回の協議会が開催されました。

ところが今回も2時間以上の話し合いを行いましたが、結論から言うとスタジアムの規模も建設母体も資金調達方法も運営方法も、何よりどこに建設するかも何ひとつ決まっていません。

以上が6月12日分の趣旨です。

続いて6月30日の記事
タイトル「広島に新サッカースタジアム建設を急ぐ検討協議会、スタートから1年が経過して今から市民意識調査などのためのアンケート実施へ」
hirospo.com/pickup/4819.html

以下その趣旨です。

第13回サッカースタジアム検討協議会が広島市中区の広島市民球場跡地に隣接する広島商工会議所で行われた。

会議では候補地の絞り込み、スタジアムコンセプト、アンケート調査などについて、議事進行役の三浦浩之会長(広島修道大学人間環境学部教授)を中心に議論が進められた。

候補地の絞り込みに関しては「西飛行場跡地」が外された。

残る候補地は以下の3カ所。

便宜上一カ所として検討候補地になった「旧広島市民球場跡地とその北側の中央公園」

宇品地区の海の玄関口「広島みなと公園」

前回の話し合いで複数の委員が様々な理由から「候補地の対象外」と意見したにもかかわらず、三浦会長らの判断で残された「広島広域公園」

ただ、その話し合いの最中に高木彬子委員(株式会社アンデルセン・パン生活文化研究所相談役)がこの協議会がはらむ矛盾と方向性の甘さをズバリ指摘する場面があった。高木委員の発言の要約は以下の通り。

「ここまできてこの内容をやるのですか?今までお互いいろいろ言ってきましたが、言いっ放しできた感じなのでしょうか?今になってオンリーワンかまたは無難に目の前のものを作るか、というようなレベルの話し合いをしなくてはいけないのでしょうか?もう少しやり方があったのではないでしょうか?でも、ここまでやったのでやるべきだとは思いますけど…」

なお冒頭にあった「アンケート調査」の「目的」には「サッカースタジアムに対する市民・県民の意識の基礎調査を行うとともに、サッカースタジアムの整備をする際に市民・県民が重要とする視点を把握することを目的に実施する」と記されているが、なぜか建設候補地については問うていない。

以上が6月30日分の趣旨です。

 

続いて7月29日の記事
タイトル「第14回サッカースタジアム検討協議会、冒頭から紛糾、なぜエディスタを候補地に残すのか?」
hirospo.com/sanfrecce/5910.html

以下、記事の趣旨です。

野村委員が冒頭、「40万人の署名が集まってこの協議会が始まったはず。それなのにエディオンスタジアム広島を建設候補地に残して協議会を進めるのはおかしいのでは?」と指摘。

これに対して三浦会長は「都市計画のない西飛行所跡地と広域公園では違う」と両者の違いを説明。

塚田委員は「エディオンスタジアム広島を残したのは私、40万署名といっても分母がわからない、50万分の40万なら8割ですが…」と発言。

なお、過去にも「エディオンスタジアム広島を候補地にしておくのはおかしい」という指摘があったが「それはもう決めたこと」(山根副会長)との理由で受け付けられなかった。しかし肝心の議事録が正式な形では存在しておらず「会議5回目ぐらいまでは議事録が配布されたがそのあとはない」(小谷野委員)という状況になっており、市民、サポーターには非常に”見えづらい”進行が繰り返されている。

以上が7月29日分の趣旨です。

 

最後に9月30日の記事です。
タイトル「県民に誇れるスポーツ文化拠点を!サッカースタジアム検討協議会、10月最終報告に向け「具体的議論」これから?」
hirospo.com/pickup/8455.html

以下、記事の趣旨です。

広島市中区の広島商工会議所で第16回サッカースタジアム検討協議会があった。資料が配布され、全11委員が出席して主に4カ所あるスタジアム建設候補別の総工費試算について話し合われた。

その件はまた別の機会に譲るとして、資料5、A41枚に次のように記されていた。

各委員に配布された資料

成果品である「サッカースタジアムのあるべき姿(仮称)」

Ⅰ全体的な考え方
以下の構成からなる「中間とりまとめ」を完成させ「最終とりまとめ」とする作業を考える。

1、はじめに
2、機論の経過
3、議論の内容
1)サッカースタジアム整備に係る諸課題等
2)広島のまちづくりにおけるサッカースタジアムの位置づけ等
3)サッカースタジアムの規模・設備・複合機能化など
4)他都市でのサッカースタジアム建設の取り組み
5)サッカースタジアム整備のための候補地
6)諸課題に対する議論の状況
以上1)から6)をアップデートする
4、あるべき姿の提案に向けて…新規書き下ろしする

