セ・リーグ首位で交流戦に突入した広島がパ・リーグ相手に今年も苦労した。9連敗のあと5連勝で盛り返したものの、9勝15敗で楽天、阪神と同率の10位に終わりセ・リーグ順位も2位に後退した。
広島は交流戦24試合で85得点、123失点。失点の多さは開幕以降、投手陣崩壊に苦しむヤクルト(残り1試合未消化)の128失点に次ぐワースト2で、得失点差マイナス38は、阪神のマイナス29、楽天のマイナス14と比べても大きく見劣りする。
仮に今W杯ブラジル大会の日本代表で話題の得失点差が順位に反映したならば、広島は単独最下位、ということになる。
交流戦での失点は1試合平均にすると5・1点。打線は6点以上を叩きださないと勝てない計算になるが実際、その通りになった。
交流戦開幕2連戦でソフトバンクに2-10、2-6で敗れた広島は続くオリックス戦でも3-10、5-16と大敗を繰り返した。4試合で合計42失点。その後1-8、0-2、4-5、0-7、4-8のスコアで一度も6得点に届くことなく連敗は一気に二けたリーチとなった。
この間、不振のキラを二軍に落とし、ロサリオを一番に起用するなど野村監督も様々な策を講じたがいずれも決め手に欠く状況が続いた。
そんな中、開幕から二軍で調整していた天谷が急きょ、一軍に合流。6月14日のロッテ戦(QVC)で一番に入った。
翌15日のロッテ4回戦で「一番・天谷」が期待に応えた。先頭打者ホームランで梅雨空のようだったベンチの重い空気を一掃!七回にも一死から四球を選び、続く菊池、丸の連続ヒットとエルドレッドの逆転満塁ホームランの呼び水となった。
この試合に8-5で競り勝った広島はそのあと楽天と日本ハムを相手に6-1、6-2、8-4、7-4で打ち勝って5連勝をマークした。
すでに記したが、この間、打線は見事に“6点以上のノルマ”を果たしている。連勝中には二けた安打が4試合、ホームランは合計8発…。
だが、いつまでもこうした状況が続くとは考えにくい。交流戦を総括した野村監督も「うちらしくない」勝ち方であることを認めている。
本来はエースの前田健太を軸に、投手力を前面に押し出して機動力を使いながら1点を奪いにいくスタイルを広島は目指していた。
交流戦明け、最初の相手は交流戦勝率5割以上が決まっているDeNA。セ・リーグ最下位チームとはいえ侮れない。
大型連敗や連勝よりも安定した戦いで首位・巨人を追撃する地道さが、今の広島には求められている。