巨人・菅野と広島・前田健太。セ・リーグ防御率1位と2位同士の投げ合いは菅野に軍配が上がり、阿部の打球の直撃を受けた前田にとっては心身ともに“疲労一敗”の夜になった。
巨人は連敗を5で止め、首位を行く広島は対巨人戦4勝4敗の五分に持ち込まれた。
試合後、広島の野村監督は「球数を投げさせたしチャンスもあった」と今季2戦2敗となった対菅野に関して手ごたえを強調。タイムリー暴投による1点に終わった打線の奮起も促した。
一方、巨人・原監督は菅野について「コントロールも良かったし、粘り強さが見えました」とコメントした。…ということは「球数を投げさせた」のではなく阿部と菅野の巨人バッテリーが意識的に球数を多めにして組み立ててきた、という仮説が成り立つ。
この試合の前までに菅野は8試合に先発して四死球わずかに5つだった。それがこの夜は六回までに4四球+1死球。それまでの1試合1個平均が1イニング1個平均に“急増”した。
二回、菅野からひとつ目の四球を選んだのはキラだった。変化球でカウントを稼がれフルカウントからファウルを続けた。けっきょく真っ直ぐは一度もストライクゾーンにはこなかった。
三回には二死から梵が四球で歩いた。6球すべてが低目に集まり、ここでも一発を警戒している様子が見てとれた。続く菊池は8球目をとらえ、あとひと伸びすればフェンス直撃という大きなセンターフライに打ち取られた。菊池には全球ストレート系だった。相手に応じて押し引きする様は見事だった。
四回は菅野との相性抜群の丸が歩かされて無死一塁。ところがエルドレッド、キラは連続三振に仕留められた。松山は腰にぶつけられて二死一、二塁になったが木村はピッチャーゴロだった。4月10日、同じ東京ドームで丸と松山は菅野からソロホームランを放っていた。ここでも巨人バッテリーの“方針”は徹底されていた。
六回には先頭の菊池がレフト前ヒットで出塁した。丸はまたしても歩かされたがエルドレッド、キラ、松山は揃ってセカンドゴロ、その間タイムリー暴投による1点を奪うのが精いっぱいだった。
ルーキーイヤーだった昨年と併せて菅野対広島はこれで9戦6勝1敗と菅野が圧倒。さらに昨秋のクライマックスシリーズ、ファイナルステージ第2戦でもマエケンが菅野に投げ負けている。
東京ドーム、そして菅野。このふたつのキーワードが重なると広島は昨シーズンの終盤からこれで4連敗…。1991年以来のリーグ優勝を目指す広島の最大の敵は今やマエケンをもしのぐセ・リーグ、ナンバーワン右腕の菅野、ということになる。