Ⅱ「中間とりまとめ」における「4、あるべき姿の提案に向けて」の内容
4、あるべき姿の提案に向けて
昨年6月以降、本協議会において議論を重ね、今回の中間とりまとめまでに、広島におけるサッカースタジアム整備のための候補地5カ所に絞り込んだところである。
これまでの議論を踏まえ、今後、広島に相応しいサッカースタジアムの規模・設備、建設場所、交通アクセス、付加する機能・施設、建設主体、管理運営方法(運営主体)、収支計画、経済波及効果などについて、サッカー競技から見た観点も考慮し、具体的に議論していく必要がある。
このため、県民・市民をはじめ関わりのある人々の意見に耳を傾けつつ、市場分析を踏まえた適切なサッカースタジアムの規模や複合機能、スタジアムのイメージ、建設のための資金調達やサッカースタジアムの管理運営方法等に関する実現可能性の調査などを行い、更に候補地を絞り込みながら議論を深めていく。

 

この1枚の資料によれば、昨年6月8日の初回開催から16回もの話し合いを重ねてきたにもかかわらず、実はこれから、しかも10月いっぱいで「今後、広島に相応しいサッカースタジアムの規模・設備、建設場所、交通アクセス、付加する機能・施設、建設主体、管理運営方法(運営主体)、収支計画、経済波及効果などについて、サッカー競技から見た観点も考慮し、具体的に議論していく」ということになる。

委員の中からは「規模・設備、建設場所、交通アクセス、付加する機能・施設、建設主体、管理運営方法(運営主体)、収支計画」などについて時間をかけて議論すべき、という声が当然ながら何度も、しかも強い調子であがっていたが、けっきょく16回を重ねて肝心カナメの場所すら決めることができないでいるのは協議会の運営方針にも問題があった、と結論づけざるを得ない。

以上が9月30日分の趣旨です。

 

さらに紆余曲折があって今回、10月29日に第18回サッカースタジアム検討協議会が開催された、という流れです。

第18回スタジアム協議会には多くの報道陣が集まった
協議会も大詰めとなり多くの報道陣が集まった

 

本来、検討協議会としては10月中にとりまとめを行う、としてきたためこの日は「広島に相応しいサッカースタジアムについて(最終とりまとめ)」としたA4版24枚綴りと、候補地別評価を表にしたA3版4枚の資料、「総合評価」と記されたB5版1枚などが委員に配布されました。

「総合評価」の資料1枚ものでは「評価結果」として、広島みなと公園が2・392点、旧広島市民球場跡地が2・243点、中央公園が2・131点となっていました。

会議の冒頭で三浦会長が説明に時間を割きましたが、要約すると、残った3つの建設候補地、中央公園と旧広島市民球場跡地と広島みなと公園を「点数化」すると広島みなと公園が一番点数も高く建設場所として適切、ということになります。

これにはすぐに小谷野委員が「三浦会長のお話でいくと、いろいろ異論はあるけれどこの会長の決められた〇×△(評価表に”主観的に落としてあるもので〇が2点、△1点などで評価した結果、広島みなと公園が最高点)でここからスタートしましょう、ということなのでしょうけど、当然、それぞれの項目で意見は違うわけですし…」と述べられました。

「評価結果」を見ると、「コスト性」は旧広島市民球場が「1」で、広島みなと公園は「3」。ただ、よくよく聞いてみると、スタジアム周辺整備にかかるコストは別計算のようなのです。

例えばマツダスタジアム。球場単体の建設費用とは別予算で、コンコースに直接入ることのできる大型スラロームが建設されました。もうそれだけで億単位の費用がかかっています。でもその費用は球場建設費にはかぶせられていません。

インフラの整った旧広島市民球場跡地周辺と、広島みなと公園を比較する場合、周辺整備のことはゼロベースで…、というのはやはり無理があります。周辺整備も含めて計算すればこの点数もすぐにひっくり返る可能性すらあるわけで、客観性のあいまいな〇印や△印を点数化したこと自体、無理があります。

さらに「コスト」でいえば旧広島市民球場跡地にスタジアムを建設する場合、カープが広島市民球場を使用していた時代に積み立てられた「基金」の活用が可能になるはずです。このことは旧広島市民球場を保存するか否かの時にも取沙汰されており、その金額は相当額になるのですが、その視点が欠落するというミスが発覚しました。

また広島みなと公園にスタジアムを建設する際に必ず必要になる公園代替地の確保(野村委員)や、「国への補助金の返還」(永田委員)のことが表に出てこないまま広島みなと公園のコスト性は「◎」になっており、その有効性、信頼性は根底から揺らぐものになっています。

