広島の前田健太が12月24日、マツダスタジアムで契約更改交渉に臨み2000万円増の年俸3億円でサインした。(金額は推定、以下同)。
前田は今オフのメジャー挑戦を視野に準備を進めてきた。一方の広島球団はシーズン終了と同時にポスティングによるメジャー挑戦の今オフ見送りを示唆していた。
ただ、球団側が前田本人にそのことを直接伝えたのは12月に入ってからで、水面下ではさまざまな動きがあったことは容易に想像できる。
ヤンキース、レッドソックスなど資金力の豊富な米国東海岸の球団は前田獲得に向けてぐすねを引いていた。
昨年、契約更改のあとの会見でメジャー挑戦を表明した前田は今回もまた「毎年行きたいという思いは伝えているので来年、行ければいいな思いますし、必要されている時にいきたい、後悔したくない」と詰めかけた報道陣にコメント。そして「契約した以上はカープでがんばりたい」とも話した。
今季、いつの時点かは不明だがおそらくメジャー挑戦がかなり現実的になった時期はあったように思われる。ただ、広島の”現有戦力”を見渡すと、確実にイニング数を計算できるバリントンが退団、3本柱の一角である野村祐輔の投球内容は極めて不安定、新人王の大瀬良はまだ未知数、そして新たに加入する外国人投手2人も日本の野球に適応できるかどうかはこれまた未知数…。
ゆえに前田がいなければとても優勝ラインの75勝以上から80勝には到達できないことになる。
ところで前田の契約終了により広島の1億円を超える年俸の日本人選手は3人になった。かつて高額年俸を稼いでいた栗原や東出が大幅ダウンを受け入れ、同じく高額年俸だった永川も今は現状維持の6000万円で一時期に比べると1億円もダウンしている。前田に球団史上最高の年俸を支払っても球団にはまだ余裕がある可能性がある。
そうなると気になってくるのが黒田博樹の今後の動向…。10月に続いて12月にも日本国内にいた黒田は再び渡米する。
今回の滞在期間中に広島の関係者や選手らと”意見交換”した中で黒田自身がどんな決断を下すのか?海の向こうではヤンキースがずっと「クロダからの連絡待ち」の姿勢を貫いていて、現地報道の中には「引退か、現役続行か?」を指摘する声も多い。
黒田自身は「引退」について口にも出してはいないが、もしそれが本当なら”引退かそれとも古巣カープに戻ってマツダスタジアムのマウンドで引退を…」と考えても不思議ではない。
野村監督から緒方監督にバトンが渡され、しかもチームにはかつての主砲・新井がいることも黒田にとっては大きな動機付けになる。
新井、そして前田健太の来季の活躍の場は”広島”に決まった。残るは黒田だけ。
クリスマスイヴのイルミネーションを見つめながら、黒田は決断の時を迎えつつある…。