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2015年12月02日
編集部

サンフレッチェ広島のチャンピオンシップは濃密にして崇高な紫に染まるラスト5分間、森保監督の言葉通りガンバ大阪をアウェーで撃破

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森保監督
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J1第2ステージ最終節で湘南ベルマーレを倒しステージ優勝を決めエディオンスタジアム広島のピッチを一周した森保監督は「まだそんなに喜べない」との”注釈付き”でこのポーズを披露したが、チャンピオンシップ初戦を取ったチームの優勝確率は100%…

 

11年ぶりに開催されたJリーグチャンピオンシップ。万博記念競技場での決勝第1戦はサンフレッチェ広島がアディショナルタイムに2点をもぎとり3-2で逆転勝ち、4シーズンで3度目のJ1王者に大きく前進した。決勝点は柏が決めたが、残り30秒あるかないかの極限の勝利となった。

前日の練習のあと、サンフレッチェ広島・森保監督はこう話した。

「勝利を目指して戦い、最低でもホームに勝ち点1を持って帰ってこれればと…。でも自分たちの思い描いた状況になるかどうかわからない。そういう中で我々は継続力と修正力をもってレギュラーシーズンを戦ってきた。選手には自分たちの想定した戦いをまず理想として持ち、思い通りにいかないときいかに辛抱強くやれるか?仮に第1戦で思い通りにいかなくても、自分たちのできることをしっかりやれば結果はついてくる」

サンフレッチェ広島がJ1記録となる年間最多の勝ち点74を積み重ね、チャンピオンシップに進んできたのには訳がある。第2ステージ大詰め、ライバルチームとの激戦をしのいでいく過程で、森保監督の思いがことごとくピッチ上で形となり、それが勝ち点に結び付いた。

その時の詳細については別の機会にひろスポ!で触れるが、今夜の大舞台でもまたそのとおりになった。森保監督は「思い描いた状況」にならないケースでの選手の心構えやチームのありようについて報道陣に囲まれて何度も自分に言い聞かせるように話してきた。

チャンピオンシップ第1戦は互いに相手の動きを探りながら前半を0-0で折り返し。ともに先制すればほぼ勝利を手にするスタイル、サンフレッチェ広島はアウェーにめっぽう強く、ガンバ大阪も万博ではサンフレッチェ広島に1カ月前、敗れた以外に当分負けなし。手堅い展開は当然の成り行きだった。

だが佐藤寿人がベンチに下がり浅野がピッチに入るという両軍最初の選手交替から2分後の後半15分、佐々木からのパスが森崎和の右に転がり、千葉と一瞬見合ったスキに長沢に蹴り込まれ痛恨の失点…。

「ミスをした方が負ける」

両軍選手が最も注意していたことが最悪の形で現実に…

そう考えるのが普通だが、サンフレッチェ広島の強さは普通では説明がつかない。シーズン最多得点、最多失点の戦いは決してマイナスの思考回路にハマらない。失点したことでゲームが動く、動くならそこからまた得点すればいい、ただし焦らずじっくりと…。

案の定、同点に追いついた。

後半32分、先制弾の長沢に代えて長谷川監督、パトリックを投入。

後半35分、浅野がドリブルで攻め込みエンドライン手前の角度のない位置からシュート!これがファーポストに当たり跳ね返りを、後半24分にミキッチと交替出場の柏がシュート。これをドウグラスが頭で合わせて角度が変わりGK東口は一歩も動けず1-1になった。ガンバ大阪はパトリックが前線にいるせいで前掛かりになっていた。

その1分後。

中央の右からのFKを遠藤にげられ、佐々木が頭でクリアしたがそこに今野…。抑えの効いたシュートはGK林の死角に入り、林も一歩も動けずあっという間に1-2にされた。

後半41分、清水とオジェソクが走りながら競り合い、オジェソクが清水の胸を両手で突いて一発退場。44分、ガンバ大は宇佐美を下げて米倉投入、森保監督も清水を下げ山岸を送り出し、そして1-2のままアディショナルタイムに入った。

残りは5分”も”もあった。最終ラインから前線まで、誰ひとりその表情に焦りの色を出さなかった。しかも11対10。

46分、柏が右サイドを駆け上がりFKをとった。キッカーは柴崎。だが柴崎は相手の虚を突くマイナスのパスを出し、そこから青山がゴール前へ、そこに佐々木。強烈なヘディングシュートで2-2に追いついた。

さらに残り30秒たらずとなって森崎和が絶妙のタメを作り、そこから最後の波状攻撃…、ドウグラス、また浅野、最後は柏の放ったシュートがガンバのゴールネットに突き刺さった。

将来、サンフレサポーターの間で語り草になるであろう「ロスタイムの濃密にして崇高な5分間」…。昨季の三冠のガンバ大阪はまだファイティングポーズを崩してはいないが、再び紫色に染まる5日のエディオンスタジアム広島で、森保監督が、佐藤寿人がシャーレを掲げ喜びを爆発させる姿がもう見えている。

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