同じく「経済やまちへの波及効果」の分野でも広島みなと公園は◎の3点で旧広島市民球場は△になっています。

しかし、球場が貨物ヤード跡地に移って以来、シャレオの空き店舗の数は増える一方です。広島バスセンター二階フロアの弁当販売ひとつとっても、カープが「市民球場」にいた頃に比べてガタ落ちです。

広島の心臓部であるはずの紙屋町交差点とその界隈で、いったいどれだけ人通りが減ってきているのか?そうしたリサーチもすべて含めての「波及効果」の考察なしに、賑わっている場所は〇、賑わいのない場所は◎、と断定するのはどうか?と複数の委員がそう考えるのもごく自然なことでしょう。

そのあと、この”数字による優劣”については、加藤(義)委員が「どうして少数点3桁の細かなとこまで見て、優劣を決める必要があるのか?途中での数字の話はいいが最終的にこれにこだわる必要性がない」と切り出し、賛同する声が相次ぎました。

鵜野委員がその後「あるポイントだけがひとり歩きしてみなさんに伝わるのは避けたい。今回この数字出たら港公園が1位、ではなくほとんど変わらない、という伝わり方に、報道関係の人にもお願いしたい」と釘を刺しました。

この点についてはこの日の夕方ローカルニュース、あるいは10月30日付中国新聞も「点数化に異論」などと報じて、複数の委員の心配する声を反映したものになっていました。

第18回スタジアム協議会の高木委員ら
左から小谷野、高木、永田、野村の各委員

続いて「広島に相応しい…」の24ページ綴りの資料について三浦会長から説明があり、途中で意見交換がなされました。この24ページものは最終とりまとめの草案のため、各委員からいろいろな意見が出されました。

その過程で「規模・設備」についての項目になった際、何万人収容のスタジアムにするのか、または論じるのは何万人キャパのスタジアムなのか?かなり時間を割いて意見交換がなされました。

途中で小谷野委員が「今回の協議会で行われているようなことは4回目か、5回目のイメージでおりましたもので…」と至極まっとうなことを述べておられたのが印象に残りました。

何度も繰り返してきたことですが、この協議会は18回も会合を重ねてなお、建設場所もスタジアムの規模も決めないまま、話し合いを進めてきた、ということです。

 

最後に、三浦会長が数字化した評価の適正やコスト面、規模、設備などついて延々と20分前後説明されたあと基本コンセプトについて「世界に誇れるスタジアムを…」と用意した資料が読み上げられました。

そして「どなたかご意見を…」と三浦会長が促したあと、少し間を置いてこの議題での最初で最後の発言者となった高木委員が次のような意見を述べられました。

当日のローカルニュースでもそのままオンエアしている局もありました。女性が消費をリードする社会にありながら、女性は高木委員だけです。

「コンセプトが総花的ですね。机上のペーパーで…。もっとこんなサッカースタジアムを作りたいんだという広島らしいストーリーが欲しいということではなかったでしょうか?私は個人の考えを申し上げているのではなくて、いろんな方の声をたくさん聴いて参りました。そしてみなさんは今後の広島のために、どんなスタジアムができればいいなっていう、夢をお持ちでした。その夢を実現するためにどうすればいいかなっていうことで進むのかな?と思ってましたけど、ちょっとこれはどっちがいい悪いの問題ではなくて、かなりお役所といったら失礼かもしれませんが、この進め方で一企業であれば絶対につぶれています。そのへんの思いはありますけど、それは今申し上げることではないと思いますので、この中でほんとにわたしたちが広島の将来のために作らなければいけないスタジアム、とはどうなんだろうか?そこが思い切った討論ができてない、とそう感じています」

なお、このあと高木委員に発言の補足をお願いしたら、次のような言葉が返ってきました。要旨のみ列挙して、まとめに代えさせていただきます。

「みなさんから聞いた声をたくさん書き留めて用意してきた原稿も、この話し合いの流れではそれを発表する場がない」

「夢を描いてそれを形にする。当然リスクもあるけど最初からコストのことばかり、できそうなことだけ言っていたら都市の成長はない、制約の話からスタートするのが我々に課された使命ではないはず」

「森保監督とも話をして、サッカーを見たことのない方にたくさん来てもらえるスタジアムにしたいと…。そのためには本通李もそうですし、街の空間といかに一体となった舞台装置を我々の手で生み出せるか?だから複合型が必要で、音楽会など女性がいつでも行ってみたくなる施設にすべき、女性は行きたいところには時間をかけてたとえ遠くても行くものですから…」

「県外からのお客様は平和公園を訪れるがそれは”観に来られる”ものではない、だから”観て楽しむ、感じる”仕掛けが必要でそれがスポーツ、文化だということを1回目の協議会から言ってきたのですが…」

 

文責・新サッカースタジアム問題取材斑

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